受法寺本堂建築誌

伝統木造工法により建築中です

木と対話しながら 社寺伝統建築設計施工 澤匠 現場担当 浜口 昌也

2006年06月01日 | Weblog
歴史ある受法寺本堂建立工事の木工事を担当させていただけることを大変光栄に存じます。

 昨年の八月に向拝廻り(斗きょう・虹梁・蛙股など)を保存解体する際に初めて現場入りしてから、はや十ヶ月が経ちました。解体された部材の一部に墨書が見つかり、旧本堂創建時に御尽力された方々のお名前を見つけたとき、私の生まれる百年以上も昔から守られてきた旧本堂に寄せられていた思いを感じ、身の引き締まる思いでした。

 寺院建築は一般的な建物と違い長大な材料を必要とし、大変手間と時間のかかる建物です。木材にも我々人間のように個性があり、同じ樹種でも育つ環境によって変わってきます。伐採され製材されてもなお木は生きていて、捻じれたり曲がったりと動くものです。木を見極めて適材適所に配し、刻みそして組み上げていく。昔から比べると機械や道具が発達したとはいえ、やはり職人の技術や経験によるものが大変重要だといわれるのは、そんなところからくるのだと考えます。

 木との対話は苦労の連続ですが、棟梁を始めとする各工匠達の手で、もうすぐ生まれ変わろうとする新本堂が末永くこの地で守り継がれ、皆様に愛される立派で丈夫な、そして美しい御堂になるように頑張っていきたいと思うしだいです。合掌