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No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

村上編(終)~鮭の子を増やそう

2025-01-31 | 街:新潟


村上編の最後、これはもう個人的趣向の極みだけど、この標語を避けては通れない。観光客が通るような場所ではなく、生活道路の一角に問題の標語は書かれている。青く塗られたコンクリートの塀は色褪せ、遠い昭和の少年時代を思い起こさせる。
「皆んなで鮭の子をふやしましょう」、これほどジワジワくる標語は類を見ない。お年寄りを大切にしよう、明るく大きな声で挨拶しよう、ゴミを捨てずに街を綺麗にしよう。そういう標語は世の中に溢れていて、それはそれで大切なことだ。でも村上の子はそんな当たり前のことではなく、鮭の子をふやそうとしている。衝撃的だ。一体どうしたら良いのだろうか。イクラやスジコを食べなければ良いのか。安心して下さい。答えは「川を綺麗にする」こと。市内を流れる三面川には古くから多くの鮭が遡上してきた。その鮭が塩引きを中心とした鮭の加工技術を磨き、それが村上の特産品となった。ちなみに「塩引き鮭」を初めて食べたときは、「これは明らかに塩加減を間違えた失敗品だ」と思った。相当塩辛い。正直、長いこと苦手だった。やっと最近になって、口の中の塩気を日本酒で洗い流すという悦楽を覚えた。東北地方では塩引きは当たり前のようだが、初めて食す方は「塩引き鮭」と「鮭の塩焼き」は似て非なるものであることを知っておいた方が良い。実はまだまだ村上には隠れたスポットがある。昔の鍛冶屋さんを個人で公開している町屋とか、明治時代の看板が残る左官屋さんとか、昔の遊郭の廃屋とか。とても全部は廻れないけど、鮭の子の標語を見て安堵した。同時に短い日帰り遠足(ドライブ編)は終わりを告げたのである。


X-PRO3 / XF23mm F2R WR

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港町を歩く、例え海が見えなくても

2025-01-30 | 街:新潟









村上シリーズの続き。村上市の岩船地区である。町並みとしては、特段何がある訳でもないけど、何故か僕はここが好きである。恐らく、港町特有の狭い通りが、僕の故郷の西伊豆を連想させるのだと思う。港町と言いつつ、写真には海は写っていない(実際には港まで歩いていった)。つまり港自体よりも港を感じさせる町並みに惹かれている。こういう町は貴重である。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR


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私的な村上ハイライト〜黒塀通り

2025-01-29 | 街:新潟

黒塀通りという名の小路である。丁度クランクになった通りであり、角に建つ古い民家が抜群の存在感を示している。村上には数多くの見どころがある。マイナーな意見なのは承知の上でいえば、この黒塀通りが村上の私的ベストスポットである。対抗馬は「千年鮭きっかわの暖簾」だ。今回は暖簾は撮らない(掲載しない)という縛りを入れたので、ここが日帰り旅のハイライトでもある。ここを歩く為に片道3時間も掛けてやってきた。

GRⅢ(ハイコントラスト白黒)
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花がある街角〜それぞれの挿花

2025-01-28 | 街:新潟





新潟村上シリーズの第三回。村上の街中には写真のように花が飾られている。竹製の花挿が街の至るところにある。それを柱や格子に据えて、そこに思い思いの花を挿している。恐らく、街づくりの取り組みの一貫だだろう。商工会か何かで花挿しを支給し、手弁当で花を飾る。そういうことだと思う。「仏作って魂入れず」という言葉とは正反対に、容れ物が出来合いでも魂を入れると良いものだなと思う。いわゆる小京都(この表現は好きではないが)である村上市。建物の格子や柱に飾られた花は、街を彩っている。


X-PRO3 /  Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical
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猫町珈琲店とパラゴン

2025-01-27 | 街:新潟










猫町珈琲店は、新潟県村上市のカフェのことである。2022年の2月22日にオープンしたそうだ。村上の街中で、かつ僕が多く散策する界隈にある店だ。建物は猫町珈琲店が開業する以前から、何度も撮影させてもらっている。看板には当時のまま「村上印刷所」の名が残っている。昨年、大人の遠足で村上に来た際に行きそびれてしまい、今回やっと入店することが出来た。
事前の情報でJBLの巨大スピーカー「パラゴン」があることは知っていた。でも本当に鳴っているのだろうか。もしかしたら壊れたパラゴンを入手してオブジェとして置いているだけではないか。そんな疑問が頭の中で渦巻いていた。入店した分かったことを以下に記す。

1)猫町珈琲店は、本と音楽が楽しめるブックカフェである。
2)猫に関連する本、レコード、グッズが置かれ、自由に手に取ることができる。
3)主に若い婦女子に人気の店だが、オヂサンからも同様に人気がある。
4)パラゴンは鳴っている。営業時はボリュームを絞っているが、広い場所で大きな音で鳴らすと凄まじい音だと店主が言っていた。
5)オーディオ類はラックスマンを中心としたラインナップで、真空管のパワーアンプを使っている。
6)珈琲に相当拘りがあり、オリジナルのブレンド珈琲は美味かった。
7)リラックスできる環境で、居心地が良い。
8)今回の村上で使ったお金は、前回報告の8000円に加え、猫町ブレンド珈琲の600円が足され、合計8600円だった。満足である。

GRⅢ

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そうか村上牛は液体だったのか

2025-01-26 | 街:新潟





新潟県の村上市に日帰りで行ってきた。少し前に「大人の遠足」と称して、鉄道で日帰り往復した。望外に楽しかったので、もう一度村上への遠足に行きたいと思っていた。「日本海きらきらパス」というJRの周遊切符を利用することで成り立った遠足だった。だが残念なことに、日本海きらきらパスは昨年末に廃止になってしまった。仕方がないので今回の遠足は車利用となり、長距離ドライブで日帰り往復してきた。

遠足には幾つかのテーマがあった。まずは村上牛からいこう。以前から気になっていた「江戸圧」さんにて、村上牛のうす切り丼(上)を頂く。ステーキ丼にするか最後まで悩んだ。店員の勧めもあり一番人気のこれを頼んだ。うす切りの村上牛は半生(レア)状態であり、炙りを入れているので香ばしい。絶妙のタレがご飯に絡む。口に入れた瞬間に肉は溶けて、液体化してしまう。まさに村上牛の液状化現象である。抜群に旨いが、巷で言われる欠点は二つ。一つは量が少ない。もう一つは高い。量についていえば、僕にとってはむしろ理想的な量だった。人によっては足りないとは思う。もう一つのネックである値段、それは3000円だった。年に1〜2回のうな重を除けば、僕はランチに3000円どころか、1000円以上出すことも殆どない(田舎なのでそういう店自体が殆どない)。村上牛は日常的に食べるランチにはなり得ないけど、小さな贅沢を味わうには最適でもある。現在、僕は日常生活で殆どお金を使わなくなった。旅を除けば月に3000円使うかどうかも怪しい。今回は村上で1万円(泣)を使い切ろうとしたわけだ。実際のところ、丼3000円にノンアルコールビール400円。それ以外には、酒2本で4500円(うち1本は〆張鶴の吟醸)の土産。コンビニの珈琲100円。丁度8000円の日帰り遠足だった。これで激しく贅沢をした気分になった(笑)。

GRⅢ
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猫とポール・オースター(完)

2025-01-25 | その他


11月末から読み始めたポール・オースター最後の作品「4321」をやっと読み終えた。何故こんなに時間が掛かったのか。そもそも800頁、88万後の大作だからということもある。でも時間が掛かった理由は、単純に3回読んだからである。正確にいえば、異なる読み方で3回読んでいる。この本をこれから読む方もいるだろうから、それ以上の言及は避けよう。とにかく誰もが最低2回は読むことになる。そして僕は頭が混乱しているので、多分あと2回くらいは読むことになる。

ちなみに時間が掛かったもう一つの理由が今回の写真である。猫が自分に注目を集める為に読書の邪魔をする、そのことは一度ブログでも書いた。そのうちに猫は、この本を抱え込んだり、頁の上で寝たりするようになった。どけようとしても意地でも譲らず、その場所を死守する。最近では本を開くと同時に、どこからともなく駆け寄ってくる始末である。単に本が気に入ったのか、それとも本と張り合っているのか・・・。

iPhone 15PRO
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北国には雪があった方が良い

2025-01-24 | 街:秋田

昨日(1月23日)は雨が降った。秋田県のこの時期に雨が降るのも異様である。少し前から気づいていたけど、今年は明らかに少雪だ。昨年は記録的な少雪だった。それと比較すれば今年の方が降雪量は多い。でも例年と比べれば間違いなく少雪だ。僕は静岡生まれの静岡育ちであり、周囲から「みかんの国から来た男」と揶揄されている。そんな僕ですら1月の始めには「少雪」であることに気づいていた。その時点で天気予報では「記録的な大雪だ」と騒いでいた。天気予報会社は様々なデータを持つので、本当のところは分かっていた筈である。例年並みとか、平凡な少雪ではバリューがないので、騒げるうちに大雪と騒いだのだと思う。除雪の手間が掛からないのは良いことだが、雪の少ない北国というのも淋しいものだ。つまり雪国では、雪が多くても文句を言い、雪が少なても文句を言う。それは文句というより、時節の枕詞みたいなのものである。それでも北国の人は「雪が多くて大変で大変で!」とぼやいている時の方が嬉しそうだ。

追伸:写真は少し前の裏庭への出口である。今はもう雪は溶けている。・・・。サンダルは片付けました。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR

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昼寝する猫、人間の振り幅

2025-01-23 | 



上段の写真、窓際で麗らかな陽を浴びる猫の写真に見えると思う。それは間違いではない。でも実際には下段の写真の窓際であり、この直後に薄日が差しただけである。モノクロ写真をやっていると気づくことがある。明るさは相対的なものに過ぎない。どこを基準にするかにより、光は影となり、影は光にもなる。性質が反転したのではない。最初からそうなのだ。

人間の性質もこれと同じようなところがある。例えば虫も殺せぬ美少女が、熊が駆除されたニュースに涙しながら、とんかつを食べたりする。虫も殺せないことと、豚を美味しそうに食べることが両立するのが人間だ。生を維持することは、そういう矛盾を受け止めることでもある。最近は芸能人とかスポーツ選手などをやたらと礼賛し、あたかも「聖人君子」であるかのように祭り上げる風潮が強い。僕はそういう礼賛具合が少し気持ち悪い。必要以上に祭り上げられた結果、そこから落ちると悲惨な状況になる。そして実際に何かをやらかして、オセロがひっくり返るように評価の大逆転が起きることもしばしばである。やらかさないとしても、前述の通り人間のあり様の振れ幅は大きい。評価軸の基準点をどこに設定するかによって、善人にもなれば、その逆にもなり得るのである。極論すればプロ野球選手は野球を極めただけの人であり、芸能人は何らかの芸を極めただけの人である。その方たちの中には、人格が素晴らしい人もいれば、人間的に問題がある人もいる。特定の分野で顕著な実績を上げたからといって、ハードルを上げ過ぎない方が良い。

昼寝をする猫を眺めながら、こんな物思いに耽った、いま問題になっている「あの件」を念頭に置いてはいるが、ここで辞めにしたい。

X-PRO3 / XF35mm F1.4R



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北の路地裏(自己責任)

2025-01-22 | 街:秋田





増田町(横手市)編の最終回。地元民の生活通路として機能する路地裏通り。そもそも自転車さえ通行できないような狭い路地に雪が降り積もる。踏み固められた通路は、人ひとりがやっと歩ける幅しかない。踏み固めた雪に足がハマると膝下までずっぽりと埋まってしまう。頭上には大きな雪の塊があり、それがいつ落ちるかも分からない。実際、僕が歩いた時も雪が落ちて轟音が響いた。尖った氷柱もあるので要注意だ。誰も守ってくれないし、私道を勝手に歩いている状態なので、足を踏み入れた瞬間から自己責任の世界だ。ある意味では最凶の路地裏と言って良い。・・・。でも他所の地域の人は、こんな道歩いてみたいでしょ?。その時が来れば場所は教えるので、言って下さい。広角レンズで撮っているので、実際はもっと狭く頭上との距離も近いことを付け加えておく。

X-PRO3 / XF14mm F2.8





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