夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

コロナ対策「日本政府には、アホしかおらんのか」

2022-07-22 11:08:17 | 社会

 今年も夏になって、コロナ感染者が急増している。昨年も同じことが起きたのは、誰でも記憶していることだ。オミクロン株は、今年の冬にも急拡大した。コロナウイルスは、夏冬の人びとの移動する時期になると急拡大するのである。恐らくは、専門家も指摘しているとおり、冬も夏も窓を締切るので、換気が悪くなり、空気感染が増えることが最大の原因なのだろう。
 
 そして、何故か日本は欧米等に比べ、2週間程度遅れて急拡大するのである。今年の冬もヨーロッパでは、昨年12月初旬から急拡大が始まり、日本では12月末になって拡大し始めた。今年の夏も、ヨーロッパでは、6月初旬から拡大し始め、日本では、6月下旬である。
 
Our Word in Data 感染確認数1週間平均推移 EU 日本の比較

 上記のグラフで見ても、実際に起きているのは、欧州の感染拡大から2週間程度遅れて日本では拡大し、4,5週間でピークを迎え、その後減少するということである。その急拡大の要因は、世界的には比較的医療体制が整備されている地域で、感染が空気感染が主と考えれば、人びとが集まるイベントが多い夏、冬には換気が悪化すること、そして欧州は夏、冬の温度変化が日本より2,3週間早いということから説明がつく。
 
 いずれにしても、夏になれば感染が拡大するのは「サルでも」予想がつく。専門家が何と言おうと、コロナに関しては当たったためしがないAI予測が何と言おうと、現実には、夏になれば感染が拡大するのである。にもかかわらず、政府が予定していたのは「全国旅行支援」という「感染拡大支援」策である。さすがに延期したとはいえ、「日本政府には、アホしかおらんのか」である。
 そもそも、多くの人は旅行に行きたくてうずうずしており、少々カネがかかろうと、安全ならば、つまり感染拡大防止策が徹底されていれば、旅行に行くのである。それを、防止策よりカネを配って旅行に行かせるという発想は、としか言いようがない。(恐らく、「マイナポイント」同様に、「支援」策にかかわる政府御用達のデジタル業者を儲けさせようという算段なのだろうが……)
 
ワクチン接種の推進以外にできることはない 
 コロナ対策は世界的に、第一に医療体制の整備、第二に行動制限、第三にワクチンであるのは、疑う余地がない。日本では、第一の医療体制整備は、欧米と比べると惨憺たるものだが、その根本原因は、欧米の医療機関は公的大・中規模病院が半分以上だが、日本では小規模民間病院が圧倒的に多数を占めていることに起因する。大規模病院は、コロナ外来を他の疾患者と分離して診療することができるが、市中の小規模クリニックで、コロナ外来とそれ以外を同時に扱うことは極めて難しい。小さなクリニックで、コロナ感染者の隣で他の疾患の患者を待合室で同席させることなど、コロナはインフルエンザと同じだと言わない限り、不可能なのだ。つまり、医療体制を根本的に変革しない限りできる話しではない。その方向に変革するのには、社会主義的要素を含む、医療の公的化という反市場主義、反新自由主義という方針転換が必要であり、自公政権ではその方向性は不可能である。結局、マスメディアがどんなに医療の逼迫と大騒ぎしようと、できないものは、できないのである。
 第二の行動制限は、中国のような強権で臨むことはできないので、もはや、人びとの同意を得るのは困難で、事実上不可能である。したがって、政府のやるべきこと、できることは、ワクチン接種の推進以外にない。特に、欧米より4分の1しか累計感染者がいない日本(日本だけでなく、東アジア全域で同様。2022年7月18日100万当り累計感染確認数EU347千人、日本83千人Our World inData)では、自然免疫を持つ人が少なく、ワクチン接種で免疫力を高めるしかないのである。
 
 そもそもコロナワクチンは、免疫力を高めることによって、ウイルスの増殖を抑制する効果をもつ。日本のメディアに登場する専門家は、奇妙なことに、既に置き換わったBA.5には、ワクチンは重症化を防ぐ効果が減少することを強調するが、減少は効果がゼロになったという意味ではない。上昌弘氏は、イスラエルの研究チームが、米『ニューイングランド医学誌』に「 60歳以上の高齢者に対して、4回目接種を行った。3回接種群と比べ、接種後7~30日間の感染リスクは45%、入院リスクは68%、死亡リスクは74%低下した」と発表したと指摘している。さらに、「英国の研究チームが、4回目接種を受けた166人を対象に抗体価や細胞性免疫を評価し、いずれも上昇していた 」と英『ランセット感染症版』に報告 しとことを指摘している。また、ノーベル賞受賞者の山中伸弥氏も、「ファイザー社製ワクチンの3回接種を終え4か月以上が経過した医療従事者約1000名が対象で、このうち154名(平均59.0歳)がファイザー社製ワクチンの4回目接種を、120名(平均55.1歳)がモデルナ社製ワクチンの4回目接種を受けた。3回目接種のみと比べた4回目接種効果は、感染予防効果がファイザー社製が30%、モデルナ社製が11%であった。発症の予防効果はそれぞれ43%と31%であった 」(The New England Journal of Medecine誌)という論文を紹介している。(その詳細は政府分科会「本日の論点」でも詳述されている。)https://www.pref.miyazaki.lg.jp/documents/69107/69107_20220513174703-1.pdf
 
 このように、ワクチンは、重症化も、発症も、入院するほどの症状悪化も減少させることは間違いないのである。そして重要なのは、重要を減少させる効果は「6週間減衰しなかった」が、感染予防効果は接種4週間後以降は、持続しなかったことが報告されていることである。つまり、感染拡大後でなく、感染拡大前に接種すれば、その分だけ感染拡大を減少させることができたはずなのである。

 ワクチン接種は、7月20日でも4回目の高齢者は31%しか進んでいない。医療従事者・高齢施設等従事者について、当初対象外とし、接種対象にする方針に変えたのは7月14日である。どう考えても、夏の感染拡大を予想すれば、遅すぎるのである。まとまな発想があれば、夏の前に、高齢者は3回目5ヶ月経過後を短縮し、3回目接種を受けていない世代に接種を推進する対策を行うべきだったのである。
 政府は、ワクチンの重要性だけは認識しているのか、ただ「ワクチンを打ちましょう」というインパクトのない寝ぼけたようなテレビCMを流してきた。コロナ対策予算を77兆円も組んでいるのに、あのような工夫もなく、誰も見向きもしない「アホな」CMを流しているのである。ワクチン接種に前向きな者は、ジャニーズにも一人ぐらいはいるだろう。「飛ぶ鳥を落とす勢いの」ジャニーズをCMに起用し、CMディレクターに作らせれば、感染拡大が著しい若年層のワクチン3回目接種は、確実に今より進むだろう。そのような発想が、なぜ政府にないのか? やはり、「日本政府には、アホしかおらん」のだろう。

 
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