川塵録

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モタモタ弁連のモタモタ調停の「戦略」とは?

2023年12月03日 | 法律・海外法務
昨年11月に結成されたネオ霊感弁連(統一教会被害対策弁護団。弁護士350人。事務局は拉致監禁に深く関与した紀藤正樹弁護士 こちら の事務所)は、124人くらいの申立人の、総額40億円近くの「信仰やめた献金返せ」請求(集団交渉)を、東京地方裁判所に調停申し立てしている。

献金とか被害の証拠を、一つも出さずに。半年以上、家庭連合側からの回答に応じずに、モタモタ調停している。遅延戦略を取っている。

  • なぜ裁判ではなくて調停なのか?
  • なぜ個別交渉ではなくて集団交渉なのか?
  • なぜ結成から1年経つのに、1つも証拠を出さないのか?
  • なぜ弁護士が350人もいるのに、1つも証拠を作れないのか?
  • なぜ半年も回答しない「遅延戦略」を採用しているのか?
というのは、普通に考えても疑問に思うところ。

いろいろ情報を得て、私なりに想像するに、端的には、

 ネオ霊感弁連が成功報酬を得るため

ですね。

理由を説明します。

家庭連合が、いくらお人好しとはいえ、さすがにこれらの「証拠なし申立て」を認める可能性は少ない。

だから、成功報酬は、

 A 家庭連合が裁判所から解散命令を下され
 B 任命された清算人が申立人の請求を「被害」と認めて分配したとき

に発生する。まあ今から4年くらいはかかる。

■ A 解散命令まで

そもそも裁判所が家庭連合に解散命令を下さないといけない。それが最高裁で確定しなければならない。2年はかかりそうだ。

■ B 解散後の清算

その後、任命された「清算人」(宗教法人法49条。学者やメディアも「管財人」って書いているのを見かけますが、ちゃんと条文を読んでくださいね)が、債権債務を整理して、分配する。

60年の、家庭連合の営みの、債権債務を全部清算しないと、「被害者」たる申立人に対して、財産は分配されない。これにも数年かかる。解散→清算開始後1年とかでは絶対にできないと思う。だって、過去60年の債権債務を全部清算(不動産の処分を含む)するんですから。

この「解散後の、申立人への分配」を、短く見積もって、2年としよう。

____________

このように、A(解散まで)で2年。B(解散→分配)まで2年。合計4年くらいはかかる。最悪、10年くらいかかり得る。それくらい、長丁場。

ネオ霊感弁連が狙っているのは、その4年とか10年経つ前に、請求が裁判所で否決されないこと。

下手に裁判を提起して、敗訴が確定すると、「献金返還請求権がない」ことが法律的に確定するので、申立人は、たとえ家庭連合が解散しても、一銭ももらえない。

そうすると、ネオ霊感弁連も、成功報酬をもらえない。

成功報酬の額は、獲得金額の2割くらいだろう。本件は、着手金を少なく、成功報酬を高めに設定しているはずだ。

たとえば、日本中の弁護士が採用している報酬基準だと、1億円の紛争を弁護士に依頼する場合、

 着手金:369万円
 成功報酬(全額勝訴):738万円

かかる。本件では、そもそも「信仰やめた金返せ」請求が無理筋なので、ネオ霊感弁連は、

 着手金:50-100万円
 成功報酬:1000-2000万円

くらいで受任しているはずだ。

この着手金+成功報酬の総額が、普通の(報酬基準とされる)着手金+成功報酬を下回ることはないだろう。そんな良心的な弁護士ではなさそうですし。

請求総額が約40億円ですから、成功報酬は、仮に全額の請求が認められた場合、

 5~10億円

と想像されます。

つまり、ネオ霊感弁連は、なんとかA(家庭連合の解散)に持ち込み、その後のB(解散後の清算人による分配)に持ち込みたい。

そうすれば、手元に10億円近くが入ってくる。

そのために、下手に提訴とかして、裁判所に請求が否定されたくない。裁判所は、尋問とかして、証拠を精査するから、軽々に、請求が認められることはない。

一方、解散後に任命される清算人は、尋問とかをしないで、「エイヤ」と被害額を決めるので、申立通りの請求が認められる可能性がある。

だから、裁判ではなく、解散後の清算人の「大甘」で寛大な処理に期待して、4-10年後の、10億円の、成功報酬に期待している。

これが、ネオ霊感弁連さん350人の戦略だと、推測します。

____________

ここまで書いて改めて気が付きました。

一つも「被害者救済」の文字を書きませんでした。

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