今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

竜巻でなく旋風

2015年02月14日 | お天気

13日に厚木で起きた突風被害。

まずは竜巻かと思われたようだ。
実際、映像を見ると渦巻いた風が移動している。

これだけだと竜巻と思っても仕方ない。 

気象庁は翌日、竜巻ではなく旋風と判断した。
私も天気図を確認したが、竜巻が起りそうな気圧配置ではなかった。

竜巻は上空の”積乱雲”から漏斗状に雲が垂れ下がって、地上にタッチダウンして発生する。
すなわち、地上から空までつながっている。
だから「竜」巻なのだ。

伝説上の竜は、地上の水面でジャンプする鯉が、念願かなって天空に昇ってグレードアップ(進化)した姿であり(鱗と鰓と髭は鯉の名残)、
地上から空に巻き上がるあの雲こそ、鯉が竜に成る姿を示している。
また、空から垂れ下がった漏斗雲も天に在る竜の尻尾のように見える。

だから竜巻が発生する時は空には重い積乱雲が立ちこめている
(分厚い積乱雲の雲底に不気味に垂れ下がった乳房雲は竜巻の卵たちといえそう)。 

それに対し、旋風(つむじ風)は、晴天時に温度上昇(上空の寒気との強い温度差が発生)した地上付近で発生する
(今回のは地上で南風と北風が衝突して温度差が発生したようだ)。
秋の晴れた運動会の時に、グラウンドで砂を巻き上げ、来賓席のテントを吹き飛ばそうとするアレだ。 

灼熱の砂漠だと竜巻のように空高くまで砂を巻き上げることもある。
唯一の違いは積乱雲がなく、ぎらぎらした快晴下であること。

同じ原理で、大規模火災時にも旋風が発生し、関東大震災時のように火災被害を拡げることがある。
火災時の旋風こそ恐ろしいのだ。

渦巻の強風であることはどちらも同じ。
ただ規模(直径、風速)は竜巻にかなわない。

竜巻は積乱雲によるから、台風(積乱雲の塊)を含む低気圧や寒冷前線(積乱雲の列)の周辺で発生する。

ちなみに、竜巻でも旋風でもない、別の恐ろしい突風もある。
「ダウンバースト」というもので、竜巻・旋風とは逆に、空から垂直に吹き降りてくる突風(渦巻状ではない)。
着陸前の飛行機がこれにやられて、飛行場に叩きつけられた(全員死亡)。
この事故がきっかけで発見されたので、伝統的な日本語名はない。
これも積乱雲によるもの。
飛行機にとっては天敵だ。
だから飛行場はドップラーレーダーを装備して、積乱雲の動きを監視している。

言い換えると、旋風は”積乱雲”が関与しない例外的な気象災害現象である(他は「干ばつ」くらいか)。

局地的な突風被害が起きても、気象庁が簡単に(現地調査もせずに)竜巻認定しないのは、
竜巻の他に旋風やダウンバーストの可能性があるためだ。 


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