題名の通り、熊を見た。残念ながら写真を撮ることは出来なかった。そんなことは無理だ。だから今回の写真は単なる「通行止め」看板で、熊は写っていない。熊の前に、まず写真の「通行止め」看板について話そう。8月最後の週末、宮城県の登米方面に写真を撮りに行った。久しぶりの町歩きである。秋田県内は35度オーバーの猛暑だが、宮城県は3〜4度低いことが判明したからだ。この宮城行きの機会に、以前から気になっていた道路を使うことにした。国道108号線から鬼首で分岐する一般県道248号線(沼倉鳴子線)という道路がある。以前からこの道を越えてみたいと思っていた。遠回りにはなるが、この道路経由で登米市方面にアクセス出来る筈だ。そんな訳で、ワクワクしながらクルマを走らせた。分岐から10kmほど走ったところで、この標識に遭遇した。「通り抜けできない?。ここまで来て??」。正直ふざけるなと思った。だったら分岐道の入り口か、せめて途中に表示してくれと・・・。僕はスゴスゴと来た道を戻り、国道108号線まで戻り、登米市を目指した。だが結果的には助かったのかもしれない。後で調べると、県道248号線の終点辺りは狭いダート区間となっていて、とても乗用車が普通に通る道ではなかった。あんな所で脱輪でもしたら、命の危機になる。
さて長くなった。写真はないけど、熊との遭遇の話。スゴスゴと道を引き返している途中、切り出した岩山を見つけた。ちょっと写真でも撮るかとクルマを降りた。クルマの後部ドアを開けて、カメラをガサガサと取り出している時に、何か視線を感じた。そちらを見ると、道路の端、距離にして30mくらいの所に黒い塊のようなものが見えた。最初は農家のオジサンかなと思った。うん何か違うな黒すぎる。案山子?。いや違う、動いている。黒いビニールシートか何かが風に揺れている?。いや違う、これは生物だ。人間ではない。もしかして大きな犬?。違うだろ、この場所にいる大きな生き物は・・・。く、熊??。熊じゃないか!!。という思考プロセスを経て、それが熊だと認識するまでには10秒くらい掛かっただろうか。僕がビクッと動いた瞬間、熊はのそのそっと茂みに消えていった。宮城の山奥で、この季節。普通この状況であれば熊だと考えるのが普通だ。でも僕は、熊以外の可能性ばかりを無意識に模索していた。シチュエーションが異なれば、この一瞬の躊躇が危機を招くかもしれない。これが所謂「正常化バイアス」ということなのだろうか。一方で絶好のチャンスだったのに、カメラを構えることすら出来なかったのが残念だ。ちなみに、その先の畑に居た住民の方に熊の出没情報は伝えておいた。そのオジサンは平然としていた。
GRⅢ