「裕次郎の夢」と題して、
「黒部の太陽」という今から
50年近く前の大作が
全国でチャリティー上映されている。
長野市では、
長野グランドシネマズというシネコンで
現在上映中ですが、
「裕次郎」にはカッコづけだけの役者という
レッテルを貼った私には
あまり興味がありませんでしたが、
縁あって初日に見せていただき
そのトンネル工事場面のリアルな映像と
現場の人間の描き方に大変感心させられました。
土木工事ほど大きなスケールではないけれど、
建築に携わる私にも現場の苦労はよくわかります。
CGという技術が無かった頃にこの映画は
セットとは思えない臨場感を伝えてくれますが、
実はそれもそのはず、
「熊谷組」を始めとする日本の土木建設界を代表する
巨大ゼネコンが後押しし、
実際のトンネル(工事とは別の)を利用し、
実際の掘削風景を撮影したそうです。
出水場面では計算外の大量放水で
裕次郎始めスタッフが大怪我をするという
本当の工事現場のようなアクシデントもあったようです。
そんなわけで、彼が遺書にしたためた
「映画館のスクリーンでしか写すな。」という
遺言は正しかった。
TVの小さな画面ではとても
この映画の迫力は伝わらなかったでしょう。
映画のあと、
松本出身の撮影監督である
「金宇」さんという大変な情熱家のトークがあり、
夕方の食事会でもご一緒させていただいた私は
苦労した撮影の裏話をたくさん聞かせていただきました。
(映画のフィルムは、金宇監督が保管し、
安易なビデオ化DVD化から守ったそうです。
そのほかの苦労話は、私から直接聞いてね。)
「金宇」監督は帰宅したら裕次郎の墓前に報告するそうです。
「裕ちゃん、これで良かったんだろ。俺は約束をまもったぞ。」と・・
土木、建築関係者ならずともお奨めの映画です。
来週はニッサン車が世界的ラリーで躍進した活躍を描いた
実話に基づく「栄光への5000キロ」が上映されます。