同居人から手当の分け前をもらった。これで息がつける。金回りはここのところ悪くなかったはずだが、手元不如意とあいなったのは、ナイショで茶盌を買ったりしたからだ。老母は明らかに茶盌フェチだから、そういうDNAが、私にも存しているということかもしれない。
しがない大学教授の経済状態では、あまりお道具の由緒・次第に金はかけられない。自らの「教養」を恃んで、勝手に世界を構築するまでだ。いま金だけ払って箱をお願いしているのは、銘を付けるなら「瑞歯具舞」だなと考えている。「みづは」でもよろしいが、それだと中途半端か。これだけの情報で、その茶盌がどういうものか想像できたならば、相当に和歌の知識のある御方、ヒントは本歌朝鮮の茶盌である。こういう見立て、連想ゲームはお手のもの。それでいて、逆方向にもアイデンティファイできなければならない。いや、面白い。
校長室に隠してあるのは「吉野山」で、これは分かりやすい。口縁は山道造、色を見ればなるほどと、誰しもが思ふらむ。本歌は西行法師、まだ見ぬ方の花を尋ねむ…。
筒井紘一先生からお手紙をいただく。お尋ねしていたことのお答えを頂戴した。来週お逢いする布哇大学教授にお伝えできる。ありがたいことである。
★★★★★
う~む「瑞歯具舞」だと、北方領土の島みたいだな。佳字を選ぶなら「美川波久舞」あたりかな。要するに「ミヅハグム」なんだが。見よ、大和物語。
こちらですね。
わかならばわからむことばのおほからむ
みずはどころかおやしらずして
彫三島の写しで、花紋の無いやつ。
いわゆる「桧垣三島」で、
もう花も無いから、
連想はどうしても「桧垣嫗」に行きます。
みづはぐみ老いにけらしないつしかも「わか」らぬことのありと「見し間」に