今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

磯部温泉を測ってみたら

2015年03月18日 | 温泉

群馬といえば、県の知名度としては全国レベルではマイナーらしいが、
温泉の宝庫としては、”温泉県”を名乗ろうとした大分に待ったをかけたくらい、
その自負では負けない。
東の横綱・草津温泉を筆頭に、伊香保、万座、四万、法師、水上、
有名ではないが私が行った所では、鹿沢、上牧、赤城、榛名湖。
こうみると、高崎から北上する上越線・吾妻線沿線に名湯が分布している。

だが群馬を通る幹線路といえば、むしろ高崎から西に向う中山道・信越本線だ。
といっても、前者は「上信越自動車道」に、後者は「北陸新幹線」にとって代わられてしまい、
在来線としては、越後はおろか信州にも達しない碓氷峠の麓の横川が終点となってしまった。

信越本線が健在であったとしても、首都圏の人たちは碓氷峠の向こうの軽井沢に目がいってしまい、途中の磯部駅にいくら温泉があっても素通りしてしまう。
私もその一人であった。

ただ磯部という名は意外に流布している。
「磯部せんべい」として。
この磯部せんべいの産地が磯部温泉なのだ。
いわゆる温泉土産としての温泉煎餅の走りであった。
そしてあの有名な温泉記号「」は、江戸時代の磯部温泉が発祥という(右写真:磯部公園内)。
そういうこともあり、 今まで素通りしていた磯部温泉に1泊してみることにした。

高崎から、信濃・越後には行かない信越線に乗り、磯部で下車。
あえて早めに来て、温泉街とは逆方向の磯部城趾に向う。
そう、せっかくなら山城巡りと温泉巡りを一緒にしたい。 

私が泊った1泊朝食付きの宿の源泉は、浴室の掲示によると川の向こう側(ちょっと遠い)。
成分表によれば、泉質は「ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉」。pH7.8の弱アルカリ。
溶存物質量は、1280mg/kgとある(1000mg以上あれば療養泉)。

浴室に掲示してある成分表はあくまで源泉のデータであって、実際の浴槽の湯の値ではない。
浴槽の湯について、ここは「成分が濃いため加水している」と記されている。
源泉の濃度(溶存物質量)はちっとも濃くはないけど…

内湯の湯口で採取した湯を測ったら、pHは6.5、電気伝導率はたった117μS(35.6℃)。
はっきり言って伝導率(成分濃度の指標)が低すぎる(3回測って同じ結果)。pHも水道水と同じ。
対照として測った客室内の水道水の値は、pH6.5,電気伝導率99(20.5℃)。
すなわち、内湯の湯はほとんど水道水と同じだ。

これだけだったらフロントに文句を言う所だったが、
「源泉30%で加水している」と書いてある露天風呂の湯口を測ったら、なんと2042μS(33.3℃)!
pHも8.0あり、明らかに温泉にふさわしい値。
なもので、以降はもっぱら露天に浸かった。

ただ、あの値で成分30%だと、源泉の溶存量にしては逆に高すぎる。
いったい本当の磯部温泉の値はいくつか。
気になって、チェックアウト後、温泉街にある足湯の湯口(湯が薄緑色)を測ったら、2036μS(34.1℃)、pH9.0。
さらに日帰り湯の「恵みの湯」に500円払って入り、浴槽の湯口(湯が薄緑色)を測ったら2101μS(34.3℃)、pHも8.0。
いずれも宿の湯とは源泉は異なるが、露天の値とほとんど同じ。
どうやら磯部温泉の”濃さ”としては2000μSちょい上あたりが標準なようだ(温泉として充分濃い)。

やはり源泉の分析表だけではダメで、浴槽の湯を測らないと、自分が浸かっている湯がまっとうな温泉かどうかわからない。 


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