No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

約500kmの道のりを経て、ついに法師温泉「長寿館」に来た!

2020-08-13 | 街:群馬










(以下の画像はwikipediaより引用 File:法師温泉混浴浴場Img913.jpg)

三国峠といえば、群馬と新潟を結ぶ峠であり、江戸と越後を最短で結ぶ街道として古来重宝されてきた。今では高速道路の関越道に主役を譲ったものの、現役の国道17号線として残っている。その三国峠の群馬・新潟の県境近くに法師温泉は位置している。一軒宿の温泉ながら多くの温泉愛好家から愛されている。住所的には群馬県みなかみ町となるが、スキー場で有名な苗場リゾートまでは20kmほどの距離である。新潟は目と花の先だ。かつて田中角栄は「三国峠をダイナマイトで吹っ飛ばす。日本海の季節風は太平洋側まで一気に抜け、新潟に雪は降らなくなる。三国峠の残土で佐渡島と陸続きにする」と言っていたそうだ。凄い発想だけど、地元の方が苦労し続けた雪によって、この地の経済が成り立つようになったのも皮肉な話だ。

さて、法師温泉・長寿館に話を戻す。この宿の何が良いかといえば、まず第一に足元から源泉が湧き出す「法師の湯」が良いのである。その名の通り、弘法大師が発見したと伝えられる湯である。合計8つに仕切られた湯船は、それぞれ微妙に温度が異なるという楽しさ。しかも混浴である(女性専用時間あり)。足下から湧き出す温泉といえば、岩手県の鉛温泉(白猿の湯)有名だ。法師温泉の特徴は底に玉砂利が敷き均されていることで、そこからボコっと湧き出す様子が堪らない。いずれにせよ全国の温泉通を唸らせる名湯なのである。鹿鳴館様式の浴室には四隅に暖色の照明が薄暗く灯るのみで、静かな静かな時間が流れる。シャワーやカランなどもない。否が応でも秘湯感が高まる。言い忘れたが、無色透明のナトリウム硫酸塩で、優しい湯である。

そしてもう一つの良いところは、建物だ。創業は明治8年とのことだが、江戸時代の湯宿のような佇まいである。ランドマークになっている丸型ポストが脇に立つ正面玄関は、少なくとも大正か戦前の昭和そのものの雰囲気となっている。与謝野晶子が籠に乗って訪れた写真を見たことがあるが、その頃と何も変わっていないように見える。写真はフィルムシミュレーション「クラシックネガ 」で撮っただけで、何も加工はしていない。なかなかの貫禄である。お風呂は流石に撮影は断念し、wikipediaの画像を使用ポリシーに従ったうえでお借りした。家から約500kmの道のりを経て辿り着いた法師温泉。もう感無量である。(続く)

X-PRO3 / XF23mm F2R WR

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2 コメント

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頑張ります! (ZUYA)
2020-08-13 07:23:33
おはようございます

以前に書いたかもしれませんが、私はコンデジで、“6x6さんを超えてやる!”をテーマに日々頑張っています(すいません、生意気で~)

ここ数回のお写真を拝見していて、“う~ん...やはりコンデジでは限界か...”とめげ始めていましたが、今日の写真は飛び切り素晴らしいですね

ところが逆に私にやる気を与えてくれました

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ZUYAさん (6x6)
2020-08-13 20:59:53
正直、これは僕の写真力とかそういう問題ではなく、単に被写体が素晴らしいのだと思います。
一方で、スマホも含め、カメラの性能が良くなり、単純に綺麗に撮ることは難しくなくなりつつありますよね。

そんな中、違う方法で被写体の本質に迫ろうとしている方たちがいることを知り、僕もその末端で試行錯誤を始めました。
そんな馬鹿なことに共感して頂けることは光栄で嬉しいです。
僕もやる気を与えてもらいました。ありがとうございます。
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