今日は、以前校長を務めていた高等学校の卒業式日であり、来賓として招待されたので、出掛けて行った。11:30までに来いということだが、新幹線は1時間に1本、あまり選択の余地はない。下車して改札に向かうと、祝辞を述べられる旧知の同窓会副会長殿とご一緒になった。そして改札を出れば、事務長殿が待っておられる。はて、私を出迎えるはずはないと訝しむと、案の定、学校法人の担当理事閣下が後からおいでになった。4人でタクシーに乗って、会場の市民会館へ。
今年の卒業生は、校長として入学させた生徒たちである。320名定員の1学年で、319名の卒業生というのはぴったりだ。式はさくさくと進み、大勢の生徒が表彰されたが、囲碁の名人女子生徒は、マスクをかけていない素顔を初めて見ましたわい。送辞、答辞は前現の生徒会長が行うのが慣例で、ともに女子生徒だったけれども、いずれも「身の丈に合った」感というか、あきらかにすべて自分で考えて書いたに違いないけれども、すてきな内容の文章で、感服した。とくに答辞は、私はこの学校が第一志望では無く、他校を落ちて入学したけれども…という、まあ他の高校の卒業式の式辞では絶対に出てこないようなことも平気で述べられていたのがまた、好もしいといふもさらなり。そういえば、担当理事閣下の式辞(出だしの話が昨年とまったく同じだったので、ありゃと思ったが、途中から面白くなった)で、卒業にあたって不本意な人はいるか?との問いかけに、一人の男子がハイ!と元気よく返事をして起立したのも、すてきだった。いやはや、尋常な高校ではない。
あいにくの雨が強くなった。14:00過ぎに式は終わって、17:00の祝賀会まで時間がある。現校長とお話をしながら時間を潰し、15:00になったから校長の奥さま運転の自家用車で会場ホテルまで送っていただく。控室が用意されていたから、そこでビールを飲み、私は日本酒まで頂戴してしまいました。現校長は、ずっと同じ高校教科書の編集を一緒にやってきた先輩である。専門も近く、校長は11世紀、私は12~13世紀を研究対象としている。最近、学校で持ち上がった問題を話題にしたが、私ならこうする…みたいなアドバイス?を、おおけなくも申し上げてしまった。大学院の後輩で、この学校の教諭をしている一両名についても、気になることがあるのだが、とかくこの世は生きにくいは、漱石ならずとも人生の実相であろうよ。
卒業生の保護者の会主催の祝賀会は、にぎやかだった。このブログをお読みというご父母、何人も声をかけられたが、あやまちすな。吃驚したのは、米子ご出身の方があり、お話をしていたら、松江北高等学校の同期で現在参議院議員になっているS君の、なんと、いとことにあたるということだそうで、こんなご縁もあるんかいな!…と、狭い世界を痛感した次第。
新幹線駅まで、ホテルのバスで送ってもらった。なにしろ1時間に1本である。そうしたら、いつも焼酎の緑茶割り缶とアテを買っていた売店のおばちゃんが、あ~ら先生!と声を掛けてくださり、うれしくなった。高校の敷地はこの新幹線駅に接しているが、駅に入ったらオフであると割り切り、生徒がいようがいまいが、酒を飲んでいた。相当変わった高校だったが、校長も変だったのである(いや、現校長はまともな方である。ちょっとウェットだけど…)。
新幹線に乗って帰宅。自由席、幸いに座れて楽ちんだった。明日は大学で会議である。ちょっとやっかいな問題が待ちうけている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます