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「過労死をなくそう!龍基金」第3回授賞式が盛大に開催

2009年08月10日 13時34分37秒 | 過労死・過労・労災

写真=第3回受賞者の前沢さんに中島代表が表彰状を授与

第3回中島富雄賞授賞式に市民170人が出席
すかいらーく過労死遺族の前沢笑美子さんが受賞

「NOと言える労働者を増やし、過労死も貧困もない社会へ」
湯浅誠さんが記念講演

過労死の撲滅に取り組んでいる「過労死をなくそう!龍基金」(中島晴香代表)は8月9日、第3回中島富雄賞授賞式(NPO法人労働相談センター後援、「週刊金曜日」協賛)を東京・葛飾で開催しました。約170人の市民が出席しました。 

冒頭、過労死で亡くなった中島代表の夫・富雄さんと今年の受賞者である前沢さんの長男・隆之さんの遺影に向かって全員で黙祷をささげました。

中島代表は「夫が亡くなって5年がたったが傷は癒えない。声が聞きたい、手に触れたいというのはかなわぬ夢。死ぬことばかり考えてしまうが、本日応援に駆けつけてくれた皆さんを見て弱い自分を反省している。今後も龍基金をやっていかないといけない、と改めて感じた」とあいさつしました。

龍基金の事務局からこの1年の活動を報告したあと、中島富雄賞選考委員会を代表して、評論家の佐高信さんが今年の受賞者を発表。前沢笑美子さんに決まった理由を「勝つことがあまりない私たちの闘いで前沢さんの解決は貴重な例だ」と話しました。

前沢さんの長男隆之さんは中島富雄さんと同じすかいらーくで働き、契約店長という1年単位の契約を繰り返す非正規の店長として過労死に追い込まれました。母親の笑美子さんは息子を亡くすという悲しみを乗り越えて会社と闘い、今年5月に遺族側の主張を全面的に会社に認めさせる内容で解決を果たしました。

中島代表から表彰状を手渡された前沢さんは「自分が遺族になるまで、過労死は別世界のことと捉えていた。すかいらーくは中島さんが過労死した際に『二度と起こさない』と言っていたのに、本当にくやしい。過労死根絶のため全力で声を出し行動していこうと決意している」と受賞の言葉を述べました。隆之さんの妹の美保さんも「これからも母と一緒にがんばっていきたい」と話しました。

第2部では、反貧困ネットワーク事務局長で年末年始の派遣村では村長をつとめた湯浅誠さんが「貧困も過労死もない社会へ」と題して記念講演しました。

「労働市場の破壊とセーフティネットの不在は一体のもの。貧困が増えるとどんな劣悪な労働条件でも飲まざるをえない労働者、つまり『NOと言えない労働者』が増える。貧困と労働の関係は結果でもあり、原因でもある。こうした貧困スパイラルをいかに逆転するかが私たちの課題だ」

「生活相談に来る人は自己責任論を内面化して『みんな自分が悪い』と思いこまされている。そうじゃない価値観を学校でも家庭でも職場でも聞いたことがない。その結果、社会でどれだけ不当なことが蔓延していても問題提起できない。社会的に貧困も過労死も可視化されてこなかった」

「貧困スパイラルを反貧困スパイラルに変えるためには労働運動と社会運動がもっと連携しなければならない。会社と闘う気力すら奪われている層と労働運動がつながりあえるかが問われている。声を上げられる条件をつくるために柔軟に、したたかに取り組むことが運動をする側に試されている」

第3部の懇親会は、選考委の木下武男さん(昭和女子大教授)の乾杯ではじまり、全労協、東京労組、全日建、全労働、ネットワークユニオン東京など友好労組から発言をもらいました。労組以外にも地元葛飾の葛飾区市民活動支援センターや協賛の週刊金曜日からもあいさつを受けました。東部労組の臨床心理士ユニオン支部からは署名運動への協力を呼びかけるアピールがありました。

また、龍基金が現在取り組んでいる大手物流会社での過労死問題で遺族が発言しました。

最後に中島代表が「すかいらーくも労働時間をチェックするようになるなど、少しずつ私たちの活動によって前進している部分もある。折れそうな心を皆さんに支えられながら、これからも頑張っていきたい」と感謝と今後の決意を述べて、盛況のうちに閉会しました。

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