チョルに捨て台詞を吐いたミエが外でチャ・ヨンヒを待っていると、
ヨンヒは風船ガムを膨らませながらこう言った。
「あ、ゴメン今度にしよ。約束あったの忘れてたわ」
「!」
一緒に勉強しようと誘って来たのはヨンヒなのに・・。
ミエは面白くない気分のまま寄り道をした。
[プンプンしていたファン・ミエは、図書館に行って一人勉強・・
[・・・]
その時地下鉄で突然手が出てきて・・ と続く文章に目が離せないミエ。
勉強していたのではなかったのか・・?
貸し出しで ピッ
結局そのホラー本を借りたミエは、図書館を出ると、
とぼとぼと夕焼け空の下を歩いた。
[面白い本を読んでいる時はしばらく忘れていたけれど]
[頭の中でリピート再生される、塾での出来事]
”塾では仲良くしよう”と言ったのに、チョルはまるでその正反対のような態度だった。
ブウ
[別にそういうことでもないみたいだけれど]
こんなことは別に重要なことじゃない。
頭では分かっているけれど、胸の中はモヤモヤとイライラのせめぎ合いだった・・。
<なぜかイライラする>
もうすっかり暗くなった空の下を、キム・チョルは自転車で走っていた。
家への帰り道、ペダルを漕ぎながら思い出すのは、
先日耳にしたモ・ジンソプの言葉だ。
「あ、そうだ!ピアス!もらいに行くつもりがウッカリしてた」
「あれ?さっきミヨンちゃんどこで渡すって言ってたっけ?覚えてねー
「また今度会った時でいっか。持っててくれたらいいな〜」
モ・ジンソプのいい加減な言動にイライラしながらチョルは、
ピアスは自分が預かろうと決めたのだった。
しかしながらミエといえば・・。
「バーカ!!」
ミエの為を思っての提案だったのに。
チョルは深いため息をついて下を向いた。
キイッ
家の周辺は狭い路地が入り組んでいるので、チョルは少し手前で自転車を降りて押した。
以前、ファン・ミエとぶつかった辺りだ。
顔を上げた瞬間、チョルはヒイッと息を飲んだ。
そこにミエが立っていたからである。
バッタリ
じっとりとした目でチョルを見ているミエ。
チョルは若干引きながら口を開いた。
「・・お前は待ち伏せして飛び出すのが趣味か?」
イラッ・・
話せば話すほど、胸の中にメラメラと怒りの炎が燃えていく感じがした。
ミエは拗ねた子供のように、口を尖らせて文句を続ける。
「私抜きでアンタ達が勉強できりゃそれでいいんでしょ」
「もしかして塾では仲良くするって言ったこと、全然気にかけてくれてないんじゃない?」
チョルはそこまで言ったところで、何か色々なことが面倒くさくなってしまった。
ピアスのことを気を回したのに馬鹿と言われ、ミエと友人との間で板挟みにされ・・。
「・・・・」
「・・もう帰れ。塾外で誰と勉強しようが関係ないだろ」
「学校でも近所でも塾でも会うのに、週末までお前の顔見なきゃなんねーのか?」
「俺、自分の家族よりお前の顔見てるぞ!」
「ぐぬぅ・・!」
ミエが歯をギリギリさせている間に、
チョルは家へと入って行ってしまった。
バタン
「・・・・」
イライラ、ムカムカ。
怒りなのか悲しみなのか分からないモヤモヤが、胸の中に充満する。
ブルッーーーーー
「口ばっかりかーーーっ!!」
「口先ばっかりいい返事して!嘘つきヤロー!」
ミエは思いの丈を夜空に向かって叫んだ。
空の端の方にぼんやりと光る点が見える。
「あっ!飛行機!」
「お前も口先ばっか!」
願いを叶えると言われていた飛行機も、
”塾では仲良くする”にうなづいたキム・チョルも、みんな口先ばかりだ。
「うん」
「塾外で誰と勉強しようが関係ないだろ!」
プリプリと怒りながら、ミエは家へと帰って行った。
もうこの週末は、キム・チョルには会いたくないと思いながら・・。
第二十四話⑤でした。
少し時系列が前後していたので、二十五話の冒頭と二十四話を混ぜて載せています。
ご承知くださいませ
いや〜噛み合いませんなぁ・・。
お互いがお互いを思ってはいるんだけど・・噛み合いませんなぁ・・
二人だけならなんとかなりそうでも、周りの友達やらの気持ちを考えると複雑ですしね。。
ここからどう二人が仲良くなっていくのか、楽しみに待ちます・・!
第二十五話①に続きます