”読書クラブ”の教室に一足踏み入れたチョルは、仏頂面をして立ち止まっていた。
こちらを向いてニコニコしている、モ・ジンソプが居たからであった。
空席 は前の方にいくらでもあった。
モ・ジンソプは、そっぽを向いて歩くチョルに向かって話し掛ける。
「あ〜マジで寂しいなぁ〜」
「カツアゲしてると思われて〜挨拶しても毎日無視されて〜
モ・ジンソプの言葉が、チョルの背中にグサグサと突き刺さる。
チョルは胸の内で、皮肉にも似た言葉をなぞる。
けれど、とチョルは思い直す。
[失態は失態だ]
「すまん。さっきは俺が悪かった」
そうストレートに謝った。
じっとモ・ジンソプを見る。
教室では、その謝罪を聞いた生徒達がざわついている。
モ・ジンソプもまたチョルのことをじっと見ていたが、
やがてニッと笑った。
モ・ジンソプはそのまま立ち上がり、チョルが座った隣の席に荷物を置く。
「ね、お前俺だから許したんでしょ?
あんな風にお節介してたらぁ、いくらお前が大魔王でも揉めちゃうよ。大人しくしてな〜?」
チョルは小声で「ついてくんなよ」と牽制するが、モ・ジンソプはお構いなしだ。
「なぁ、終わったら女の子達と遊びに行かない?」
「くっちゃべってないで問題解けよ」
チョルは(グイグイ来るな・・)とモ・ジンソプの人懐っこさに引き、
激しく後悔中 である。
そしてそのまま問題集を出してそれに取り組むチョルを見て、
モ・ジンソプは呆れたようにこう言った。
「へ〜マジで頑張ってんね。
「みんなそういうのって心配になんないのかな?
チョルがペンを置いたのは、モ・ジンソプの質問がどこか心に引っ掛かったからだった。
けれど。
[大魔王は別段答えたくなかった]
特にそれには答えぬまま、クラブの時間をやり過ごしたのだった。
<なるようになる>
下校時間になり、ミエはユンヒ達と校舎を後にする。
[気分良く下校するファン・ミエ]
その友達、とは”クラシック鑑賞クラブ”で一緒になったハン・ソンイである。
彼女はミエのやっていた塾の宿題の解説までしてくれた。
「私この問題分かるよ。説明しようか?」
「ホント?!」
「ありがとぉ!!」
[ここ数日手こずっていた宿題が大体終わった]
そんなわけでミエは気分良く下校中だ。
道すがら、ユンヒ達の通う塾「最高学院」の宣伝か、無料でノートを配っていた。
「ノートどうぞ〜」
「うちの塾に来て下さ〜い!」「学生さん、ノートどうぞ〜」
土曜日は興奮している娘達 であった。
娘達は、そのままカラオケへと移動する。
ひとしきりファイアボーイズ を歌い踊った後、
ユンヒがミエに話し掛けて来た。
「ミエ、塾はどう?」 「うーん・・分かんない」
そう言って励ましてくれる友達に、ミエは嬉しくなってへへ・・と笑った。
「高校は一緒んとこ行こうね〜!」「行こうね〜!」「イエ〜!」
そうして娘達は、束の間の休息を楽しんだのであった。
第二十四話①でした。
ミエちゃんとユンヒちゃん達は良い友人関係ですよね〜
尚のこと同じ塾に通わせてやりたかった、と思ってしまいますね(親目線)
モ・ジンソプとチョルも良い感じに!
モ・ジンソプに結構嫌味言われてましたけど、スパッと謝るチョルが男らしくて推せます
第二十四話の扉絵はこちら
いつもチョルがかぶってるキャップ!!ドジャースのでしょうか!?
帽子屋で同じの探してしまいそう・・
第二十四話②に続きます