テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

“逃亡者” と “宇宙家族ロビンソン”

2005-06-22 | [コラム]
 夕べのTV番組「踊るさんま御殿」。ゲストに“睦 五郎”が出ていて懐かしかった(最初は『あの、おじいさんは誰?』状態だった)が、彼で思い出すのは「逃亡者」である。昭和前半生まれのオジサン、おばさんには忘れられない、“リチャード・キンブル”の声優さんだ。それを考えたら色々と思い出してきたので、ちょいと書いてみたい。

 瀬戸川宗太氏の「懐かしのアメリカTV映画史」(集英社新書)によると、TV「逃亡者(原題:THE FUGITIVE)」の放送が始まったのは1964年の5月かららしい。東京オリンピックの年だ。土曜日の夜8時から約1時間。一週間の内の最高のゴールデンタイムに放送されていたように記憶している。

 『リチャード・キンブル。職業、医師。正しかるべき正義も時として盲(めし)いる事がある。彼は身に覚えの無い妻殺しの罪で死刑を宣告され、護送の途中列車事故に遭って辛くも脱走した。孤独と絶望の逃亡生活が始まる。髪の色を変え、重労働に耐えながら、犯行現場から走り去った片腕の男を探し求める。彼は逃げる、執拗なジェラード警部の追跡をかわしながら。現在を、今夜を、そして明日を生きるために……』。実に印象深いこのオープニングのナレーションは、空で言えるほど何度も聞いた。ナレーターは、城達也だったか納屋吾朗だったか・・・忘れてしまった。いずれにしても、哀愁があってカッコよかったんですよ。
 93年にハリソン・フォード主演、アンドリュー・デービス監督で映画版「逃亡者」が作られたが、TV版は、一回一話で毎週別の話が語られた。
 新しい町にキンブルがやって来て、仕事に就く。最初はうまくいくんだが、何か事件が起こって身元が割れ、ジェラード警部が現れる。しかし、捕まる寸前に辛くも逃亡する、という話の繰り返しだった。でもね。これが面白かったんですよ。渡る世間は何とやらで、イヤな人もいればいい人もいる。<あぁ、この人さえ居なければ、このままずっとこの町で暮らせただろうになぁ>とか、<あぁ、その一言が言えれば、あの人も分かってくれただろうに・・・>なんて思いをさせられた。
 どことなく、うつむき加減で、片方の足が悪いのかなと思わせるような歩き方をするリチャード・キンブルを、日本人の多くは応援していたんですなぁ。演じていたのはデヴィッド・ジャンセン。彼も人気者になりました。
 これのアメリカ版TVは1963年から67年まで放送されていたそうです。

 さて、この「逃亡者」が撮影の関係で中断したときに、穴埋めとして放送されたのが「宇宙家族ロビンソン」である。原題が「LOST IN SPACE」。98年に作られた映画「ロスト・イン・スペース」のソースがこのTVですな。映画の通り、人間の住める新しい星で、実験的に生活する為に宇宙旅行に出かけたロビンソン一家が、不慮の事故で宇宙の迷子となり、色々な危険に遭遇するというお話。

 製作総指揮が「ポセイドン・アドベンチャー(1972)」「タワーリング・インフェルノ(1974)」のアーウィン・アレン。お父さんにはガイ・ウィリアムズ、そしてお母さんはジューン・ロックハートだった。
 G・ウィリアムズはTV版「怪傑ゾロ」(映画版は「マスク・オブ・ゾロ」)のゾロ役でお馴染みだったが、このお父さん役も頼もしくて良かった。僕らにとっては、“ゾロ”と言えばアントニオ・バンデラスではなく、やはり彼ですな。
 J・ロックハートも「名犬ラッシー」のお母さんで馴染んでいたので、このSFモノも段々ファミリードラマのように見える時が増えていった。映画版にもでていたけど、何の役だったか忘れましたな。
 あとの家族構成、乗組員構成も映画と同じだったと思う。次女役には「サウンド・オブ・ミュージック」にも出ていたアンジェラ・カートライト。映画ではゲイリー・オールドマンがやっていたドクター・スミスには、ジョナサン・ハリスが扮した。映画では、Dr.スミスは化け物みたいになっちゃうが、TV版はそのようなことはなく、腹黒いくせに臆病で、いつもコミカルな感じのオッサンだった。
 毎週新しい怪獣、今の表現で言えばエイリアンが出てきて、男の子には楽しい土曜の夜でした。
 そうそう、ロビンソン一家にはロボットもいて、名前は“フライデー”。確か、名前を視聴者に公募して付けられたと記憶している。それが、吹き替え版だけのものなのか、日米で公募したのかは覚えていない。“フライデー”はダニアル・デフォーの「ロビンソン漂流記」の登場人物の名前から付けられたものだ。
 それと、TV版の音楽はあのジョン・ウィリアムズでした。40年近く前のことですが、今でも思い出すくらい印象深い音楽でした。流石です。

 穴埋めのはずだった「宇宙家族ロビンソン」が好評だったため、後のシリーズの「逃亡者」はアメリカの放送より大分遅れて日本に放送されたらしい。後半の「逃亡者」はキンブルに女性が絡む話が多くなって、子供としては段々興味を失っていったという記憶がありますな。

 やれやれ、ムツゴロウ、いや“睦 五郎”から色々と思い出してしまったなあ。


 矢島正明(←漢字不確か。やじままさあき)というナレーターもいましたな。矢島さんかも知れない。
[2005.07.13 追記]
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7 コメント

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逃亡者、なつかしい・・ (anupam)
2005-06-29 20:32:32
アメリカ直輸入のテレビドラマは印象に残っているものがたくさんありますね。「ベン・ケーシー」とか・・最初の「男と女」のマークを書くところ、子供のころ、「これはなんじゃろ?」と思っていました。あと、ベン・ケーシーの腕の毛の濃さが強烈な印象。



「逃亡者」は最後にはどうなったんでしたっけ?ハッピーエンドでしたっけね~
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記事にも書いているように (十瑠)
2005-06-30 07:38:18
「逃亡者」の最後の方は見ないことも多かったんですが、確か最後は映画と同じように“片腕の男”が捕まって終わりだったと思いますよ。

この話は実話で、無罪となったキンブルさんでしたが、その後も世間での名誉は回復せず、医者にも復帰出来ず、プロレスラーなどしながら不遇の生涯を終えた、という現実を後で知り、とっても悲しかったです。
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懐かしいです (azami)
2005-07-19 22:57:31
覚えている名前がたくさん出てきてとても懐かしいですね。

 逃亡者は毎週見ていました。 
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Unknown (kiyotayoki)
2012-01-06 09:36:43
調べてみて驚いたんですが、
ドクター・スミス役のジョナサン・ハリスさんって、長生きされて「トイ・ストーリー」では声優さんもされていたみたいですね。
そういうことを知るきっかけを作ってくださって、ありがとうございました。
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ジョナサン・ハリス (十瑠)
2012-01-06 12:13:48
「トイ・ストーリー」の件はうっすらと記憶があります。この記事を書く時に私も調べたのかもしれません。
2002年、88歳の誕生日の三日前に亡くなっていましたね。
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逃亡者  (もののはじめのiina)
2019-08-10 09:25:49
テレビドラマ「逃亡者」を欠かさずに見ていました。

随分前にNHKがBSで再放送したときは、画像もきれいでしたが、最近はトンと放送してくれません。残念。

再放で第一話を知ることができました。
次は、ナレーションつきです。
http://iina.g3.xrea.com/f1.html

「掲示板 -逃亡者-」もご用意していますから、投稿が遠ざかってますが、よろしかったらコメントを歓迎します。

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もののはじめのiinaさん (十瑠)
2019-08-11 11:53:57
コメントありがとうございます。

第一話のナレーションを聞いてると、ゲストがアン・フランシスにブロンソンですと!
懐かしい名前が聞けて嬉しかったですぅ♪
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