青森県つがる市にあるJR五能線の「木造(きづくり)駅」である。「巨大な土偶が出迎える迫力ある駅舎」として、東北の駅百選に選定されている。ふるさと創生事業(1988年、昭和63年〜平成元年)で建築され、駅舎は「木造ふれ愛センター」も兼ねている。もう見た目そのもので、遠目に巨大な土偶が鎮座する駅舎は異彩を放っている。というか、駅前は寂しいことになっているので、ほぼ土偶しか眼に入らない。ちなみに「ふるさと創生事業」は各市町村に1億円を交付し、地域つくり事業を自治体が自由に出来るというものだった。平成の大合併前なので、かなり小さな自治体もあったが、すべてに格差なく1億円が交付された。かなりの「とんでもない企画」を行った自治体もあったと聞くが、木造町(きづくり町)の場合は成功例と言えるのではないか。ちなみに、土偶の眼は夜になると赤く光る仕様になっている。地域の子供が怯えるので、光らすことは止めているそうだ。
それにしても、今の令和の世の中で同じ企画を行えば、「税金の無駄使いだ!」と猛バッシングが起きて頓挫するかもしれない。それはそれで住民の選択だと思うが、そういうマインドが長らく続くデフレ社会の原因の一つであることは間違いない。この木造駅が僕の「青森一泊二日町歩きの旅」の起点となる。
X-PRO3 / XF16-80mmF4 R OIS WR