情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

投票時間繰り上げを画策したのは誰か?~策謀に負けず、午前中に投票に行こう!

2007-07-29 04:14:36 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 まったく知らなかった。ものすごい衝撃を受けた。【29日に投開票される参院選で、全国約5万1700カ所の投票所の約3割にあたる約1万4800カ所で投票の終了時刻を繰り上げることが、総務省の調べで分かった。前回04年から投票所数で3割増えており、投票が原則午後8時までとなった98年の参院選と比べると約5倍に広がった】(朝日)というのだ。

 3割ですよ。3割が投票時間を繰り上げた!なぜ、そんなことになるのか。【背景には「平成の大合併」で自治体の面積が広がり、開票所への投票箱運搬に時間がかかるようになったことがある】という。つまり、【99年3月に始まった「平成の大合併」で、全国で3000を超えた市町村は1804(19日現在)に集約され、自治体の面積は広がった。従来のままでは投票箱の運搬が開票開始に間に合わない所が出てきたため、開票所から遠い投票所の投票締め切りを繰り上げる例が急増したとみられる】のだ。

 投票時間については、そもそも、【長く「午前7時から午後6時まで」が原則だったが、投票率アップのため98年に改正公職選挙法が施行され、午後8時まで延長された】はずだ。ただし、これには、例外規定があり、【特別な事情がある場合は、都道府県選管に届け出れば終了時刻を最大4時間繰り上げることができる。開票開始時刻の規定はないという】のだ。

 その例外規定を利用して、投票時間を繰り上げるところが増え、その結果、例えば、【04年3月に6町が合併して誕生した広島県安芸高田市は、54カ所すべての投票所で2~4時間繰り上げる。前回04年も全投票所で1~3時間繰り上げたが、さらに1時間ずつ早く、午後4時で閉まる所もある。同市では今回は開票迅速化を図るとして、開票開始も午後9時から8時に早めている。市選管は「旧郡部は夜になって投票する人は少ない。期日前投票も浸透してきている」と説明する】という状況だ。

 しかし、これでは、せっかく、投票率をアップさせるために時間延長した法の趣旨が無視された格好だ。より投票しやすい制度とすべきところを、開票の都合を優先して、投票をしにくい制度とするのは、まったく本末転倒だ。

 日本選挙学会理事長の田中愛治・早稲田大教授(政治学)も【「若い人ほど遅くに投票する傾向があり、投票時間の安易な繰り上げは若者らの投票機会を奪う可能性がある」と指摘。「仮に開票を早めるため繰り上げるのであれば本末転倒だ」と話している】という。

 そもそも、この開票時間繰り上げの裏には、開票のスピードアップがやたら、持ち上げられる風潮があるのではないか。以前は、必ずしも、即日開票というわけではなかった。翌日になって開票されるところだってあった。それがいまでは、即日開票は当たり前、一分でも早く集計作業を終えたいという選管が増えている。ゆえに、開票時間そのものを繰り上げることで、遅れをとらないように対処しているのではないか。そうだとすると、開票時間のランク付けをしている早稲田大学マニフェスト研究所の罪は大きいのではないか。

 では、この繰り上げ投票で最も得をするのは誰か?それは、固定票を持っている自民党、公明党、共産党であることは間違いない。といっても、共産党の意思が反映されるはずもないから、繰り上げ投票ブームには、やはり、政府・与党の意向が反映されていると考えるべきだろう。

 思い起こせば、投票時間の延長は、自民党、社民党、新党さきがけの3党体制で発足した第2次橋本内閣によって実現された。つまり、開票時間の延長は、そもそも、自民党の意思ではなく、社民党、新党さきがけへの妥協の産物だったと思われる。投票しやすい制度にするべきだというストレートな発想の社民党、新党さきがけの発想に、自民党も妥協せざるを得なかったのだろう。

 投票時間を延長した結果、翌年に行われた参院選挙では、【投票率は、近年著しい低下傾向が続いておりましたが、今回は五八・八%でありまして、前回に比べ一四・三ポイント上昇いたしました。なお、投票時間が延長された十八時以後の投票者数は約八百七十九万人で、当日投票者数の二八・三%が延長された時間に投票しており、また不在者投票者数は約四百四十五万人で、前回に比べ二・三倍に増加をしております】(第143回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第2号 議事録)という効果がでている。

 4分の1以上が延長された時間に投票した事実があるのだ!

 それにもかかわらず、集計時間を競うことで、開票にかける人件費を節約できるというとてもトリビアルなことを優先して、肝心な投票しやすい制度という重要な目的を逆にトリビアル化している。(trivialize - make trivial or insignificant; "Don't trivialize the seriousness of the issue!" ここ←クリック)

 今回の投票時間繰り上げ問題においても、現与党の欺瞞ぶりと、社民党、新党さきがけの民主主義を守ろうという姿勢との違いが顕著に表れているのではないだろうか。

 そして、このこと1つをとっても、どこに投票するべきか、誰に投票するべきかは自明のことだと思う。 

 民主主義を守る政党へ一票を、そして、民主主義を守れる候補者へ一票を!

 ちなみに、携帯電話を選ぶ時、まずは、電話会社を選択します。知らないうちに料金を上げたり、通話がぶちぶち切れる会社を選びますか?

 住民税をアップし、事務所経費問題で説明義務を果たさない自民党は、どういう体質の「電話会社」なのでしょうか?

 そして、もし、「電話会社」が同じように見えて、選べなかった場合には、「機種」で 選んで下さい。いったい、だれが本当に使える「機種」なのか。

 例えば、東京選挙区では、女性もたくさん出ていますが、議員になって使えるのはだれか、これまで何をしてきたのか、そして、何をしようとしているのか。よ~く考えて投票してください。

 そして、そして、なぜ、きっこがオムライスを推すのかも…。
 

 


 


★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
政権交代の後には (imacoco)
2007-07-29 16:06:54
この、投票時間の決め事も、キッチリ元に戻す様にして貰いたいですね。 開票が月曜日になっても、市民としては全く構いません。
小渕さんとか、早稲田でしたっけ? (田仁)
2007-07-29 16:23:42
何か、早稲田の政治関連のクラブとか、結構凄い右傾化してたなー!という記憶があるんですが?
違いましたっけ?弁論が如何とかっての。
投票所の削減も問題です (みやっち)
2007-07-29 17:22:42
いつもお邪魔させていただいています。

投票締切時間の繰り上げもさることながら、投票所の数が削減されていることも大きな問題だと思ってます。削減の理由は、繰り上げと同じ市町村合併により投票箱を開票所へ運ぶ時間が掛かるため。

すべての住民の3km以内に投票所を設けるという総務省の指導は、経費削減をしたい市町村でなし崩しにされているようです。
民主主義の基本である参政権が行政によって蔑ろにされ、それに疑問を抱かない住民が多いこの国で民主主義が根付くとはとても思えません・・・