
添乗員「みなし労働時間」裁判
東京高等裁判所の判決文報告その2
判決文全文はこちら(PDF)
http://www.toburoso.org/9.14hanketu.pdf
9月14日東京高等裁判所判決(阪急トラベルサポート残業代請求事件)
判決文(要旨)報告その2
高等裁判所の判断
阪急交通社の責任(労働者派遣法との関連)
「<派遣中の労働者の派遣事業に関する労基法の規定(休憩、休日、時間外労働等に関する労基法34条、35条、36条1項等)を、派遣先の事業のみを、派遣中の労働者を使用する事業とみなして適用するものとしている(労働者派遣法44条2項)。・・・時間外・休日労働等の有無やその時間は直接的には派遣先である阪急交通社が把握し、・・・派遣先である阪急交通社は、派遣就業に関し、派遣就業をした日、派遣就業をした日ごとの始業、及び終業した時刻並びに休憩した時間等を派遣元事業主である控訴人(阪急トラサポ)に通知しなければならず(労働者派遣法42条3項)、控訴人は、被控訴人に関する時間外・休日労働等の有無やその時間等をこの就業状況についての通知によって把握することになる>」
「<国内ツアーの添乗員は、まず、ツアー前日に阪急交通社の事業所に出社し、パンフレット、最終日程表、指示書等の添乗関係書類を受領し、最終的な打ち合わせを行った上、ツアー初日は(自宅を9時までに出発する場合は起床時及び出発時に控訴人の担当者にモーニングコールをした上)参加者の集合時刻の30分前には集合場所に到着して各種の業務を開始し、その後上記添乗関係書類により指示されたツアーの行程管理を行い、>」
「<帰着後は阪急交通社に対して、各旅行日の出発時刻、到着時刻、夕食の形式(会食なのかバイキング等の自由食なのか)等を記載した添乗日報を提出している>」
「<添乗員の裁量はその場限りのものであって、そのような裁量があることを理由に添乗員が添乗業務に関する阪急交通社の指揮監督を離脱しているということはできない>」
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東京高等裁判所は、この判決で、派遣添乗員に関する時間外・休日労働等の有無やその時間は直接的には派遣先である阪急交通社が把握し、・・・派遣先である阪急交通社は、派遣就業に関し、派遣就業をした日、派遣就業をした日ごとの始業、及び終業した時刻並びに休憩した時間等を派遣元事業主である控訴人(阪急トラサポ)に通知しなければならず(労働者派遣法42条3項)と述べ、阪急交通社が派遣添乗員の労働時間を把握しないことは法律に違反していることをはっきりと述べています。
高裁は、そもそも阪急交通社に大きな法的義務・責任があること、すなわち労働時間の管理・把握をする義務が、ツアー中は実際添乗員を指揮監督している阪急交通社にある事を厳しく指摘しています。そうであれば、現在HTS支部が求めている団体交渉開催の要求も拒み続けている阪急交通社ですが、高裁判決が指摘するごとく自らの責任を自覚して一刻も早く団体交渉に応じるべきです。
高裁判決は、指示書・添乗日報が明白な業務命令であり、労働時間把握に有効であることを述べています。指示書・添乗日報等については次回報告します。
(続く)
派遣添乗員の過酷な労働条件に
法的・社会的責任があるのは、
阪急交通社など全ての旅行会社なのです!