中野系

この銀河系の中心、中野で考えること

溢れるアマチュアオーケストラ

2005年05月29日 | 音楽
東京都内の社会人向けアマチュアオーケストラの団体数をふとしらべてみたら、その数なんと約270。
たぶん、一都市あたりの数では世界で他に類をみない数値(たぶん他とは桁が二つ違う)。

オーケストラは基本的に、最低50人くらいのメンバーが必要なので、単純計算でも1万人以上の人がアマチュアオーケストラ活動に参加していることになる。実際は所属の重複等よくあるのであくまでも概算だが。数字にしてみると意外に小さいものなのだが、それでもオーケストラというものにかかる費用等を考えると270団体というのは凄い話に違いない。

なぜこうも団体数が増えるかというと、オーケストラの楽器構成と、日本の学校教育の二つに原因がある。
まず、オーケストラ構成員の半分以上は弦楽器が占めるけど、親が習わせない限り高校時代までの学校教育で弦楽器に触れることはあまりない。中学、高校で一般的なのはブラスバンド。ということで、木管、金管、打楽器奏者はこの時期に基本技術を会得する人が多い。

大学では総じて生徒数多く、各学生の時間(とある程度の資金)があるので、多くの大学には学生オーケストラがひとつはある。管楽器については既に経験者が多く、ブラスバンド経験者の一部がオーケストラに入ることになる。一方弦楽器は経験者自体が少ないので、大学に入ってから始めても全然問題ない。そこで、大学でなにか音楽でも、と思い立った人は原則弦楽器を始めることになる。

大学生活は4年(かもう少し)で終わるので、毎年輩出される卒業生は社会にて、いざ所属するアマチュアオーケストラを探してみる。だが、どこのオーケストラも募集しているのは弦楽器ばかり。なぜなら、管楽器は更に楽器毎の定員というものがあり、ブラスバンドでメジャーなクラリネットでも、一つのオーケストラではせいぜい3~4名しか必要としないから。

で、このあぶれた管楽器奏者で少し行動力のある人が、自分の所属すべきオーケストラを「新しく」立ち上げることになる。だいたい、このような経緯なので管楽器は比較的簡単に埋まるのだが、弦楽器は慢性的に不足した状態。なぜなら、弦楽器奏者が輩出されるのは主に大学のオーケストラ。管楽器奏者が各高校にあるブラスバンドで生まれることを考えると、その母体数が違い過ぎるため。

上記のような感じで、オーケストラは日々増殖をしつづけていることに…

かくいう自分自身、この「類をみない数値」に含まれるいちオーケストラのメンバーなわけだけれど、週末、街で楽器を抱えた人を見かけたら、このような状況下で趣味を楽しんでいる人たちなのだな、と理解いただければ幸いです。

※ブックマークにある「フロイデ」というサイトを見ると、アマチュアオーケストラの「状況」が推察できると思います。