夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

菅政権の五輪強行開催で最悪の感染爆発的拡大。五輪後に菅の首が飛ぶ?

2021-07-28 09:45:21 | 政治
 
 オリンピックの開会式のNHKのテレビ視聴率は、56.4%(ビデオリサーチ社)と、1964年東京大会(関東地区61.2%)に迫る高視聴率となった。テレビ・新聞は日本人選手の「活躍」を連日報道し、国民の熱気を煽っている。さぞ、国民は菅政権の失政を忘れ、オリンピックに熱中しているかのようにも見える。
 しかしながら、オリンピックが開催された7月23日~25日の日経新聞とテレ東の世論調査では、内閣支持率が前回調査の6月から9ポイント低下の34%で、2020年9月に政権が発足してから最低となった。 開催以前の調査でも、7月9日~11日の政権応援団の読売新聞のものでも(読売新聞の世論調査は、質問文が政権に都合のいいように出るよう工夫されている。そのため、他のメディアより内閣支持率が高く出る。)、内閣支持率は37%と横ばいだったが、不支持率が53%(前回50%)に上がるなど、支持率の低下傾向が続いていた。それを挽回すべく、五輪の強行開催に打って出たのだが、開催後の世論調査でも、支持率低下に歯止めはかからなかったのだ。

  25日には、金メダルを獲得した髙藤直寿選手に、菅首相はお祝い電話をかけた。それを、ご丁寧にも、首相官邸のホームページでも動画付きで報じるなど、五輪に便乗しての人気回復に余念がない。与党幹部は、多数派の五輪中止の世論に「日本人選手の金メダルラッシュで、状況は一変する」と言ったが、そうはなりそうもなく、支持率回復はできそうもないのである。
 当然のことである。国民は、日本人選手のメダル獲得は、菅首相のおかげなどではないことを知っている。日本人選手を応援するが、コロナ危機が深刻さを増しているのを忘れるはずがないからだ。
 五輪開催の東京は、27日新規陽性確認者2,848人となり、1週間平均でも149%と爆発的な感染拡大が続いている。それでも菅首相は、記者団の五輪中止の質問に「人流も減っているので、そこはありえません」とまったく根拠なく答えている(朝日新聞27日)。それ以前にも、菅首相は重症者・死者は増えていないことを強調し、危険な状況にあることをを否定しているが、現実は、高齢者の感染は減ったとしても、それ以下の世代の爆発的感染拡大は、中等・軽症の著しい増加とその後の重症化を招くことは避けられず、医療の崩壊が迫っているが実情である。

 五輪の感染予防バブル方式の「穴」も避けられないが、それ以上に、「五輪をやっているのだから、自分たちだけ我慢するのは不公平」という意識を醸成させ、主に外での飲食の抑制だけという感染予防策では、所謂人流を抑制することはできない。日経新聞が25日、「都内飲食店の5割超、時短応じず」と報道しているように、緊急事態宣言の感染予防策はまったく機能していない。
 五輪のお祭りムードがある以上、行動抑制は歯止めが効かなくっており、ワクチンによる予防効果は高齢者のみで、感染が減少する要因なゼロとなっている。新規陽性確認者の増加は止まることはあり得ず、その数字は未知の領域に突入する。その中で、たとえ多額の放映権料を支払ったテレビ各局とはいえ、五輪報道を辞めることはできないが、厳しさを増す感染状況を無視することはできないだろう。新聞では、東京、毎日、朝日は、紙面で感染の状況を表す記事は増えており、菅政権応援団の読売、産経も、今のところ、感染状況の記事を五輪関連記事の片隅に置いているが、いずれ五輪より感染状況にスポットを当てる記事を書かざるを得ないだろう。

 支持率回復のための五輪強行開催は、完全に裏目に出たのである。自民党は、このままでは、衆院選の敗北は決定的である。当然、首相の「首の架け替え」論が噴出すのは必至だろう。5月27日に安倍前首相は、菅の後任候補に4人の名前を挙げたが、恐らくは、安倍自身が再再度、首相になりたがっているのは、間違いない。
 いずれにしても、そのような状況では、菅は自分から辞職を言い出す可能性が高い。記者会見での、おどおどした自信のない表情は、精神状態をも表している。安倍がそうであったように、精神状態から疾患に陥り、入院という構図が繰り返される可能性は高い。
 結局のところ、菅にとっては、最悪の結果ということになるだろう。しかし本当のところは、最悪なのは、コロナウイルスに蹂躙されつつある国民の方である。無能な政府のせいで、国民は甚大な被害を被るのである。
 
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日本独自のコロナ危機 ワクチン不足の原因② 国が「自治体に、ただばら撒いただけから」

2021-07-19 10:17:43 | 政治
 
 7月13日のNHKは「厚労省は(ファイザー製ワクチンの)8月前半の供給量を示し、大阪市や名古屋市など一定量の在庫があると見なした自治体については、人口に応じて配分する『基本計画枠』を今回から1割減らし」たと報道した。これ以前にも、7月以降は、自治体の希望数量より大幅に減らされた供給量が提示されている。要するに、 「厚労省は、全国にはワクチンの在庫が一定量あるはず (NHK同日)」と見ており、だから、国からの供給量を減らしても、不足することはないと言うのである。
 しかし自治体側は、全国知事会でも「ワクチン供給が急減しているので、迅速に改善すること」、「希望量のワクチンを必要な時期に確実に供給すること」を近く国に要請するという(複数報道)。これは、実際に自治体で予約の取り消し、集団接種の中止などに追い込まれている実情があり、仮に、厚労省の言うとおり、どこかで余っているところがあるとしても、不足している現場が多数あるのが事実なのだから、自治体の要求は当然だ。
 結局のところ、国とっては、大量のワクチンがどこに行ったか分からないということである。最近のアメリカでは余り気味、春頃のEU諸国では供給総量が不足が深刻だった。そして当然のことだが、世界全体ではワクチンは不足している。その中で、あるはずのワクチンがない、などというのがニュースになるのは、世界中で日本だけだろう。
 
 7月12日、加藤勝信官房長官は、記者会見で「6月末までに、輸入した1億回分の内、自治体には8,800万回分を供給し、接種実績は4,800万回で、差引4,000万回分が自治体や医療機関がお持ちになっている」はずだと言った。それまで、政府は供給実績を正確に公表せず、メディア情報では輸入した1億回分はそのまま供給されていると見られていたのだが、実際には8,800万回分だと明らかにした。6月末の段階で、その供給量の55%しか接種されておらず、45%は自治体側に残っている。だから、7月以降は、自治体側の希望数量より減らしても問題ないはずだ、と言うのである。
 本当のところは、はどうなっているのだろうか?

 朝日新聞は7月13日、自治体は「在庫なんてない」、「国の説明は実態と乖離している」と訴えていると書いている。
 この記事の中では、神戸市の例をあげている。国からの供給量は95万回分分で、接種券の読み取りを伴うVRS(ワクチン接種記録システム)の接種済み入力は68万回だが、それとは別に、市独自の集計方法では72万回で、2回目用に23万回分が確保してあるのだという。合計は95万回分で、単なる在庫として残っているものはない、という意味だ。
 どうやら、これが多くの自治体で起きていることだと思われる。
 そもそも、接種済みの入力は、国の要請ではVRSの他に「医療従事者等」や「高齢者施設等従事者」等は、V-SYS(ワクチン接種円滑化システム )にも入力することになっている。それが入力業務を複雑化しており、さらに、朝日新聞記事であるように、多くの自治体で独自集計も行っているので、本当の接種実績が見えづらくなっているのである。
 国は、VRSだけの実績で接種済み分を把握していたが、それは実際より少なく、さらに、各自治体では、1回目の予約分や2回目分を確保していたが、それを国は在庫と見做したということである。
 国が把握しているのは、各自治体の供給実績とVRSの接種実績だけである。その差から、十分ある、不足していると判断しているのだが、接種拡充に沿って、今後のきちんとした計画を立て、適正にワクチンを確保していた自治体も在庫が十分あると判断しているのである。
 しかしそれでも、それらを足し合わせたとしても、不明の解消にはならない。各自治体は、ワクチン供給にVRSの接種実績が加味されていることを知った7月に入ってから、VRSの入力を確実にするようになったので、実態に近い数字がVRSに入力されいると考えられるからだ。7月5日、12日の週で、11,000箱1,072万回分が供給されているからである。7月15日現在で、官邸による接種実績は累計6,670万回(モデルナも含む)で、自治体への供給量9,800万回、その差は3,000万回分以上になる。これは接種実績の方はモデルナも含んでいるので、ファイザーのみの自治体接種では、今までの接種合計の半分、少なくとも1月分以上になる。
 もし、自治体側が平均的に数週間程度先の接種量を確保していたとすると、ほぼ不足することにはならない。だが、実際には報道にあるように、7月後半の予約を多くの自治体・医療機関がキャンセルせざるを得ない状況に追い込まれている。何が起きているかと言えば、自治体への過大な供給偏りがあるということしか考えられない。今後の供給不足を懸念して、自治体よって在庫に余裕があったとしても公表することはない。
 首相官邸主導で、ワクチンをばら撒いた
 政府は、菅首相が、7月になって「先進国の中でも最も速い」とワクチン接種実績を自画自賛したように、支持率を上げるために自治体側に接種回数を増やせと半ば強制した。そこで自治体側は、能力をフル動員して接種回数を増やしたのである。そして、政府はその能力を過少評価していたのである。
 ワクチンの専門家である川崎医科大中野貴司教授は「短期間で一斉に接種しようとする場合、計算上の対象人数を上回る十分なワクチンを確保し、綿密な接種計画に基づいて供給するのが通常のオペレーションだ(朝日新聞7月18日)」と言う。これが、まとも政府のやることである。しかし、菅政権は官邸が司令を出す形で、接種の「対象人員」も想定せず、「綿密な接種計画」も策定せず、やみくもに接種実績だけを求めたのである。政府は各自治体の「対象人員」や「綿密な接種計画」や予定などは一切問い合わせていない。ただ希望数量だけを聴いただけである。その結果、自治体個々の必要な供給量も一切考慮せず、ただ各自治体にばら撒くように、供給したのである。
 そもそも、VRSを作成したのは、厚労省ではなく、内閣官房 IT 総合戦略室、つまり首相官邸である。官邸というワクチン接種の素人集団が厚労省を指導し、無理やり接種実績数だけを上げるために自治体に接種を拡充させ、後先考えずにワクチンをばら撒いたのである。上記の中野貴司教授の「首相官邸主導でやるんだという感じで、専門家に相談することも乏しかった」という言葉もそれを裏付けている。

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ワクチン不足の原因 ファイザー「5千万回分行方不明」 モデルナ「調達見通し甘すぎ」

2021-07-07 16:12:36 | 政治
 
 6月4日に、厚労省は、ファイザー製の供給量を大幅に減らすと、自治体宛てに通知を出した。 それは、7月には「自治体の希望した量の半分程度」(大村愛知県知事6月22日)しか供給されないというもので、それに対し、19日に全国知事会は「十分な量の確保と具体的な情報提供を国に要望」した。
 しかし、この時点では、「国もファイザー社製ワクチンが手元にあまりないのではないか (大村知事22日)」と懸念が示される程度で、ワクチン不足は、五輪の開催・中止、観客の有無の問題の陰に隠れ、まだ、大きな問題とは認識されていなかった。
 ところが、6月23日、河野太郎担当大臣が突然、国や自治体の大規模会場と職域接種で使用していたモデルナ製ワクチンが不足しそうだと言い出した。国は、不足しているのは、ファイザー製だけでなく、モデルナ製ワクチンも不足していることを明らかにしたのだ。当然この頃からは、メディアもワクチン不足を大きな問題として扱うようになった。
 それまでは、5月7日に菅首相は「1日100万回を目指す」と言い、6月9日には「10月から11月にかけ、希望する国民すべてに、(接種を)終えることを実現したい」と表明し、高齢者接種が半分も終わっていない段階で、なりふり構わず大量接種の大号令をかけていたのである。供給不足が表面化したのは、各自治体が接種スピード加速させ、大企業や大学、一部の業界なども職域接種に突き進もうとした矢先のことである。国が自治体に供給量を減らす通知をしたことで、自治体は接種枠の拡大から、一転して縮小に向かわざるを得なくなった。当然、それまでの市民からの予約を取り消す自治体も続出し、接種の現場は混乱した状況に陥っている。また、職域接種の新規申請は受け付けないとされたことで、当初申請に間に合わず、準備段階だった大学等の職場では、接種計画を中断させられた。なぜ、このようなことになってしまったのだろうか?

 不足の原因①「接種機会を増やし過ぎて、ワクチンがどこに行ったかわからない」
 ワクチンの海外からの調達は、ファイザー製ワクチンでは、6月の段階で既に1億回分以上あったことは政府も認めている。接種実績の方は7月6日時点で、ファイザー製とモデルナ製を合計しても5千2百万回であり、この数字だけを見れば、不足は起こり得ない。それが起こるのは、接種されていない約5千万回分のワクチンが、自治体に供給されたまま、どこに行ったか分からないからである。
 そこで政府は犯人探しをするかのように、6月22日、河野太郎は(自治体の)「申請の中には過大な接種量を申請しているところが散見され」ると言った。また同日、田村憲久厚労相は「自治体や医療機関に在庫がたまっている可能性があり、調査する」と言い放ち、供給不足の原因は、接種を進めている方にあると言いたげだった。
 要するに、ファイザー製は自治体の希望どおりに供給したら、足りなくなった。モデルナ製は、職域接種の申請を積み上げたら、足りなくなった、ということである。
だから、7月以降は、ファイザー製は希望の半分以下の供給となり、モデルナ製の職域接種は今後の申請は受け付けない、ということである。
 ファイザー製の方は実態として、ワクチンの供給済みの数字と接種実績の大きな差から、確かに、「自治体や医療機関に在庫がたまっている」のは間違いない。つまり、自治体や医療機関に在庫が大きく偏在しているのである。余裕のあるところと逼迫しているところの差が著しいのである。しかし、この原因を作り出したの政府である。
 多くの報道によれば、医療従事者に続き、高齢者に接種を開始した3月から4月の段階で、自治体には充分なワクチンは供給されなかった。つまり、自治体の希望より大幅に減らされた供給しかされなかったのである。それはその時点では、海外からの調達の遅れと実際の配送体制が充分に構築されていなかったためである。
 しかし、5月18日に河野太郎は「ワクチン供給に問題はない。自治体は接種をどんどん進めて欲しい」と言った。自治体側は、政府の指示どおり高齢者以外にも接種を開始し、また、政府は具体的な供給計画も見通しも明らかにせず、自治体の希望数量算出の目安も示さなかったので、希望どおりに供給されるか不安に陥り、自治体によって、その判断はまちまちで、上乗せして希望を出すところも数多くあった。しかしふたを開けて見ると、自治体の予想とは違い、5月、6月は希望にそった数量が供給されたのである。このことは、複数の新聞報道で明らかで、かなりの数の自治体の担当者が「こんなに来るとは思わなかった」と答えている。勿論、この時点では、政府は海外からの調達分が消費期限を心配しなければならないほど、充分確保していたからである。だから結果的に、適正な在庫を持つ自治体と在庫過剰な自治体が出てきたのである。
 これらのことはすべて、国のワクチン接種施策計画がずさんであり、さらにそのずさんな計画すら無視して場当たり的に実行した結果である。政府は、コロナ対策失敗の汚名返上のため、医療従事者・高齢者接種の完了を一定程度待つこともせず、単にワクチン接種数を上げることを最優先にし、当初の優先順位を完全に無視して、打てるところから打て、という方針に変更した。だから、多くの自治体で、接種現場を最大限拡大し、そのためにできるだけ多くのワクチン希望数量を国に返答したところが出てきたのである。
 ずさんな接種施策は、接種方法を自治体側に丸投げしたことにもある。それにより、自治体によって、集中接種会場を主体に医療機関を補助的役割に置いたところ、個別医療機関を主体にしたところとバラバラになった。例えば、東京都豊島区など、個別医療を主体にした自治体は、予約も各医療機関で行っている。このメリットは、接種場所を市民の住居からできるだけ近くに数多く設置でき、かかりつけ医が接種できることである。この場合、自治体は各医療機関からのワクチン希望数量を供給する。したがって、この方式が順調にいくのは、常に希望数量が潤沢に確保できるという前提にのみ可能ということになる。ひとたび、ワクチン数量が逼迫すれば、自治体側は数多くの各医療機関の接種状況を把握し切れないので、どこを優先供給していいか分からず、混乱するばかりになる。豊島区の医療機関が予約を断るシーンが、テレビで何度も放映されたのは、この事情による。
 国はワクチン接種に、VRSワクチン接種記録システムとV-SYSワクチン接種円滑化システム という管理システムを作っている。VRSは主に個人の接種記録を管理し、V-SYSは主にワクチン在庫・配送を管理するものである。自治体はV-SYSを通じて、ワクチンの希望数量や入荷情報を管理する。これらに各自治体や医療機関は速やかに入力し、国はその情報を一元管理できるというものである。
 これらが順調に運営されるのは、各自治体や医療機関が統一して速やか入力するという条件の下である。しかし、入力状況はそれぞれバラバラで、早くところ、遅いところと大きな差があるのが実態である。それは、このシステムの入力作業が煩雑で、人員不足の自治体は、その時間がないという状況が生じている理由による。また、システムへのアクセス権限者も明確化されていないので、実際に入力に携わる者も、各自治体でバラバラになった。都道府県、市町村、保健所、医療機関のそれぞれの担当者と、誰がやっているのか全体ではよくわからないのである。システムを設計した厚労省は、入力の人的な作業をまったく考慮しなかったからである。
 いくらシステムがあっても、使いこなせなければ、管理などできるはずはない。システムが期待どおりに動いていれば、国は医療機関や保管施設を含めた各自治体の在庫状況を一目瞭然に把握できるので、ファイザー製に限れば、今の時点でワクチン不足は起こらない。全体の接種実績の約2倍の供給を、総量として各自治体に配布済みだからである。7月以降9月までに、7千万回分が供給される見通しで、合計で1億7千万回分以上、8千5百万人分に達する。この数字は、人口の70%に相当し、接種が順調に進めば、集団免疫に近づくと考えられるものである。それでも、「不足」起こるのは、ワクチンが「どこに行ったか分からない。行方不明」のためなのである。
 7月8日、内閣府が都道府県別の供給量に対する接種率を公表した。宮崎県が68%で最も高く、大阪府が46%と最も低かった。この数字でも、全体で半分程度の接種しかされていないので、当面の間、不足はないように見える。しかし、国も認めているが、実態は未入力がどれくらいあるのか、見当がつかないので、正確なところはまったく分からないのだ。これは、各自治体も同様に、その先の接種機関の実態が分からないので、在庫の偏在が正確に把握できないのである。
 さらには、日本が公表しているVRSによる接種実績も、本当に正しいかどうか分からない。未入力や誤入力がどれくらいあるか分からない。それが実情である。

 原因②「調達見通しの甘さ」
 モデルナ製の方は、実際に調達できた数量が当初の契約より少なかったという理由による。当初は、6月末までに4000万回分調達できるはずが、1370万回分だったということである。これについては、河野太郎担当大臣は5月連休前から知っていたが、批判を避けようと、恐らく意図的に公表を遅らせたので、問題がさらに大きくなっただけである。
 そもそも、ワクチンが契約どおりには、調達できないのは、国際的「常識」である。EUがアストラゼネカ社に供給遅れを理由に提訴したのは、3月と5月のことである。そのことで分かるように、世界的にワクチン争奪戦が起きており、契約どおりにならないのは、冷静な人間なら誰でも予見可能なことだ。それだけ、日本政府は「世界の非常識」のことをやっているのである。

 もはや、こういう状況になるのは、政府の「バカ丸出し」のせいとしか言いようがない。
 
 
 
 
 
 
 
 



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