ソウル交通公社1000系抵抗車は2017年10月現在、111~116編成までの10両6編成が在籍し1号線系統で使われているが、運用範囲が広く遭遇するのが難しい電車の一つである。その中でも異彩を放つのが111編成。

このような車両だけでなく

1000系VVVF車や4号線の4000系と似たような車両も連結していることからファンの間でも有名である。
既にご存知の方も多いと思うが、何故、今のような編成形態になったのか自分なりにまとめたいと思ったので書かせて頂いた。
1000系は乗り入れ先の鉄道庁(後のKORAIL)の車両と共に1974年にソウル地下鉄1号線の開業に合わせて登場した。

始めは6両編成10本が投入され全て日本の日立製作所で製造された。見ての通り103系1000番台や301系とよく似ており、韓国版103系・301系と呼ばれているのは有名である。
1977年12月から1978年1月にかけて6両編成6本が増備されたが、ここからは韓国でのノックダウン生産となった。これらは大宇重工業での製造である。
ここからが本題。1989年に前述の6両編成16本を10両編成にするため、電動車ユニット16組(32両)付随車32両を制作することになった。これらの車両が現在でも活躍する111編成~116編成の母体である。これらの車両も当然、韓国で制作されており製造メーカーは現代精工などである。
1999年には耐用年数25年が経過し、ステンレスの1000系VVVF車で順次置き換えられることになった。しかし10両編成化の為に1989年に製造された中間車(電動車16組と付随車32両)
を廃車するには早すぎるということで有効活用することになった。
ということで
・32両ある付随車の内、付随車12両を先頭車化改造。残りの12両は引き続き付随車として運用。残りの8両は1000系VVVF車に転用。
・電動車16組は引き続き1000系抵抗車の中間車として運用。
これらの車両を活用して111編成~116編成(10両編成×6本)を作りたい訳だ。
では作って行きましょう。
付随車・電動車ユニット・付随車・電動車ユニット・付随車・電動車ユニット・付随車×5本
これらの編成で付随車10両を先頭車化改造、付随車10両はそのまま。電動車ユニット15組は活用することは出来た。
最後に残った車両で編成を構成してみてください。ここまで付随車8両はVVVF車に転用済と考え、20両は活用したのだから残りの付随車は4両。電動車ユニットは16組の内、15組は活用したので残っているのは1組だ。これで組んでみてください。
付随車・付随車・電動車ユニット・付随車・付随車(両端の付随車は先頭車へ改造)
これだと6両編成でどう見ても電動車が足りませんよね?10両編成にするには電動車ユニットがあと2組欲しいのです。
そこで1999年当時の地下鉄公社は

じゃん。わざわざ現代精工でこの形態の電動車ユニット2組を作った訳だ。車体は1000系VVVF車とほぼ同じだけど、抵抗車に組み込むのでわざわざ銅製に仕上げたのだ。これらを111編成(当時は107編成)に組み込んで運用を始めたのだ。
これで順調に行くかと思えば、思わぬ災難が待ち受けていたのだ。(以下その2へ続く)