情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

情報通信法の検討アジェンダ発表~独立行政委員会には触れず!

2009-01-10 15:20:47 | メディア(知るための手段のあり方)
 インターネットと放送の融合法制を検討している総務省の情報通信審議会「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」の最終的な検討アジェンダ(検討課題)がこのほど、ようや~く、発表された。年末の検討委員会で報告・検討されたが、問題があったために、ただちには発表されず、追加的に調整されていたものだ。

 この検討アジェンダ(http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/houtai/pdf/081226_1.pdf :しかし、なぜ、「検討項目」とかの簡単な日本語にしないのだろうか…)については、インターネットユーザーの皆さんは、表現の自由に対する規制についてどのようなとらえ方をしてくるのかに関心があったと思う。

 というのも、この検討委員会に素案を提出した「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」の中間とりまとめ(http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/070619_3_bs2.pdf)では、

【コンテンツと憲法上の「表現の自由」との関係では、表現活動の価値をも勘案
した衡量の結果として違法として分類されたコンテンツの流通は、表現の自由の保障の範囲外であり、規律することに問題はない。】

と言い切るなど、ブログなどを含む表現の自由にする規制が強く行われそうだったからだ。

 その後、皆さんが規制に反対するパブコメなどをどんどん送ったこともあり、風向きが変わった。

 結果的に、検討アジェンダでは、

【(3)「オープンメディアコンテンツ」に関する規律
① 「公然性を有する情報通信コンテンツ」(「オープンメディアコンテンツ」(仮称))に係る違法・有害情報対策について、いわゆるプロバイダ責任制限法に
よる責任制限の範囲を違法情報全般や刑事上の責任まで拡大することの是非
について検討する。
② オープンメディアコンテンツに係る有害情報への対策については、総務省
で別途開催している「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する
検討会」の成果等を踏まえ、必要に応じて対応を検討する。】

という表現になっている。

 ①は、実は②(「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する
検討会」)の中で検討されているので、結局、②にゆだねるということであり、コンテンツ規制(表現規制)を積極的に行おうという姿勢はなくなったようだ。(②については、また、近いうちに書きます)

 もちろん、これで喜んでいられるわけではない。

 規制へのむき出しの狙いが隠されたとしても、規制をする主体が、総務省(=政府=与党)である場合には、政治的な規制がなされ、メディアが権力批判をすることができなくなってしまう。

 そこで、総務省に代わって規制を行う「独立行政委員会」を儲けることが必須となるわけだが、そのことについては、検討アジェンダでは触れられていないのだ。

 もちろん、総務省の審議会による検討だから、独立行政委員会の設置なんて意見を出すことは無理だぁ~という、現実的な見方もあるだろうが、審議会の本来の仕事はよりよき行政の実現にある。とすれば、省益を超えた意見を望んでも、無い物ねだりとはいえない。

 検討アジェンダに対し、なぜ、独立行政委員会設置を検討しないのかっていう意見を述べよう!

 ところで、放送と通信が融合することによって、巨大資本がテレビ業界に参入することをテレビ局は恐れている。そこで、現在、必死に巻き返しを図っている。その結果が、検討アジェンダに顕れている。

 末尾の

【(2)既存事業者の位置付け
新たな法体系への移行により既存事業者に対して不利益を引き起こすことがないよう、新たな法体系への移行に際し、既存事業者については原則として現在の地位を実質的に承継する方向で検討する。】

という表現がそれだ。

テレビ局の既得権は守りまっせ、ということだ。


既得権を守られたテレビは、その既得権を利用して、ゴールデンタイムに何を放送しているのか?その既得権を保護することが私たち市民にとってどのような利益があるのか?

テレビ局の経営者に聞いてみたい。

  



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