文化の日の今日、昨日に続き都内文化財の巡見に出発。
今日は多摩に足を運ぶ。
まずは、都内でしばらく唯一だった国宝建築、正福寺の地蔵堂。
西武新宿線で”東村山”に降り立つ。
この地はトトロの森の時以来で今年二回目。
訪れてわかったが、東京の区部とは異なる固有の文化圏を形成している。
今日の最初の訪問地にここを選んだのは、この日にちなんで「地蔵祭り」が開催され、出店がでるので、腹ごしらえができそうだから。
武蔵野の風情に耽溺していた高校生の時以来の再訪。
その時は外から見ただけだが、今日は特別に地蔵堂の内部に入れる。
付近は新しい住宅も目につくが、近所の畑の野菜を売っていたりして、武蔵野の風情が残っている。
寺の前では出店が並び、人だかりがしている。
まずは地蔵堂内をみるために行列に並ぶ。
鎌倉・円覚寺の舎利殿(国宝)と並び称されるここの地蔵堂の雄姿をごらんあれ(写真)。
「千体地蔵堂」と言われるだけあって、同内は地蔵菩薩像の左右に、信者が寄進した小さな地蔵の木像が1000体近く置いてある。
堂の脇では、地蔵の木像のお守りが売られて、願いが叶ったら2体にして戻すという。
地蔵信仰が現在でも続いているわけだ。
さて、見学を終えたので、出店を物色する。
選んだのは、地元名物「黒やきそば」。
イカ墨が入った黒いソースで味付けされている。
具はほとんどなかったが、おいしかったし、地酒も試飲して、東村山の食文化に触れられたのも収穫。
さて東村山から西武多摩湖線に乗り、国分寺へ。
国分寺駅は乗り換えるだけの予定だったが、多摩の文化財を巡るのに、ここを素通りするわけにはいくまいと、下車して、”武蔵国分寺”に向った。
そこに達する湧水路沿いの「お鷹の道」は、武蔵野を代表する風情あるたたずまいで、ここも高校以来。
この地に来る時は、事前に大岡昇平の『武蔵野夫人』の冒頭の「はけ」(国分寺崖線)の説明を読んでおくべき。
今日歩いた「お鷹の道」は以前と比べてやや整備されすぎた感があるが、農村的風情も多分に残って武蔵野の味わいは消えていない。
昔はなかった「国分寺跡資料館」で武蔵国分寺の出土品(中には銅製の白鳳仏も)を見学し、七重の塔跡(国史跡)を訪れ、現在の国分寺と薬師堂も参拝(重要文化財の本尊も拝みたかったが開帳は10/10のみ)。
西国分寺駅から武蔵野線で府中本町に出て、善明寺に行く。
今春、府中を訪れた時は、ここの有名な鉄仏は拝観できなかったが、今日は特別の公開日。
ただ、堂の入口から拝むだけ(昨日の大円寺の釈迦像と同じ)なので、近くで見れないのは残念。
でも写真でしか見たことないほぼ人間大の鉄仏を肉眼で拝めただけでも来た甲斐があった。
府中から京王線に乗って、染屋不動堂の鉄仏が最後に巡る地だったが、16時前に行ったらすでに閉まってあった。
予定外の国分寺に寄り道したせいだ…。
でも、高校以来の多摩の中央部を堪能したから良しとしよう。
かくして、私の文化財ウィークは終了した。
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