うさとmother-pearl

目指せ道楽三昧高等遊民的日常

アッカンベー その2

2006年01月19日 | ことばを巡る色色
まずはその1からお読みください。

姫は、あの新嘗の祭りから、ずっと考えていた。
あの瞳と唇。
確かに、粗末な身なりをしていた。
見たこともないような白い襟のない一重の上着に、まっすぐな青い服を着ていた。
けれど、あれは、私だわ。
私は私に、アッカンベーをしている。
私は私に、アッカンベーをされている。

姫は聞いてみた。

「ねえ、にい様方。にい様方は誰かを軽蔑したことはおあり?
たとえば、アッカンベーをしたくなるような人間にお会いになったことはある?」
「それは、妹姫よ。たくさんあるさ。世の中は姫のようにおりこうな人ばかりではないからね。」

「ねえ、ジイ。ジイは、誰かに貶められたことはある?
たとえば、アッカンベーをされるような目にあったことはある?」
「それは、姫様、たくさんございますよ。私は姫のように高貴な育ちではございませんから」

「ねえ、バア。バアは自分を嫌いになったことがあるかしら?
自分なんてサイテーのたとえば、アッカンベーをしたくなるような人間だって思ったことがあるかしら。」
「それは、姫。たくさんたくさんありますよ。バアは姫のように美しくも若くもございませんから」

どれもこれも姫を満足させる答えではなかった。
だから、姫は思った。
あの子に聞こう。そう、対決だわ。         つづく
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
つづき (くりえ)
2006-01-20 16:18:52
やあ、つづきができてますね。

呪いをかけられて 旅に出ようよ。
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くりえさん、ありがとう (家主うさと)
2006-01-21 13:27:46
旅、だよね。

かわいい子にはね。

くりえさんも、つづきつけてみてみて。
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つづき(案) (くりえ)
2006-01-23 02:11:33
姫は「あの子」に呪いをかけられて トマトのような唇から言葉を発しようとするとありとあらゆる穢いものが口から飛び出すようになってしまうのだ。愛する父王や母妃や兄たちにそんな自分を見られるのは死ぬよりつらい。 アッカンべーをしながら逃げ去った「あの子」を追って城外へ。お供に1匹のヒキガエル・・。3つ股の道で老婆に出会い、進むべき道を謎解きし(鉛筆を転がして4択問題に挑戦なんてどう?リスニングもあり)・・旅はつづく ただし彼女は言葉を発することができない。

さあ こんな展開でどうでしょう。
返信する
鉛筆ころがし (家主うさと)
2006-01-23 10:23:30
くりえさん。

お話の王道ですね。その続きも読みたいです。

ぜひ、書いてみて。お待ちしています。

ちなみに続きは近日投稿予定です。乞う、ご期待。
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