詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

アキアカネかと

2018-10-31 17:57:59 | 千駄記


橋の上を飛ぶ燦めきは夕焼けの色より出でしアキアカネかと

明日から11月とは信じられませんね。
11月だって!

11月は何もないけど酒が飲めるぞ
なんて歌がありましたけど
ぼくの誕生月です。それと意外に名歌がありますね。

ほほゑみに肖てはるかなれ霜月の火事の中なるピアノ一臺 塚本邦雄
十一月十日雲一つなく風がないたが締めつけて桶に水を張る 山崎方代

方代さんはぼくの誕生日を詠み込んでくれてます。

いつでしたか、せせらぎに沿った細い道をどんどん
進んでゆきますと橋がありました。
一服しようとクルマを降ります。
するとなにかが燦いている。よくみると
トンボでした。俗にいう赤とんぼです。

それをぼくは勝手にアキアカネと決めつけたわけです。




うつむきて咲く花の画を

2018-10-31 10:33:49 | 千駄記



うつむきて咲く花の画をきみに問えば君が代蘭と答えてよこす

画像の花はアツバキミガヨランというそうです。
ランではなくユッカの仲間とか。
花言葉は人間の押し付けで好きではありませんが
「勇壮、颯爽とした」だそうです。

悔しいくらいの小春日和が続きます。

小川太郎に

花の名に詳しきことも結婚の理由なりきと思い返せり
(表記にいま自信なし)

という短歌があります。
そういう理由だけで結婚はしないでしょうが
妻となったその女性はそういう人だった。
知性があるのとはまた違う
そういう雰囲気の人だったということです。
また小川太郎には

わが妻とならざるほかの人生もありしと思えばいとしき汝よ

という作品もあります。
<汝よ>は「なれよ」と読みますね。
疲れた顔をして眠っている妻を見ている場面でしょうか。
それともテーブルに花を活けている妻の横顔を
見つめているのでしょうか。


そういう心をもった小川太郎は60歳を過ぎてから
妻を残して自殺してしまいます。

彼はいずれも若くして亡くなった
寺山修司、中城ふみ子、岸上大作を
綿密に取材した評伝を三冊遺しています。
読みやすくて興味深い本です。