おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

坂東玉三郎 夏のひととき

2023-07-31 23:45:15 | 観たもの
 南座の「坂東玉三郎 夏のひととき」でございます。玉ちゃんが続きます。

 一応、歌舞伎美人に載っていたので歌舞伎公演というカテゴリーになるんでしょうか。内容は落語家の春風亭小朝さんと玉ちゃんの対談、小朝さんの落語、最後に玉ちゃんの地唄舞「由縁の月」でした。上演時間は対談が50分、落語が25分、地唄舞が10分となってました。

 対談は小朝さんが聞き手でした。この前に打ち合わせをされたそうですが、その時結局2時間近くお話されたそうで、「これではいけない」と思って小朝さんが自らカンペを作られて、それをもとにお話を進められました。小朝さんのカンペ、痒いところに手が届くような、通り一遍じゃない、それでいて直球質問もあったり、さらにそこに小朝さんの話術が加わるので、非常に面白い対談、インタビュー?でした。

 お二人は3年前に「麒麟がくる」で共演されて、その前からもお知り合いだったそうですが、その時に「今度、いっしょに何か演りましょう」ということになって、この企画が出来たそうです。来年のお正月の松竹座でも3日間だけですが、お二人の公演が決まっているそうです。この南座とは全然違う内容になるとおっしゃっていました。お二人でお芝居でもされるんでしょうか。玉ちゃん、ご自分で「僕、ひょうきん者だから」っておっしゃっていたので、NHKの落語ザムービーみたいなことをされるんでしょうかね。正式な発表が待たれます。

 お二人のお話です。まず小朝さんが「ファンの方がお知りになりたいでしょう」ってことで、ネット上で話題になってる「引退発言」の真意を聞いてくださいました。「引退と云った覚えはない、引退はしない」とはっきりおっしゃっていました。私も聞いたのは、大きな舞台の大きな責任のあるお役はだんだんと引いて行きたいみたいにおっしゃっていたかと。それと「エビサンを嫌ってる」については、「昨年の11月12月はスケジュールの都合で変則的な共演になったけれど、ぜひまた共演したい」とおっしゃっていました。ここで玉ちゃんが「私からもぜひ言いたい」と、「パワハラとか裁判とか賠償金とかの話は全く事実無根、そんなことがあればお国から勲章はいただけませんから(文化功労者のこと)」ときっぱり、はっきりおっしゃっていました。玉ちゃん、SNSとかされないし、下手にすると炎上するので、なかなか反論する場がなくてと、この機会をとらえてお話くださったようです。客席全体は安堵した雰囲気になりました。

 ここから小朝さんの怒涛の質問タイムでございます。
「朝、何時に起きる?」
 8時か9時に起床、10時に朝食。小松菜とパイナップルのジュース、ごはん、お肉(ステーキ)、良いお出汁で作ったお味噌汁
「舞台のある日のルーティンは?」
 朝食の後、ちょっと体操、お昼寝、マッサージを受けて劇場へ。発声練習はしないそうです。
「舞台終わったら何するの?」
 大きなお役の時はマッサージを受ける。すべては明日の舞台のために、だそうです。寝る時はシルクのパジャマ、もちろんエアウィーブです。
「願掛けみたいなことはしますか?」
 毎日お願いしている。神様はお願いしっぱなしでいいそうです。舞台に出る時は、塩を振って、少し舐めて出られるそうです。
「歌うきっかけは?」
 50歳になって声が出にくくなって、友人の声楽家にお習いになってるそうです。副鼻腔を鍛えるといいそうです。
「どんなテレビを見ますか」
 HNKの「欲望の資本主義」が面白かった。ドキュメンタリーがお好きなようです。
「コロナで一斉に劇場が閉まり、その後、落語はチケットが2,800円なので戻ったけれど、歌舞伎とクラッシックはなかなかお客が戻らない。チケットが高いせいだと思うがどうですか。」 
 玉ちゃんもチケット代はお高いと思ってらっしゃるそうです。松竹に2階や3階はもっと安くしなきゃいけない、と何度もおっしゃってくださっているそうです。玉ちゃん、ガンバレ!!!
 
 このあたりから芸談のようになっていきました。メモだけではどちらがどうおっしゃったのかわからないのですが…。孝夫さんが「古典は掘り下げてはいけない、掘り下げると現代になってしまう」とおっしゃったそうで、それについては、出来る人だからこそ言えること。自分は芝居の案内人、説明芝居になってはいけない。でも、わかりやすくする。掘り下げると理屈に合わないことが多い。お客様に「あぁ、今日も気持ちよかった」って思ってお帰りいただきたい。

 「鷺娘」や「道成寺」については、出来ないことはない、何とかすることは出来るけど、それではいけないと思うので、一人で踊るのは止められたそうです。若手との共演の「五人道成寺」については、若手は引くことができない。お稽古は足し算、できることをいっぱいいっぱい詰めていくけれど、お客様の前は引き算、最後のエッセンスのようなものをお見せする。なかなかそれが出来ないそうです。確か、シネマ歌舞伎にありましたっけ?一度見てみたいです。

 来月の「牡丹燈籠」については、玉ちゃんに笑わせる気持ちは全然ない。地がひょうきん者なので、ああいう演目は芝居してないように見える。「ふるあめりか」も同じで、アドリブみたいって言われるけれど、有吉佐和子さんの脚本通りにお芝居しているだけっておっしゃっていました。「牡丹燈籠」は愛之助さんとのお稽古が始まっているそうですが、まだまだ緊張していて遠慮しているそうです。ガンバレ、愛之助さん!

 「この後の地唄舞はどう見たらいいのでしょうか?」
 お座敷で遊女を見ることを楽しんでください。節に乗って旅をするような気分で、と。玉ちゃん、京都の島原の太夫に会いに行かれたことがあるそうで、太夫の実演のようなことをしてくださいました。着流し姿なのに、玉ちゃんが動かれるとそこに遊女が現れるから不思議です。

 「自分のビデオは見ますか」
 ご覧になって、アラ探しをされているそうです。これも明日のより良い舞台のために!なんでしょうね。

 ここで来年の松竹座のお話が出て来て、時間も押しているので、終了となりました。10分超過だったそうです。

 20分の幕間を挟んで小朝さんの「落語 一豊と千代」です。小朝さんの落語は初めてでした(たぶん?)。やっぱり上手い落語家さんですよね。新作落語で、20分くらいの噺でした。自虐ネタ、お客さんイジリが入るのがちょっと気になったけれど。そうそう、玉ちゃんへの「テレビ何見るの?」質問の時に、「笑点なんかはご覧になりませんよね~」ってふったら、玉ちゃんが「昔は見てましたよ」っておっしゃってました。

 そして15分の幕間の後、本日のメーンエベント、「地歌舞 由縁の月」です。10分なので、飴を舐めながら頑張りましたが、節に乗って旅する気分で~って思ってたら、何回か違う世界に旅をしてました。たった10分なのに…。その10分のために、↑あの拵え、すごいです。ほんと、お綺麗でした。久しぶりに、キレイキレイの玉ちゃんを拝見したように思います。対談の時とのギャップ、激しすぎます。

 玉ちゃんの「7月8月は南座」っていうのも固定?されてきましたね。京都なんて暑くて、「避暑」にならないと思うのですが、こうやってご来洛いただけるのは大変有難いです。「牡丹燈籠」はわれらが吉太朗クンもご出演だそうで、楽しみです。怪談っぽいタイトルですが、喜劇です。たぶん、チケットはまだあります。夏休みにどうぞ。
コメント (2)
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