
3年前、殆ど血を流すことなく独立を果たしたバルト三国を旅し、TVで三国の旅行記などが放送されるとつい!視てしまいます。しかし一昨夜放送されたNHK「激動の世界をゆく~バルト三国~ヨーロッパとロシアのはざまで」は、まるで異なる趣でした。
プーチン、トランプ両大統領の強烈な抱擁シーン(写真上)はバルト三国の一つリトアニアの新聞に載った諷刺画です。番組の冒頭でも象徴的に取り上げられていました。その意味するところは日本では理解され難いでしょうが、三国の人々にはリアルな問題です。
ソ連邦からの独立とEU加盟
20世紀最後の10年。バルト三国は、ソ連崩壊と共に独立しEUに加盟しました。しかしここ1~2年、クリミア半島併合などロシアの強硬路線に対し三国はロシアへの不信感を強め、親プーチン!のトランプ米大統領の誕生で三国の不安が加速されました。
バルト三国に高まる警戒心
トランプ米大統領の「欧州の安全保証に興味はない」との表明について日本では特に関心を呼びませんでした。しかし「米国は、ロシアの動きに異を唱えない」との意思表明としてバルト三国の警戒心は一挙に高まり、徴兵制を含め軍備増強に乗りだしました。
【蛇足ながら・・・その1】プーチン大統領は旧東欧などソ連支配下にあった国々がシッポをふる「大ロシア」の再現を、そしてトランプ大統領は西側諸国がアメリカの号令に忠実に従う「偉大なアメリカ」の復活を夢見ています。そのために「お互いの立場を認め合い干渉しない」ということです。そんな二人が「何をするかわからない」感情的な人物であることも含めて、世界は危機に向かっています。


三国の人口とロシア系住民の比率
(写真上左)三国の人口をあわせても東京都の半分程度の小国ですが、ソ連支配が長かったためエストニアでは4人に1人がロシア系です。勿論、敵対しているわけではなく、例えばこの国からきた大相撲の把瑠都さんはエストニア人で、奥さんはロシア人です。
徴兵制はじめ軍備増強
しかしロシアがウクライナからクリミア半島併合を強行した背景にロシア系住民が多かったことは紛れもない事実です。徴兵制を始めるに際し(写真上右)エストニアでは学校に兵士が出向き、銃器の操作と併せて独立維持のための軍備について説いています。
【蛇足ながら・・・その2】リトアニア軍のヨナス・ジュカス中将は「プーチンの意図が何であれ我々は独立を維持する」と語りつつ、トランプ大統領についても「米国のような超大国では一人の大統領が何もかもできるものではない。議会や様々な人々がブレーキをかけるだろう」と、冷静に見てもいます。


人間の鎖
1990年、リトアニアの首都ヴィリニュスから始まった人間の鎖はラトビアを経てエストニアまで600kmを200万人が手をつなぎ独立の決意を示しました(写真上右)。大聖堂前広場の起点(「STEBUKLA」の銘板)に立つのは恥かしながら3年前の私の足です(写真上左)。
もう一つのアウシュビツツ
ソ連支配下で、叛逆者と決めつけ!られ加えられた拷問施設、閉じ込められた牢獄も紹介されました。またシベリアに28万人が送られた記録、凍土に斃れた人々の遺骨が帰ってきた光景などを視ながら、私は「もう一つのアウシュビッツ」だと思いました。

国が決めたことに黙って従う・・・
独立とともに抑留を解かれた人々が「十字架の丘(写真上)」に集っていました。大越キャスターがロシア人について問うと、「ロシア人はみんな良い人だ。ただ国が決めたことに疑問を持たず黙って従う人達だった」と。どこかの国の昔・・・ 否! 今!みたいだ。
以下、バルト三国の旅行記(2013年6月)をご紹介します。観光の旅ではありますが、民族の歴史と文化にも少し触れています。お読みいただければ幸に存じます。
【リトアニアの首都ヴィリニュス市街】

※ 旅行記URL・・・http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/46cd6880876611cff9d51bdb6e6e2262
【ラトビアの首都リガとダウガヴァ川】

※ 旅行記URL・・・http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/872dfc942f4a33145ddd074059b28d63
【エストニアの首都タリン旧市街の石畳の坂道】

※ 旅行記URL・・・http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/9bb1c74d7ceb3eb8593bc65d8af459b7

【過去ログ目次一覧】
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
かんわきゅうだい http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
新聞・TV・映画etc. http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a7126ea61f3deb897e01ced6b3955ace
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
ロシアの隣国だというだけで、歴史などは全く知りませんでした。
プーチンの傍若無人な振る舞いには、ロシアだから、まだ民主化されてない国だからと諦めもありましたが、アメリカの大頭領が同じようになるとは思ってもみませんでした。
アメリカの人々は何故彼を止められなかったのか。
しかし、
言われるまま、されるがままは我が国も似たようなもの。
尻尾を振っていそいそとアメリカに向かうような総理を、日本人は選ぶのだから。
戦争の火種を抱えてしまったような世界情勢を、どうしてこうなってしまったのか、どうすればよかったのか、何をすればいいのか、私になすすべなどないのではないかと、不安ばかりつのる毎日です。
リーのママさん
貴重なコメントありがとうございました。削除or閉じるところでした(笑)
> 旅行記は楽しみに読ませていただきますね。
こちらはあくまで蛇足ですから・・・
> プーチンの傍若無人な振る舞い・・・民主化されてない国だからと諦めもありました
> が、アメリカの大統領が同じようになるとは思ってもみませんでした。
年末に放送され先夜再放送されたNHK「リアル・ヴォイス」を視て茫然・・・
トランプ大統領誕生について米国民への
生!の短いインタビューのみで構成された番組でした。
二つの階級に分かれ お互いにヘイト!し罵りあう国(民)になりましょう
> アメリカの人々は何故彼を止められなかったのか。
冷静で合理的なドイツ国民がなぜナチス、ヒトラーを止められなかったのか?
そんな歴史の教訓からなにも学ばなかったというほかありますまい。
> 言われるまま、されるがままは我が国も似たようなもの。
> 尻尾を振っていそいそとアメリカに向かうような総理を日本人は選ぶのだから。
「人はみな平等である」ことに人類が気づくのに何千年かかりました
が、大統領が差別を唆すようなリーダーシップを執れば瞬く間に元の木阿弥・・・。
オバマさんからトランプへ・・・米国に限らず世界の危険な岐路を象徴しています。
> 私になすすべなどないのではないかと、不安ばかりつのる毎日です。
急にこんな状況が生まれたとは思いません
気づかないまま少しずつ人の世界を蝕んで行ったのでしょう。
少しずつ 一歩一歩 一人一人 まともな考えを取り戻すほかありますまい。
BSで『民族の悲劇果てしなく』という番組がありました。
デ某さんのblogを思い出しながら、見ていました。
私の主人は、初詣で必ず一番に世界平和を願います。
今まで、???って感じでしたが、私も今は世界平和を願います。そして、家族が笑い健康で過ごすことを願うようになりました。
デ某さん、またお勉強のためにもこのようなblogをお願いしまーす。
楽しみにしてます。
こんなお硬いブログ記にようこそコメントくださりありがとうございます
削除しようかなぁとか コメ欄は閉じようかなぁとか、それなりに迷い悩みまが、
載せて良かったと・・・ホッとしています
> BSで『民族の悲劇果てしなく』という番組がありました。
> デ某さんのblogを思い出しながら、見ていました。
ありがとうございます
そう仰っていただき 甲斐があったと・・・嬉しく思います
一つの事実、出来事には 様々な見方、考え方があって当たり前ですから、
特定の立場から 同調!同意!を求めるものではありません。
ですから異論!反論!大いに
せいぜいスルー・・・異論!反論!はしづらいかもしれませんね。
> 主人は、初詣で必ず一番に世界平和を願います。
> 今まで、???って感じでしたが、私も今は世界平和を願います。
そして、家族が笑い健康で過ごすことを願うようになりました。
sachiさんご夫婦、すごい!
私は つい!自身を含めて 家族の健康を第一に!お願いしています。
後日 お詣りした天神さんには改めて「世界平和第一に!」お願いに上ります
> またお勉強のためにもこのようなblogをお願いしまーす。楽しみにしてます。
ありがとうございます
勉強!というより こうした問題について普段に率直に語りあいたいと存じます
sachiさんの新たなクールが始まりましたね。
副作用も軽く 順調に効果が上りますよう 心よりお祈りしています
なお大越キャスターの「激動の世界をゆく:バルト三国 ロシア ヨーロッパのはざま」は
明3日(金) NHK BS1 夜 7:00~8:50 で再放映されます。
国の名前を聞いたことがあるな程度で、大変お恥ずかしい(^^;)
第2のアウシュビッツですか・・・シベリアに送られた28万人って、多いですよね。
先日の新聞で、「世界で生産されている食糧の三分の一が破棄される一方で、世界の人口の8人に1人が栄養失調」の事実に驚き、TVでは「米国で既存メディアを信じる人は31%だか36%だか」と知り驚き、ブログでは「第二のアウシュビッツ」があるのだと知って驚き。
私自身は、ストレートに反対意見を言えるようになることが課題です。
って、全然成長していないですよね~、私。
悲しくなります。
風のフェリシアさん
コメントありがとうございました
返信が遅くなり申し訳ございません。
> バルト三国・・・国の名前を聞いたことがあるな程度で、大変お恥ずかしい。
高校時代、世界地図にも世界史にもバルト三国の記述は殆どありませんでした
そのことが寧ろ・・・深く印象に残っています。
> 第2のアウシュビッツ・・・シベリアに送られた28万人って、多いですよね。
改めて「28万人は多いなあ」とおもいました
今夜7時からBS1で再放送されるので確かめたいと思います。
> 新聞「世界で生産される食糧の三分の一が破棄・・・人口の8人に1人が栄養失調」
> TV「米国で既存メディアを信じる人は31%だか36%だか」
数字が語るものは大きいですけど、数字としてはすぐ忘れてしまいます
何を心に刻むか・・・に尽きますが、それはなお難しいことでもあると思います。
ただ「マスコミとマスメディア」だけが多様化、巨大化する一方、
「第四の権力」と言われたジャーナリズムは衰退するばかり・・・。
その一方に「公平・中立」がジャーナリズムの真髄との誤解!が増えました。
常に反権力、民衆の側に立つのが第四の権力たるジャーナリズムなのですが・・・。
> 私自身は、ストレートに反対意見を言えるようになることが課題です。
TPOにもよりますけど・・・ね
しかし「孤独を楽しむ(1/29)」で記したように、
「空気を読む」のが過剰になり、周りへの同調!ばかり気にするようになると
大事なことにスルー(見て見ぬふり)してしまう空気!が国中にあふれそうです。
> って、全然成長していないですよね~、私。悲しくなります。
なにを仰いますやら・・・
フェリシアさんの日々にいつも大いなる刺戟をいただいていますよ
ますますのご活躍をお祈りします。
事実これから、吐き気のする状況を見ることになるのでしょうか・・。
国々が感情的に揺れ動く中で、呆然とその日その日をしのぐような日本になるのでしょうか・・。
気づいた時には、すでに選択の余地がなくなってしまっているのが恐いです。
生臭いブログ記にコメントくださりありがとうございました
> 吐き気のするような風刺画ですね。
> 事実これから、吐き気のする状況を見ることになるのでしょうか・・・
この諷刺画を描き新聞に載せる「歴史の背景」が彼の地にあるのだと思います。
日本の新聞から今こうした諷刺力、批判精神が失せつつあるのが悲しいです。
> 呆然とその日その日をしのぐような日本になるのでしょうか・・・
今朝の報道によれば、トランプ大統領との会談に日本が用意する「お土産」は
「51兆円のインフラ投資で70万人の雇用を創出する」のだそうです。
しかもその原資は「日本の公的年金資産」の由。
日本の景気がちっとも良くならないのに株価が下がらないのは、
政府が公的年金資産を投じているから・・・。
今度は米国への投資にまで国民の財産を注ぐと・・・シッポ振りながら首脳会談へ。
> 気づいた時には、すでに選択の余地がなくなってしまっているのが恐いです。
気づいても マスコミがかつてのように政府批判のノロシを上げません。
国民もそうした方策を進める者に圧倒的な力(議席)を与えています。
以下・・・ある方のブログより(要旨)
受験する子が ダイヤ変更を知らず乗遅れたと 泣きながら家に携帯をかけてきた。
幸い通りがかった親戚の車に拾われたが、着くと上履きを忘れたことに気づく。
近くで売っているお店はないか、通りがかりのおばあちゃんに訊ねた。
親切な老婦人は お店は閉じられたと言い、すぐ近くの自宅へ連れて行き
「もう履かないから」とスリッパを一足下さった。
お礼を言おうとすると、逆に「私に声を掛けてくれてありがとう」と仰った由。
このエピソードを紹介されたブログを読み、しみじみ思いました。
公的年金資産は蝕まれても、もう一つの国民財産はまだまだ廃れてないなぁと