南の海のワナビ

小説家を目指す「南野海」の野望ははたして達成されるのか?

超絶名探偵は誰だ?(5)

2007-03-27 23:07:44 | 読書
 さて、最近のミステリーの話をしようと思えば、どうしても綾辻行人は外せません。前回の記事で書いた島田荘司御大の後押しがあったとはいえ、本格ミステリーが低迷していた時期に、彗星のように現れ、新本格ブームを打ち立てた立役者なのですから。
 南野にしたところで、この人のデビュー作「十角館の殺人」を読んで、忘れていたミステリーを読む楽しみを思い出してしまいました。(島田御大の作品を読み始めたのはそのあと)
 いやあ、衝撃的でしたねぇ、「十角館の殺人」。
 いや、これを読んだのはほんとたまたまだったんですよ。会社勤めしてたとき、南野しばらくの間フィリピンで勤務してたんですが(はじめて明かす衝撃の真実)、そのとき同僚が持っていた本がこれだったんです。ただでさえ日本の本を読む機会が少なかったので、借りて読んだらめちゃくちゃおもしろかったわけです。
 そのときには、いわゆる新本格ムーブメントがどうとか、そういうことはぜんぜん知らず(なにせフィリピンにいましたから)、ただただ、そう言えば、こういう小説しばらく読んでなかったなぁ。と懐かしみ、なおかつ感激したわけです。
 これ、ストーリーとしては、クリスティの「そして誰もいなくなった」とほぼ同じような展開ですが、それは本人もとうぜん意識しているはずです。

 つまり、孤島の中にある一軒家で、つぎつぎに人が殺されていく。というありがちな話。

 個人的には、本家の「そして誰もいなくなった」よりもずっと面白いと思います。
 クライマックスのあの台詞には、思わず「え?」と叫んで、もう一度文章を確認した記憶があります。
 で、この小説に出てくる探偵役ですが、島田潔と言いまして、はっきり言ってあまり特徴がありません。べつに特別かっこいいわけでもなく、権威があるわけでもなく(っていうか、初登場時は今で言うニートじゃなかったでしたっけ? のちにミステリー作家になります)、性格もおだやかで常識的。
 っていうか、よく考えたらこの人、この作品ではぜんぜん探偵役やってません。
 いや、よくよく考えたら、そもそも事件現場にいませんでしたよ、この人。
 そう考えたら、この人ぜんぜん名探偵じゃないですよ。この作品においては。(いや、そう考えると、ものすごく新しいパターンですね)
 島田潔が名探偵として活躍するのは第二作目からです。
 いや、とにかく南野、これでふたたびミステリーに目覚め、綾辻作品を読みあさりました。どれもおもしろかったですねぇ。(例外、暗黒館の殺人)
 ただ南野としては、やはりナンバーワンとして推すのは、デビュー作の「十角館の殺人」です。その次は「時計館の殺人」でしょうか? 島田潔の名探偵としての活躍を期待したい人はこっちですね。

 この人と同時期に、法月倫太郎とか、我孫子竹丸とか、有栖川有栖とか、やはり本格を書く作家がばんばんデビューして、新本格と呼ばれるようになりました。
 南野は知らなかったのですが、当時はその動きに批判的な人も少なくなかったらしいです。ようは、新人賞もとってないのにばんばんデビューさせやがって。ってことなんでしょう。
 ただ、もし島田先生がこの人たちのデビューに力を貸さなかったら、今のミステリー界はつまらないものになっていたでしょうね。(いや、新本格作家のデビュー全員に島田先生が絡んでるわけでもないんでしょうけど。その辺の事情はくわしくありません)

 ただでさえ、乱歩賞作家をかかえている講談社は、この新本格ブームでミステリー作家をほぼ独占状態にします(いや、さすがに独占は言いすぎですかね)。
 そしてさらにそれを決定的にする、メフィスト賞が始動します。
 この話は次回。

十角館の殺人

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時計館の殺人

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