中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

宇宙の不動産王

2005年05月31日 | 日常
最近、土地の購入に少し迷っていたのだが、結局見合わせることにした。
とはいってもタイトルでわかるように、それは宇宙関連の不動産。あまり真面目に捉える話ではないのだが。

アメリカに月の不動産を取り扱っている会社がある。ルナエンバシー社といって、マスメディアでも時折取り上げられているのでご存知の方も多いかもしれない。今では日本法人もあり、国内からの購入も簡単だ。

1エーカー/約1200坪の土地(といってもピンとこないかもしれないがサッカーコートくらいだそうだ)で約3000円。電気も水道も整備されていない荒地だけに安いものである。1エーカー単位、好きなだけ購入することができる。支払はクレジットカードはもちろん、コンビニ決済もOKだ。支払いを済ませると「あなたの名前の記された土地の権利書」が送られてきて取引は完了。

彼らのサイトにその詳細が記されているが、「いちおう」は法的根拠をもっての商売、ということになっている。将来月へ自由にいける時代が訪れたとしたならば、世界最大の観光スポットであろうエリアに土地を所有することができるのだ。もっとも説明を見る限り、法の脆弱部分をうまく調べあげ「現時点」では合法、というだけなので、いざ各国が本格的に進出し始めた場合どうなるかは不明だが。

この約3000円という金額が彼らの商売のうまいところだろう。人類の技術力を考えると、どう考えてもここ20~30年で「気軽に」行き来できるようになるとは思えない。いざそういう段階がきてもその時点、数十年前に3000円で買った紙の権利書をどれだけの人間が保存していることか。

もちろん、本気で利殖の一環に購入する人はすくないだろう。ありきたりな言葉だが「夢を買っている」のだ。空を見上げ、あそこに僕の土地が、と思う満足感に3000円というのは悪くない話だ。

冷静に考えてみれば、ジャンボ宝くじ3000円買うのよりは多少、可能性の高い投資、といえなくもない。回収するのにはかなり時間がかかりそうだが。

ところで、あの千昌夫はバブル経済が始まるより遥か昔から、地方公演に出かけてはその時点で無価値同然の土地を買いあさり続け、バブルによって巨額の富を得たという(最後は失敗したが)。誰もが見向きもしない土地を買うことで、周りの人間からは嘲笑を受けることも多かったようだ。自分がこうしてネタ扱いしている間に、もしかしたら宇宙の千昌夫は誕生しているのかもしれない。

ちなみにルナ社、最近では事業拡張して、月だけでなく火星、および金星の不動産も販売し始めたようだ。さすがに遠い分、1エーカーあたり500円ほど金額が高いようだが。

火星なら遠い将来に人類居住の可能性はあるが、金星というのはいかがなものか。居住不可能な灼熱地獄の土地を売りつけるとは、まさに宇宙の原野商法ではないか。「夢」を前にこういうこと、言うだけ野暮か…