毎日発表されるのは、確認されただけの人数で、実際にはもっとたくさんの感染者がいることは誰でも分かっている。本当は、日本に感染者は何人いるのか? この疑問は意味のないことだと言うように、その答えは、メディア中、どこを探しても出てこない。しかし、実際の感染者が日本に100人なのか、それとも百万人なのかで、どう生活すれば良いのかは変わってしまう。
専門家会議の尾身茂は、「実際の感染者数は(確認数の)5倍、10倍、20倍、誰にも分からない」と言った。確かに、全員PCR検査して、その誤差率を修正し、推定するしか実際のところは分からない。しかし、正確には分からないが、100人と百万人のどちらに近いのか、そのぐらいの推定できる数字はある。東京が最も感染確認数が多いので、とりあえず東京の感染者は、本当は何人いるのか、推定してみる。
6月に厚労省の実施した調査では、東京都、大阪府、宮城県で、それぞれ1971人、2970人、3009人に抗体検査を行い、陽性者はそれぞれ2人、5人、1人、陽性率は0.10%、0.17%、0.03% 0.10%だったという。また、1000人以上の抗体検査を実施した例では、4月初旬に神戸大学1000人の内33人陽性(3.3%)、山形大学6月に1009人の内5人陽性(0.5%)がある。それ以外でも、6月ソフトバンクグループが大規模調査を実施し、医療従事者を除くと、38216人の内56人(0.23%)だという。
海外の例では、4月ドイツのガンゲルト村の住民無作為抗体検査で15%、4月から5月アメリカのニューヨーク州で12.3%~13.9%という数字がある。どちらも、日本の1桁上であるが、これは感染確認公表数も1桁上なので、頷けるものである。
抗体は、数か月で減少するという研究結果もあるので、4月の大学の調査3.3%より、6月の調査0.5%、0.23%、0.10%は減少した結果とも考えられが、3.3%は他のものより突出しているので、通常は採用しない。したがって、0.3%程度だとするのが妥当だと考えられる。
東京都の人口は1400万人だが、赤ん坊、病気で入院している者等を除いて、市中を出歩くのが1000万人だとする。1000万人×0.3%は3万人。東京都の累計感染確認数は6月初旬で5500人だから、その5.5倍となる。
日本のPCR検査は、濃厚接触者で、無症状のPCR検査をすることにしたのはごく最近で、症状の出た者の中で、医師が強く検査を要請した者だけに限られ、5月までは無症状、ごく軽症者も原則、検査はしていない。大まかに言えば、無症状の感染者は検査はされなかったのである。感染者の内、当初、2割が重症者という中国からの報告があったが、これについては、その後の研究でも明確にはなっていない。しかし、無症状の感染者はこれまでの報告より多いのではないかという多くの指摘があるので(コロンビア大学病院では88%が無症状というデータもある)、おおざっぱに、2割が軽症・重症者で、8割が無症状としても、大きな間違いではないだろう。
そうすると、日本では無症状感染者は検査されていないとして、5500人が軽症・重症者とすれば、残りの8割が無症状感染者で、感染者はトータルで5倍いることになる。つまり、抗体検査からの推定5.5倍と大差ない。
おおよそ、東京の実際の累計感染者は3万人。違ったとしても、1桁上や1桁下ではないだろう。それから計算すると、今現在の感染者は、感染期間は2週間だとして、3月から感染確認数が増え、6月初旬まで14週間、、30000÷7で約4300であるが、最盛期の5分の1程度に治まっているので、積算計算して1500人程度となる。
別の計算では、公表される感染確認数の5倍いるとすると、2週間の公表値は400人程度で、2000人となる。
東京の今の感染者は2000人ぐらい
極めて大雑把な計算で、東京では1500人から2000人が今感染していると考えられる。大雑把と言っても、桁違いではないと思われる。アメリカでの感染者は2000万人を超えたとみられると、6月25日にCDCのレッドフィールド所長は言ったが、それはアメリカにおける多くの抗体検査とPCR検査での結果から推定したものである。日本での抗体検査とPCR検査の結果は、アメリカの2桁下程度であることからも、この数字はほぼほぼ正しいと考えられる。
これは、どういうことかと言えば、仮に2000人だとして、東京で1000万分の2000。5000人に1人とい計算になる。会社員が1日に接する人間は、2メート以内ですれ違う人間をいれても、100人もいないだろう。つまり、常にびくびく恐れなければならないほどには、感染者はいないのである。
この2000人が次に何人に感染されるのかが最も重要となる。2000人丁度なら、実行再生産率Rは1。2000人を超えれば、感染は拡大していき、未満なら縮小していく。そのことを考えれば、多くの人に感染させないことが大事だと言える。日常生活での感染の可能性がゼロではない以上、感染の早期発見、つまり徹底したPCR検査がどうしても必要なのだ。2000人の感染者を見つけ出し、彼らがその先に感染を広げるのを予防する。それが最も重要なのである。スポーツ界では、その関係者全員のPCR検査が行われているのは、それが今後の活動に極めて有効な手段であるからである。国は積極的に行わないのだから、多くの会社やその他の組織で検査を実行するしかないのである。
そして、家族どうしの生活を除けば、最も感染のリスクが高いのがアルコールを伴う飲食であることも分かってきている。感染させるとしたら、相手は1人。つまり相手が2人以上の飲み会は厳に慎まなければならないのである。