青リンゴ観察日記

韓国漫画「世紀末青リンゴ学習塾」観察ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

第二十五話②

2021-07-21 | 第二十五話〜第二十七話

「たくさん食べなさい」

テーブルに並んだ料理を前に、ミエのテンションは上がった。

そんな愛娘を、父はニコニコ見ている。

「わ〜!」「ミエ、いっぱい食べなさい〜」

ふと前を見ると、チョルもまた黙々と料理を口に運んでいた。

「チョルはよく食べるんですよ。牛一頭食べるんじゃないかってくらい」

そんな子供達を見ながら、大人達は感慨深そうに会話を続ける。

「子供達がもう受験生なんて・・月日が経つのは早いですねぇ」

フシギ

そのチョルの食べっぷりを見たミエが、口をあんぐりと開けていると・・。

何見てんだよ

ギロリと睨みながら、チョルが口だけ動かしてそう言った。

うっ・・・

チョルが妹の方を見て「口元を拭け」と声を掛ける。

そんなチョルのことを、ミエはイライラしながらじっとりと見ていた。

 

「今年は正念場ですね」

「今年頑張れば、二人とも良いところに行けますよ」

両親が話している横で、チョルが餃子に手を伸ばした。

すると向かいから箸が伸び、狙っていたそれを横取りする。

パッ

「あ〜〜うめぇ〜〜これうまいわ〜〜」

あんぐり・・

 

「そうですね。この子達の未来を考えたら・・」

親達が子供のためを思っての会話を続けている間、当の本人達は・・。

シャッ シャッ シャシャッ

ムシャムシャムシャ!

そんな二人に、この人が声を掛けて来た。

「アンタら何やってんの?」

「うわあっ舌噛んだ〜〜!」 「ダイジョブ?」

遅れてやって来たその人は、スンジョン姉さんだった。

ミエは噛んでしまった舌を押さえながら、しばし痛みに耐えるのだった・・。

 

<昔の話>

両親達は料理を口に運びながら、昔話に花が咲く。

「ミエがご飯をよく食べるから、おばあちゃんがいくらでも出して来ましたよね」

「あぁ、ミエが焼酎を水だと思ってグラスを飲み干して!」

「ぷはははは!ベロンベロンになってなぁ〜」
 
「チョルは”チョルとミエ”の話題が出るだけで大騒ぎしてねぇ」
 

「そしたらミエが気を失って、目をパチクリさせた後何事もなかったかのように・・」

「ワハハ!結局二人が踊るのは見れなかったですよね〜」
 

完全に話のツマミ にされているチョルが、「頼むからやめてくれ・・」と小さく呟いた。

けれど大人達はそれさえも微笑ましいらしく、笑顔で話を続けている。

「それでも二人、仲良かったものね?」「そりゃもう!」

は・・?いつの話ですか・・?
 
 
とても信じられない真顔の二人が遠くを見つめているが・・(笑)

そして親達の昔話大会に、今度はスンジョンが参戦する。

「いやもーこの子達どんだけ面白かったか!」

そう言ってスンジョン姉さんは、昔のエピソードを一つ話し出した。

「その子と私は両手をそっと握って、音楽に合わせて足を運び・・・」

「アンタは女の子をもっと知らなきゃダメだよ!一緒に読も!」

「うわーっあっち行けーっ!」
 
 
「ミエが、チョルが遊んでくれないと私の本持ち出してチョルを追いかけてさ、

チョルがたまらなくなって逃げ出して、二人一緒にゴロゴロ転んでたよね〜」

 

涙を流して笑う姉に、チョルが声を荒げて止めにかかる。

「おいちょっと止め・・」

「あ、あの本どうしたんだっけ?引越しの時全部処分したかな?

小さい時面白いもんいっぱい持ってたのに・・。
 
アンタ前大掃除した時、私のものは捨ててないよね?」

大人達が席を外している時に、スンジョンは引越し荷物の話題に触れた。

「あの時何捨てたのか覚えてる?」

「!」

チョルがピクッと反応する。

ミエは気になる場面を思い出していた。

「え?箱ラーメン・・?」

あの時、ラーメンの箱に入れられた処分物を前に、チョルが確かしゃがんでいて・・。

ドンッ!

ハッと気がつくと、目の前にすごいオーラを纏った大魔王がいた。

「食え。い〜〜っぱい食え」

”そして口を噤め”そんな暗黙のメッセージが、ひしひしと伝わってくる・・。

ハッ

「ゴミ捨て場で俺を見たこと、誰にも言わないでくれ」

そうだった。チョルには固く口止めされていたのだった。

「なんか言いかけてなかった?」

スンジョン姉さんがそう聞くも、ミエはその後押し黙り、

ただ料理を口に運ぶだけだった・・・。

 

+)

「あたしちっちゃかったから覚えてない」

 

当時ファニは3歳だったので、まるで覚えていませんでした

 


第二十五話②でした。

お父さんがたくさん食べる娘を見てニコニコしているのがいいですね

餃子を奪い合う二人も面白かったです

あの遠い目をしてる二人とかww

 

第二十五話③に続きます


第二十五話①

2021-07-19 | 第二十五話〜第二十七話

「週末まで顔を見たくない」そんな台詞で喧嘩別れしたチョルとミエ。

次の日(日曜日)、思わぬところで顔を合わすことになる。

「集まったわね。入りましょうか?」

「ここが美味しいと評判の・・」

二人は、「□□飯店 中華料理」の前に居た。

呆然と突っ立っている二人に構わず、家族はゾロゾロと店へと入って行く。

「家族で外食初めてだわぁ」「そうなんですよ、引っ越して来てからかなり経つのに」

「うわぁ・・」と呟くミエと、深いため息を吐くチョル。

何と二人は、週七で顔を合わせることになってしまったのである・・。

 

<やめて、お父さんお母さん>

「子供達も一緒に食事するのは初めてじゃないですかね?」「ですね」

「田舎からこっち出て来るまで機会がなかったですもんね。たまにこういう場を設けましょうよ」
 
「いいですね!」「あとでスンジョンも来ますので」
 

週七で会うことになった ファン・ミエとキム・チョルは、未だ呆然としていた。

青ざめた顔で項垂れるチョル。

「帽子脱ぎなさい!」

・・の目の前に、目が点になったミエがいる。

「昼だからお酒はやめときましょうか」

[ファン・ミエは知らなかったのだ]

[両親が外食しようと言って]

「ミエ、今日のお昼は外食するよ」「◯◯飯店!」
 
「わ〜!美味しそう!」
 
 
「ムンク、行ってくるわね」
 

しかし、外を歩いていたらいきなり母から言われた。

「あ、そうだ。チョルくんとこと一緒だからね」

「えっ?!」

「えぇ・・・????」 「あらどうも〜〜」

[ただルンルンとついて来たのだ・・]

 

そして場面は冒頭へと繋がり、今に至る。

「お母さんがお兄ちゃんに言ったら来ないからって言わなかったの」

「お昼ご飯食べさせなくちゃ」

ミエは 自分と同じように連れてこられたのだろう チョルをじっと見ていた。

バチッと目が合う。

フイッ

ベー

チョルは目を逸らし、ミエはあかんべーをする。

そんな二人を見て、チョルの父親が大きな声で笑った。

「はっはっは!とにかくー・・」

「これはもう互いの契りを交わすべきですかねぇ〜!”チョルとミエ”のー・・」

父がバンバンと息子の肩を叩くと、チョルはブフーッと水を吹き出した。

口元を拭いながら、すごい目で父を見るチョル。

「おお?睨むなよ。自分の父親だぞ?自分の父親睨んじゃダメだぞ?」

このままでは昔と同じいつもの流れになるーー・・。

そう予感したミエは、必死になって事実を喋り出した。

「ていうかあの”チョルとミエ”は結婚しなかったんですけど!

なんでいつも変な風に言うんですか?!昔から疑問だったんですよ!!」
 
「ただからかってるだけじゃない。どうしてそんなに本気になるの?」

そう言って母は娘をたしなめ、そして父は・・。

「私は・・賛成です・・」

「私は本当に心から・・」
 
「お父さんやめて!ストップ!!」
 
子供達の抵抗も虚しく、大人達は楽しそうに笑っている。
 

[両親達は一体どうしてこんなことをするのか]

するとチョルの母親が二人に話題を振った。

「二人とも塾はどう?充実してる?」

「チョルくん勉強教えてやってよ!」

「この子達、家も近所だし、学校のクラスも一緒、席も隣、
 
その上塾も一緒と来たら、ますます縁が深まりますなぁ〜」
 
 
「縁ですわ!良縁!」
 
 
[ヤメテ・・]
 
お料理が運ばれて来ても、両親たちはずっとその話題で盛り上がっていた。
 
当の本人達は、うんざりとした表情でただ向かい合っている・・。
 

第二十五話①でした。

ここのファニちゃんww

チョルの吹き出した水をかぶったのに、大人しく拭いてるww優しい子!!

大人のからかいってなんであんなに嫌なんでしょうね〜〜

思春期は気になりますよねぇ・・。

 

そして第二十五話の扉絵はこちらです!

なんて可愛いww

 

第二十五話②に続きます


第二十四話⑤

2021-07-17 | 第二十二話〜第二十四話

チョルに捨て台詞を吐いたミエが外でチャ・ヨンヒを待っていると、

ヨンヒは風船ガムを膨らませながらこう言った。

「あ、ゴメン今度にしよ。約束あったの忘れてたわ」

「!」

一緒に勉強しようと誘って来たのはヨンヒなのに・・。

ミエは面白くない気分のまま寄り道をした。

[プンプンしていたファン・ミエは、図書館に行って一人勉強・・]

[・・・]

その時地下鉄で突然手が出てきて・・ と続く文章に目が離せないミエ。

勉強していたのではなかったのか・・?

貸し出しで ピッ

結局そのホラー本を借りたミエは、図書館を出ると、

とぼとぼと夕焼け空の下を歩いた。

[面白い本を読んでいる時はしばらく忘れていたけれど]

[頭の中でリピート再生される、塾での出来事]

 

「嫌がってる奴がいるから、一旦ちょっと考えようぜ」
 
「俺がどうにかするから気にすんじゃねぇ!何でこんな・・ただ渡せばいいんだよ!」

”塾では仲良くしよう”と言ったのに、チョルはまるでその正反対のような態度だった。

[いや、だけど]
 
[このようなことが、
ファン・ミエの人生の中でそんなに重要なことなのかというと・・]

ブウ

[別にそういうことでもないみたいだけれど]

こんなことは別に重要なことじゃない。

頭では分かっているけれど、胸の中はモヤモヤとイライラのせめぎ合いだった・・。

 

<なぜかイライラする>

 

もうすっかり暗くなった空の下を、キム・チョルは自転車で走っていた。

家への帰り道、ペダルを漕ぎながら思い出すのは、

先日耳にしたモ・ジンソプの言葉だ。

 

「あ、そうだ!ピアス!もらいに行くつもりがウッカリしてた」

「あれ?さっきミヨンちゃんどこで渡すって言ってたっけ?覚えてねー

あ、ヤバもう時間過ぎてるし」

「また今度会った時でいっか。持っててくれたらいいな〜」

モ・ジンソプのいい加減な言動にイライラしながらチョルは、

ピアスは自分が預かろうと決めたのだった。

しかしながらミエといえば・・。

「バーカ!!」

ミエの為を思っての提案だったのに。

チョルは深いため息をついて下を向いた。

キイッ

家の周辺は狭い路地が入り組んでいるので、チョルは少し手前で自転車を降りて押した。

以前、ファン・ミエとぶつかった辺りだ。

 

顔を上げた瞬間、チョルはヒイッと息を飲んだ。

そこにミエが立っていたからである。

バッタリ

じっとりとした目でチョルを見ているミエ。

チョルは若干引きながら口を開いた。

「・・お前は待ち伏せして飛び出すのが趣味か?」

「はぁ?!偶然会ったのに!いつ私がそんなことした?!」
 
「いやお前昔からそうだろ・・」
 
「アンタの方こそそうなんじゃないの?!」
 
「ひっ!なんで俺が!」
 
「今日のアンタ、マジで超おかしいよ!」
 

イラッ・・

話せば話すほど、胸の中にメラメラと怒りの炎が燃えていく感じがした。

ミエは拗ねた子供のように、口を尖らせて文句を続ける。

「私抜きでアンタ達が勉強できりゃそれでいいんでしょ」

「それは・・ホンギュの意見も・・」
 
「いや私のこと絶対入れなきゃいけないわけじゃないってこともわかるよ。
 
けどアンタさぁ、」
 

「もしかして塾では仲良くするって言ったこと、全然気にかけてくれてないんじゃない?」

「はぁ?いや俺が何をどう・・」
 

チョルはそこまで言ったところで、何か色々なことが面倒くさくなってしまった。

ピアスのことを気を回したのに馬鹿と言われ、ミエと友人との間で板挟みにされ・・。

「・・・・」

「・・もう帰れ。塾外で誰と勉強しようが関係ないだろ」

「なっ!この卑怯者・・!」

「学校でも近所でも塾でも会うのに、週末までお前の顔見なきゃなんねーのか?」

「俺、自分の家族よりお前の顔見てるぞ!」

「ぐぬぅ・・!」

ミエが歯をギリギリさせている間に、

チョルは家へと入って行ってしまった。

バタン

「・・・・」

イライラ、ムカムカ。

怒りなのか悲しみなのか分からないモヤモヤが、胸の中に充満する。

ブルッーーーーー

「口ばっかりかーーーっ!!」

「口先ばっかりいい返事して!嘘つきヤロー!」

ミエは思いの丈を夜空に向かって叫んだ。

空の端の方にぼんやりと光る点が見える。

「あっ!飛行機!」

「お前も口先ばっか!」

願いを叶えると言われていた飛行機も、

”塾では仲良くする”にうなづいたキム・チョルも、みんな口先ばかりだ。

「うん」 

「塾外で誰と勉強しようが関係ないだろ!」

「何が”うん”だよ何が!ふん!」
 

プリプリと怒りながら、ミエは家へと帰って行った。

もうこの週末は、キム・チョルには会いたくないと思いながら・・。

 

 


第二十四話⑤でした。

少し時系列が前後していたので、二十五話の冒頭と二十四話を混ぜて載せています。

ご承知くださいませ

 

いや〜噛み合いませんなぁ・・。

お互いがお互いを思ってはいるんだけど・・噛み合いませんなぁ・・

二人だけならなんとかなりそうでも、周りの友達やらの気持ちを考えると複雑ですしね。。

ここからどう二人が仲良くなっていくのか、楽しみに待ちます・・!

 

第二十五話①に続きます


第二十四話④

2021-07-15 | 第二十二話〜第二十四話

「さようならー」

塾の授業が終わり、学生達はゾロゾロと帰路を急ぐ。

「先行ってて」「うんっ」

エレベーターは混んでいるので、ミエは階段を小走りで降り出した。

すると。

「おい、ファン・ミエ 」

振り返ると、そこにはキム・チョルが立っていた。

「あ・・うん?何?どしたの?」

なんだかちょっと期待 しながらミエは、階段の上にいるチョルに聞く。

もしかしたら一緒にネットカフェに行ってもいいと言ってくれるのだろうか・・。

しかしチョルの口から出たのは、予想もしていなかった話題だった。

「ピアス返したか?」

ピ ア ス・・・?

突然すぎて目がまん丸になるミエ。

何故チョルは、そのことを何度も聞いてくるのだろうか。

「あ・・ううん?」

「じゃあ明日預かる。ダメなら月曜の朝。俺が返しとくから」
 
「へ?なんで?」
 

「モ・ジンソプが誤解したらどーすんの?」

「それは俺がどうにかするから。とりあえずピアスを俺に渡せ」

チョルは淡々と要点のみを口にする。

二人が話している光景を、ホンギュとジョンウクが少し離れた所から窺っていた。

何だ? 何の話?

「あ・・だから一体どうして・・」

そこまで言ったところで、ミエはチョルの心の内をキュピーンと察知した。

「私のことが心配だから?!」

パアッと目を輝かせるミエ。チョルは青ざめて言い返す。

「なっ・・!」

「何だそりゃ!?なんで俺が・・!」

「それじゃどうして?バレるかも知んないじゃん!アンタだってそうなったら嫌なくせに!」

 

「このっ・・!いいから渡せって!俺がどうにかするから気にすんじゃねぇ!」

チョルがこう言い始めたあたりから、ミエの心の中に怒りの炎が燃え始めた。

「なんで?アンタこそ何を突然そんなに気にしてんの?」

「はぁ?!」
 

「つべこべ言うんじゃねぇ!」

「何でこんな・・ただ渡しゃあいいんだよ!」

メラメラと、一気に炎は燃え上がった。

そしてミエは遂に、爆発したのである。

「やだね!!ふざけんなっ!」

「?!なっ・・!!」「あのねぇ!」

「アンタが知り合いだってのバレるのが嫌って言うから協力してるんでしょうが!!

ピアスピアスうるせーんだよ!渡せ渡せってうっとーしい!!状況理解してる?!
 
アンタがモ・ジンソプに渡すとややこしいことになるって言ってるでしょーが!!何度言わす!?」
 

「ピアスの前に自分のスニーカー持ってったらどうなの?!

アンタのス二ィーカァー!!」

スニーカー・・!!!

突然スニーカーを引き合いに出され、チョルは頭が真っ白になってしまった。

ミエは捨て台詞を吐いてその場から走り去る。

「バーカ!」

ダダダダダ・・・

「・・・なっ・・何だぁ?!」

あんぐりと口を開けて青ざめるチョルを、

ホンギュとジョンウクは信じられない思いで見ていた・・。

「あ・・あいつ何なんだ・・キム・チョルに向かって・・」

「てかあの子悪口言ってなかった?」
 

第二十四話④でした。

ミエちゃんめっちゃ言い返すなww

チョル君も言葉足らずだな〜〜〜。

普通の子相手には通用するかもですが、ミエちゃんにはそれは通用しない・・。

お互いの距離感がまだまだつかめない感じですね。

この先に期待です!

 

第二十四話⑤に続きます


第二十四話③

2021-07-13 | 第二十二話〜第二十四話

「あ〜スカッとする〜」

ミエは炭酸飲料を飲んでカラカラと笑った。

ここは塾の自販機前・・。

連れて来られた チャ・ヨンヒと共にミエは、

高句麗中のメンバーと並んで立っている。

気まず・・

場に流れる空気は気まずいものだったが、

ミエは男子三人をマジマジと見ながらこう思っていた。

この子達が高句麗中の面々・・!

すると、隣に居た男の子が話し掛けて来た。

「チョルと同じクラスなんだって?」

「あっ、うん!しかも隣の席なの!家も真向かいだし!」

「名前のせいでめっちゃからかわれるだろ」

「う・・まぁ・・」

唇を尖らせるミエの横で、チャ・ヨンヒがチョルに視線を送る。

「誰がキム・チョルをからかうっての?牙を失くしでもした?」

話題の中心にされるのが苦手なタイプ のチョルは、今の状況に息が詰まりそうだ。

気心知れたような彼らのやり取りに、ミエは改めて聞いてみる。

あ・・

「それじゃ、あなた達みんな高句麗中の友達なんだね?!」

「!」

ミエのそのセリフに一番反応したのは、真向かいのベ・ホンギュとチャ・ヨンヒだ。

「なっ、誰が友達っ・・!こんなヤツと・・」

「こんなガキくさいチビとぉ?」

そうなんだ、とミエが納得すると、ヨンヒが三人を指差して言った。

「ま、この三人がよくつるんでたかな」

ベ・ホンギュ キム・チョル パク・ジョンウク これが仲良し三人組というわけらしい。

ヨンヒは言葉を続ける。

「そんでキム・チョルが転校・・」

「・・してどんなに残念だったか・・見応えのないチビガキばっか残りやがって・・」

「あっクソッ!俺お前よりはデケーかんな?!クラスでもデカい方だし!」

「誰もアンタのことだなんて言ってないのに答えるとこを見ると、やっぱり自覚あるってことだな」

「何言ってんだよ!テメーなんてサザエより小さいだろが!」「はぁ?ムッカつく」

続く不毛な言い争いに、チョルが「もう止めろ・・!」と間に入る。

ミエはそんな彼らのやり取りを興味深そうに窺っていた。

そんなミエを見ていたのはパク・ジョンウクだ。

彼はもう一度ミエに話し掛ける。

「あの・・ファン・ミエ?」 「うん?」

「俺ら三人、土曜日の授業終わってから勉強してるんだけど、君も来る?」

「!!」

その突然のお誘いに、ミエはパアッと目を輝かせた。

「えっ?!ホント!?」

「ウエッ?!何だぁ?!俺嫌だかんな?!」

と同時に、ベ・ホンギュが異議を申し立てたのであった。

「いきなり何言い出すんだよジョンウク!俺らの集まりに知らねーヤツ呼ぶなんて!」

「え?知らない奴ではないだろ。チョルの友達じゃないか」
 
「チョルの友・・」
 

「・・・・」

ベ・ホンギュはパク・ジョンウクと、そしてファン・ミエとを訝しげな目つきで見ると、

尚もジョンウクに反論した。キム・チョルは隣でそれを黙って見ている。

「つーか気まずいし!知り合ってまだ何日も経たない奴と!何勝手に誘ってんだよ!」

「デカい声出すなって」

「俺の意見も聞けよな!」「あ、あの嫌だったら別に・・」

予想外の揉め事に、思わずアタフタするミエ。

ベ・ホンギュはうんざりしながら、今度はその矛先をチョルに向ける。

「キム・チョル!お前はどうしたいんだよ!?」

チョルは黙ったまま、ゆっくりと視線をミエに、

そしてホンギュへと移した。

そして、ゆっくりと口を開く。

「・・嫌がってる奴もいるから、一旦ちょっと考えようぜ」

 

「まだ時間あるから・・」

ミエは何も言わず、(突然のことだったからな)と心の中で思う。

けれど何故かしゅんとするような、変な気持ちだった。

[正しい意見だ・・。

自分よりも仲の良い子を優先させることも当然だ。

だけど・・]

[だけど、どうしてこんなに寂しいんだろう]

一体この気持ちが何なのか、よく分からないままミエは俯いた。

そして何故こんな気持ちにならないといけないのかを考えると、幾分ムカつきもした。

いやそもそも入れてくれなんて言ってないっつの ムキーッ

顔を顰めるミエを見て、誘ったジョンウクが「ごめん」と謝った。

それを見ていたチャ・ヨンヒが、見かねてミエを誘う。

「なぁ、こんなガキンチョ達と勉強したいか?私とやろーぜ私と!」

「ホント?!」「あぁ。今日行くぞ!」「わぁ〜!」
 

ホンギュはそれを聞いて悪態を吐き、ヨンヒがまたそれに言い返していた。

チャ・ヨンヒが土曜日に勉強?ウケるわw
 
オメーらだってどーせゲーセン行くんだろ

どうやらこの二人は犬猿の仲らしい。

そんなことを思いながら、ミエは塾が終わるのを楽しみに待つのだった。

 


第二十四話③でした。

なんとなく・・ジョンウクに青田淳味を感じてしまったのは私だけ・・?

↓本家・黒青田(怖っ)

ミエちゃんはショックでしょうが、

中学生男子としてはホンギュ君の反応が真っ当な気がします。

ヨンヒちゃんとホンギュ君の言い争いも面白いですねw

 

第二十四話④に続きます