足掛け15年に渡り、東北各地の町並みを歩いてきた。目指すは東北地方の全市町村(旧市町村単位)を訪問すること。これまでに訪問した市町村数は250を超える。僕以上に多くの「東北の旧市町村」を訪ねた人間は皆無とは言わないが、控えめにいって数えるほどしかいないと思う。だがこの先は荊の道。移動距離も所要時間も増える一方となり、苦労の割に出来高は上がらなくなる。そうなると一体何のためにやっているのか、ジレンマに陥ることも増えてきた。シンプルに町の写真を撮りたいだけなのに、地図と睨めっこする必要に追われ、ただ実績を残すためだけに町を訪れることもある。そうではない。余所者の僕が東北独特の町並みを見たときの震えるような感動、あれを味わいたいのだ。思いとは裏腹に作業の時間は着実に増えていく。もう全体図の概要は見えつつある。心揺さぶられる未知の町はほとんど残っていないのかもしれない。
諦めにも似た気持ちを抱えつつ宮城コンプリートを再開していた。ところが・・・・。あった!。あったのだ!、心震える町が・・・。その町の名は「旧・栗駒町」、現在の栗原市である。栗原市は10の市町村が合併して出来た市である。写真を撮っていない町は幾つか残っていたものの、ほぼ全ての町(9町村)は移動などで足を踏み入れていた。唯一の未踏の地が旧・栗駒町だった。残り物には福がある。まさかこんな町並みが残っているとは・・・。(続く)
(追伸):この町並みの何がそんなに良いのか、さっぱり分からない。そう思う方は、それが正常です。でも世の中には、こういうニッチな性癖もあるのです。あと、どうでも良いけど、9枚目の内田康夫著の浅見光彦シリーズ古本を5冊買った(10冊以上あった)。こういう本を読むのは辞めようと思いつつ、なかなか辞められない。思いがけず、こちらのコンプリートも目前となった。
X-PRO3 / XF23mm F2R WR