夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

総裁選報道の問題「候補者の言いたい放題だけを伝えるのは、報道ではなく宣伝」

2021-09-23 11:25:35 | 政治
 

 自民党総裁選の報道が、テレビ、新聞とも加熱している。特にテレビは、各局とも朝から夜までワイドショー、ニュースと、4人の候補を入れ替わり立ち代わり出演させ、さながらお祭りムードを醸し出している。
 これには、野党側から報道の公正・中立に反するのではないか、という批判がなされている。衆院選や参院選には、マスメディアからこれほど大量の報道、それも候補者の主張が流されることはないからである。マスメディアによる国会議員選挙は、選挙が終わった後の結果について、特番で報道するというやり方で、選挙活動そのものについては、僅かな量しか流さない。だから、野党の主張などは片隅に置かれ、視聴者には微かにしか届かない。野党は、そのことを「公正・中立」に反すると抗議しているのである。


 この野党の抗議に対して、マスメディア側の答えが、朝日新聞9月17日の天声人語に載っている。朝日新聞は、「ライバルである自民党の露出の多さを嘆き、テレビのせいにする人がいる」と、立憲の安住淳を批判する。「国会議員の」「発言は脅しのような印象を与える」とまで言うのである。ここには、マスメディアの報道は、どうあるべきかという謙虚さは微塵も見られない。どう報道しようと勝手だ。文句があるか、とも言いたげである。

 公職選挙法が適用されない
 マスメディア、特にテレビが過熱報道する理由を村上和彦京都芸術大学客員教授 によれば(東洋経済オンライン9月7日)、テレビには、日本民間放送連盟(民放連)による「放送基準」には「政治に関しては公正な立場を守り、一党一派に偏らないように注意する」「 選挙事前運動の疑いがあるものは取り扱わない」という項目があり、「公職選挙」の際には抑制した報道をすることが通例となっているが、 自民党総裁選はその範囲外なので、そこまでの「しばり」がないからだという。
 また、「権力闘争」「人事」に視聴者の関心が集まるので、視聴率が取れるのだともいう。
 もっともな解説である。恐らくは、それに「今までの首相よりは、少しはいいことをして欲しい」という願望が加わり、テレビ・新聞の総裁選報道を見聞きするのである。
 
 これらのことから考えれば、マスメディア側は、「自民党総裁は日本国首相に直結するので、国民の関心は高い。関心が高いものを報道するのは当然だ」という理屈になり、上記の天声人語の言い分は、それを踏まえてのことだと思われる。
 確かに、「国民の関心が高いので、報道する」という理屈は、合理性がある。しかし、ここに問題が残る。それを、どのように報道するかという問題である。

 失敗した菅首相のコロナ対策を、どうするのか?
 なぜ菅首相が続投を諦めたかと言えば、コロナ対策に失敗したからである。これを疑う者はいないだろう。コロナ対策がうまくいっていれば、辞める必要はない。自民党は、菅首相を前面に立てて、選挙選に臨めばいいのである。失敗したから、「菅では勝てない」という自民党内圧力が大きくなったのである。
 それを考えれば、国民の関心は、今差し迫っているコロナ対策を、総裁選候補者はどうするのか、ということだろう。失敗した菅首相のコロナ対策をどう修正していくのか、ということである。
 宇都宮市インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長が9月19日 に、「最大の争点がコロナ対策になっていないことに唖然とし、暗澹たる思いになります」とtweetした。 まさに、そのとおりである。先進国で、病気になっても、「自宅療養」と称して、まともに治療を受けられない体制は、恐らく日本だけだろう。英国でもデルタ株の影響で陽性者が続出し、「自宅療養」者は多い。しかし、英国の場合、PCR検査が日本の数倍行われているので、無症状の陽性者が大量に発見され、症状を呈さない者が「自宅療養」者とされているのである。要するに、自宅でぴんぴんしているので、治療の用なし、という者が多いのである。
 マスメディアが、「国民の関心が高いから」総裁選を報道するというのなら、この差し迫った問題をどうするのか、各候補者に問いただすべきだろう。「自宅療養」者をどうするのか、問いただすべきだろう。

「総裁選の報道」ではなく、「総裁選の宣伝」
 しかし、実際の総裁選報道は、各候補者の言いたい放題を伝えているだけである。NHKのサイトを見ても、「争点・主張」とあるが、ただ4人が言っていることを並べているだけである。NHK側の質問などどこにもない。「自宅療養」者をどうするのかなど、どこにもないのである。要するに、候補者の選挙演説をそのまま流しているだけなのである。何のことはない、テレビが、選挙演説会場になっているだけである。
 候補者の4人が、マスメディア側から実現性など一切問われることなく、言いたい放題を流す。それは、「総裁選の報道」ではなく、「総裁選の宣伝」である。
 
 しかし、日本のマスメディアが、カネと権力になびくのは、今始まったことではない。2008年の自民党総裁も同様で、日本共産党がNHKに異常な報道を是正すべきと申し入れを行うなど、自民党に優しく、野党に厳しい報道は、以前から行われている。それは、野党が抗議をしたから是正される、というようなものではないのである。それは、マスメディアが置かれている状況がそうさせるからである。マスメディアは、広告主の機嫌を損ねるわけにはいかないし、権力の嫌がらせも受けたくはない。また、視聴率と購買部数を上げるのは至上命令である。
 では、野党はどうしたらいいのか? それを上記の天声人語は、(報道は)「野党の低迷を写し出す鏡」であり、「政策を磨き、人びとの声をすくい上げること」が必要だと書いている。しかし、どんなに「政策を磨き、人びとの声をすくい上げ」ても、それを伝えるのは、現状では、マスメディアである。
 アメリカのメディアコントロールを批判したノーム・チョムスキーは、メディアを批判はするが、人びとが世界で何が起きているのかを知るのは、やはりメディアからだと言う。SNSがどんなに発展しようとも、もともとの情報の出どころはメディアであり、それを人びとが、ああだこうだと発信するのである。
 野党は、どんなに抗議しようとマスメディアを変えることはできない。であるならば、野党の考えるべきは、そのマスメディアにどうやって自分たちの姿を報道させるのか、そこなのである。野党には、その努力があまりにも欠けているのだ。文句を言うだけでは、前進はしないのである。
 
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新総裁の正体がばれるまで、最低3か月かかるので、自民党は総選挙に勝てる?

2021-09-10 10:25:51 | 政治

 菅首相の、突然の総裁選不出馬発言で、自民党内は喜々とした空気に包まれている。何しろ、内閣支持率は低下する一方で、このままでは、自民党は衆院選の議席数をどこまで失うか分からない、という状況だったのだ。そこに、不人気の元凶が、自分から辞めてくれるというのだ。直前までやる気満々だったのが、「ぎゃあぎゃあ言うなら、辞めてやる」とばかりに、衆院選以降の首相の椅子を投げ出したのだ。特に衆院選の当落線上の自民党候補にとっては、これほど喜ばしいことはない。それは次の総裁は誰でも、「不人気の元凶」より評判が下がることはない、という思いからである。
 
 さっそくメディアは、自民党の党内事情に過ぎない総裁選を、競馬の勝ち馬予想のように、面白おかしく書き立てる。今まで不人気政策を実行してきた首相を支えてきた面々にもかかわらず、各々の個性を強調し、あたかも菅政権とはまったく異なることを考えを持っている人物のように描いている。

 基本的な政策は新自由主義で皆同じ
 菅内閣の不人気の原因が、コロナ対策に失敗したことが最大の要因であることに異論は見られない。すべてが「後手後手」に回ってことは、自民党支持者でも認めざるを得ないだろう。では、なぜ対策が「後手後手」に回ってしまうのかについては、多くの意見は、菅政権が「無能」だからというものである。しかし、「無能」であるとは、効果的な対策を打てないことを単に意味しているだけで、なぜ、効果的な対策を打てないのかの説明にはならない。中国を含め、諸外国で実行された対策が、日本では、なぜ選択されないのか? それは、自民党が一時的にも新自由主義を放棄できず、その政策を強力に推し進めているからである。

 諸外国で実行されたコロナ対策は、①感染予防のための行動規制 ②陽性者を早期発見するためのPCR検査の拡充 ③医療体制の強化 ④ワクチンの早期接種である。勿論、これはWHOの指針とも合致しており、世界標準とも言える。これに真っ向から反対したのは、世界的には、アメリカのトランプ、ブラジルのボルソナロ、ベラルーシのルカシェンコぐらいが目立ったが、実際には日本政府も、この同類だった。(ワクチンについては、日本も遅ればせながら、今年になって接種に力を入れた。)
 これらの対策の実行を阻害するのが、新自由主義なのである。

 地理経済学者のデヴィッド・ハーヴェイは著書「新自由主義」で、新自由主義を端的に表している。それは、「何よりも、強力な私的所有権、自由市場、自由貿易を特徴とする制度的枠組みの範囲内で、個々人の企業活動の自由とその能力とが無制約的に発揮されることによって人類の富と福利が最も増大する、と主張する政治経済的実践の理論である」。これは、国家の政策として「個々人の企業活動の自由とその能力」を最大限引き出すことが最優先されるということでもある。つまり、この方針に反するものは、排除ないし、優先順位は大きく下がるということである。その排除するか優先順位が下がるものに該当するのが、上記のコロナ対策なのである。

 日本政府だけが、新自由主義から離れることができず、「生命よりも経済」を優先した
 ①の行動規制が新自由主義に反するのは、最も分かりやすい。個人の行動規制は経済活動を抑制し、「個々人の企業活動の自由」を制限して実行される。もとより、新自由主義の理念が、個人の自由を重視する「自由主義」に忠実なフリードリヒ・ハイエクなどから発展したことからも理解できるように、個人の行動のいかなる規制も、原則は「悪」として認識されるのである。(日本の場合、所謂「リベラル勢力」も、個人の自由を絶対視しているので、行動規制には反対している。)
 ②と③は、公的部門を「企業活動」に開放するという新自由主義の視点から、公的医療体制の民営化を推進してきたことに起因する(保健所の削減、公的病院の病床削減が数十年実行されている)。②は、一般にPCR検査は行政行為として行なわれ(日本では行政検査と呼ぶ)、そのためには、公的医療施設と人員の拡充が必要で、それは新自由主義に反する。③も、一般にコロナ治療をするためには大規模の公的病院・施設が必要だが、日本には公的施設が2割しか存在せず、現状では収容能力が不足しているので、医療スタッフを含め、公的施設が必要だが、それも②と同様に、新自由主義に反する。
 ④のワクチンについては、その必要性の認識が遅れたためである。欧米が、ワクチンの確保に動き出した2020年の夏に、日本政府はGoToキャンペーンを実施しているのである。これも、企業活動を後押しすることが最優先される新自由主義の表れである。
 
 新自由主義は、日本に限らず世界中で進行中の政策である。しかし、コロナ危機においては多くの国では、スラヴォイ・ジジェクが「今は、誰もが社会主義者のようだ」と言ったように、規制を強め、医療体制を拡充し、国民に対する公的救済措置を講じることで、新自由主義を一時停止したのである。企業(資本)の後押し政策優先を一時的に停止し、経済が麻痺したとしても、人々の生命と健康を優先したのである。しかし、日本政府だけが、新自由主義から離れることができず、「生命よりも経済」を優先したのである。
 
 この新自由主義に忠実な安倍・菅政権を支えてきたのが、自民党総裁選候補者たちである。
 最近になって、その一人、岸田文雄は、「小泉改革以降の新自由主義的政策を転換する」(毎日新聞9月8日)と言い出した。新自由主義政策の結果である「格差」を問題視し、具体的には、「高所得者層への課税適正化や企業に賃上げを促すための税制優遇策」や「 子育て世帯の負担を軽くするための住居・教育費支援の拡充や、医療・介護・保育にかかわる人の所得向上 」に取り組むと述べた、という。
 一見、近年の自民党政治の転換のようにも見える。
 岸田には常に「決められない人」という人物評がつきまとうが、2020年、初めての著書「岸田ビジョン 分断から協調へ」を出した時に、 東京工業大・中島岳志 は岸田を評して「スタンスやビジョンが一定せず、権力者の顔色をうかがう風見鶏だ」 と言った(東京新聞2020年9月12日)。この岸田に対する評価は的を射ていると言うべきだ。岸田は、安倍政権の森友問題について、9月2日に「国民が納得するまで説明を続ける」 と強調したのだが、7日には「再調査等は考えていない」と言ったのだ。まさに、「スタンスやビジョンが一定せず、権力者の顔色をうかがう風見鶏」という言葉にぴったりな豹変ぶりである。
 風見鶏の岸田が「新自由主義的政策を転換する」と言ったのは、単に「受け狙い」なのか、新自由主義をまったく理解していないか、どちらかであるが、恐らく両方だと思われる。「新自由主義的政策を転換する」とは、全面的な自民党の方針転換になるからだ。安倍をはじめ自民党内有力勢力は、そんなことを許すことはあり得ない。もし、岸田が本気ならば、社民党か共産党に行くべきなのだ。

 なぜ日本だけが、コロナ危機においても新自由主義から離れられないのか、という疑問が湧くが、その答えは、新自由主義に抵抗する勢力、つまり左派が著しく弱いからである。例を挙げれば、アメリカのバイデン大統領は、2022年度会計年度に、大規模な社会保障制度の発足、気候変動対策への大規模投資 、雇用確保、無償教育の拡大を中心とした6兆ドルの予算案を提示した。さらに、これには、企業やキャピタルゲイン、富裕層への増税 も含む。これには、上院共和党幹部のミッチ・マコネル院内総務は「社会主義者の白昼夢」(英BBC)のようだと批判したが、それはこの方向性が新自由主義からの転換になるからだ。この予算案を民主党左派のバーニー・サンダースは「労働者階級の勝利」(サンダースtwitter)と評したとおり、バイデンが党内左派に押されてのことである。アメリカでは、既に、左派(いくらか中道寄りだとしても)が政権内に存在するのである。だから、このような予算案が提示されるのである。日本は、自公、維新の「明白な」右派が圧倒的に強く、それにメディアも強く影響を受けるので、アメリカのような方向性を示すことは不可能なのである。

 正体がばれるまで、最低3か月かかる
 傲慢な河野太郎であれ、優柔不断な岸田であれ、極右の高市早苗であれ、誰が総裁となっても、新自由主義を邁進するのは変わらない。新自由主義の邁進は、コロナ危機にあっては、特に国民生活を破壊する。例えば、新総裁に誰がなっても、感染収束がまったく見えていない状況でも、感染拡大を生むだけで、経済効果が疑わしい、GoToキャンペーンなど「経済優先」政策を打ち出すだろう。
 1年前の菅政権発足時は、内閣の支持率62%もあった。新首相に、「何か、いいことをしてくれるだろう」と期待するからである。それが、3か月後には、支持率と不支持率が同率となった。「いいこと」がなさそうだと分かるのに、3か月かかった、ということである。恐らく、今回も同じことが起こる。新首相の正体がばれるまで、最低3か月はかかる、それを繰り返す。日本では、この循環が何度も繰り返されるのである。それが、日本の「現代史」である。
 
 


 
 
 
 
 
 

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アフガニスタン 西側メディアのフェイク報道 

2021-09-04 09:39:47 | 政治
 

 アフガニスタンから脱出を望む多くの住民は内戦が原因
  
 西側メディアは、タリバンの権力掌握後、アフガニスタンから脱出を試みる人びとの報道を続けている。英BBCも米CNNも、カブール空港の大混乱や陸路、隣国パキスタンなどへ出国を待つ人びとの映像を流し続けている。あたかもアフガニスタンからの脱出する人びとは、タリバンの権力掌握後に発生しているかのように見える。しかし、それは本当なのだろうか?
 
 国連のUNHCRによれば、2020年の時点で、アフガン難民は290万人以上であり、逃避先としては、最も多くがパキスタンで150万人、次がイランで80万人以上に上っているという。世界中の難民数で、シリアに次いで多いのがアフガン難民なのである。UNHCRは「40年間の紛争が生んだアフガン難民」という言葉を使い、 その主な原因は、1979年のソ連の軍事進攻以来の内戦だとはっきりと言明している。それはタリバンの圧政以前に、ソ連による軍事進攻から大量に発生し、ソ連軍対イスラムゲリラ、北部同盟など軍閥対イスラムゲリラ、イスラムジハード主義者どうしの戦闘、米軍対イスラムゲリラなどの内戦によるものなのである。軍事衝突によって、巻き添えで殺され、家を焼かれ、住居も食料も失った多くの住民の生存の危機が多くの難民を生み出しているのである。
 
 バイデンの米軍撤退の決断に対して批判が巻き起こったが、その中で、最悪なのは「『最も長い戦争』を終わらせるという愚かな政治的スローガン 」という言葉を使ったトニー・ブレアのものだろう。虚偽の証拠に基づきイラク戦争を始めたこの元英国首相は、自分の過ちを反省するどころか、愚論を繰り返し主張している。ブレアは「アフガニスタンとその国民を見捨てることは 悲劇的」で、「イギリスとアメリカには、退避の必要があるすべての人が安全に国外に脱出するまで、アフガニスタンに留まる 」べきだと主張した。この愚かな政治家は、「退避の必要があるすべて人」がタリバンの復権以前に、数百万人もいた事実を完全に無視しているのだ。ブレアにとっては、アフガニスタン住民など「人」ではないかのようだ。また、このブレアの主張は外国の軍隊が領土内に存在することが、タリバンやその他のイスラムジハード主義者にとっての攻撃対象となり、軍事衝突によって命と生活が脅かされる人びとがいるという現実も完全に無視している。8月29日に米軍の攻撃で9人もの民間人が巻き添えで死んだことが、その象徴的な出来事だ。
 
 英BBCや米CNNが、タリバンの復権後に脱出を試みる人びとだけを報道することは、ブレアの主張を後押しすることになるのは明らかだ。視聴者は、40年間にわたりアフガン難民がいた事実を忘れ、タリバンの圧政だけが問題だと誤解する。そのことは、多くの視聴者が、タリバンの圧政に対抗する軍事介入を正当だと考える、その材料になるのだ。
 
 確かに、タリバンの圧政に逃げ出す多くの人びとがいることは事実だ。しかし、それ以前に数百万人の難民が存在することも事実なのである。そのどちらかしか報道しなければ、真実からはほど遠い。まさに、Fake虚報なのである。

 2003年の国連演説で、フランス外相のドミニク・ド・ヴィルパンは、アメリカのイラクへの軍事介入に「戦争と占領と蛮行を経験した古い国」だからこそ反対すると言った。その中で、「軍事介入は、すでに傷つき脆弱なこの地域の安定に、計り知れない深刻な結果をもたらすだろう。不正義に対する感情を増幅し、緊張を深刻化させ、さらなる紛争の引き金になりかねない。 」とも言っている。この言葉は、当然イラクにもアフガニスタンにも当てはまる。この演説に、国連議場内は総立ちで拍手が起きたのだが、ブレアも西側メディアも、100%そのことを忘れているのだ。
 
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