空の日誌

設計室「空」のブログ

マネー イズ タイム?  

2012-02-26 18:39:21 | ブログ

私の尊敬する作家の一人、
ドイツの児童文学作家の
ミヒャエル・エンデさんは
亡くなってからもう15年ほどになります。

エンデさんは生前「お金」について考えていたらしく、
どうしたら現在の貨幣制度の弊害をなくし
まっとうに働いた対価としての
「お金」を人が手に入れることが出来るのか、
答えを探していたようです。

話は変わりますが、
今日、朝日新聞の一面に、
投機の新しい道具として
「高頻度取引」と呼ばれる手法が
日本でも登場したとありました。

この手法は、株の僅かな変動をコンピューターが
解析し、一千分の何秒かの速さを武器に
相手よりも先に売買を成立させ、
それを数限りなく続ける事で
莫大な利益を生み出すというもので
詳しい仕組みは私にもわかりませんが、
判断は全て高度にプログラムされた
コンピューターが人間の判断を排除した世界で
瞬時に決定するようです。

ここで取引される人間の欲望が
「お金」なんでしょうか?
すくなくとも「お金」と言えるものなんでしょうか?

話は又変わりますが、
以前、中国を旅した時に
「紹興」という街に着きました。

長い旅の後半で、
私はこの水路が張り巡らされた
水の都がとても気に入って、
大好きな紹興酒を求めて街のあちこちを歩き回り、
とても大衆的な「惣菜居酒屋」(造語です)に
たどり着きました。

店先には、おいしそうな酒のつまみが
山ほど並んでいる小さな食堂で、
そこに腰を落ち着け、お目当ての紹興酒を飲み始めました。

「旅は貧乏に限る」などと考えていた私は
この安上がりの店が気に入って
二日間通って、昼前から入り浸っていました。
(500円もかからなかったんです。)

さてそんな二日目、ある光景を目にしました。

それは、夕方、私がすっかりいい気分でくつろいでいた時です。
一人の肉体労働者と思われる痩身の女性が
汗をぬぐいながら店に入り、
私の見ている前で
床に置かれたバケツから
ご飯をよそり、
そこにお茶をかけ食べ始めました。

彼女はいくら払ったかといえば、
手に握り締めていた、しわくちゃの「5角」を支払ったのです!
「5角」は1元の半分でしょうから
日本円に換算すれば、たったの6~7円です。

「角」という単位があることさえ知らなかった私は
いくら貧乏旅行とはいえ
自分の使う「お金」とその女性の手にした「お金」には
比べようがないほどの「質の差」があると感じました。

さて、また話は変わりますが、
映画好きの私は先日「TIME」という
近未来SFを見てきました。

この映画は何年か前
「ガタカ」というSF映画の佳作を作った監督と
同じ監督作品で、
前作は「遺伝子」が、
今回は「TIME」が
人間の貧富や優劣を決定する要素として描かれています。

娯楽映画という枠内ではあるけれど
「TIME」がお金に代わる価値としての着想に
うなずける作品です。
それどころか「MONEY」よりもむしろ
寿命という命のかかった
「TIME」のほうが使う側として
納得できるかもしれません。

(映画では、25歳で人間の成長と寿命は止まり
その後、富のない人々は労働などにより寿命を稼ぐ事が出来ますが、
食べていく為にどんどん寿命という通貨を減らしていきます。)

余談ですが、アメリカの「イサカ」という小さな町では
「アワー」という地域通貨の単位で
時間という通貨はすでに使われているそうです。

大変長くなりましたが、
折りしも今日、
NHK総合テレビの「ヒューマン」という
人間の本質にせまる番組で、
「マネー」が取り上げられます。
たのしみですね・・。

Time2





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