情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

電波管理委員会を潰したのはNHK?!~息詰まる攻防:フジの情報誌「AURA」177号

2006-07-09 16:25:25 | メディア(知るための手段のあり方)
独立行政委員会である電波管理委員会を潰したのは,民主的メディアを嫌った政府とテレビ免許を取得しようとしたNHKのコラボレーションであったことが,フジのメディア情報誌auraの最新号(177号)で紹介されている。「こうして放送は,はじまった」という記事に掲載されたもので,メディアに関心のある方は必見の内容となっている。

昭和27年1月,テレビの標準方式として日テレが押していた6メガ方式とNHKが押していた7メガ方式の採用をめぐって,電波管理委員会で審議が行われ,NHK側の画策にもかかわらず,八木アンテナの発明者であった八木秀次氏の発言で一気に6メガ方式が優勢になった。

このころ,放送の管理・監督権を逓信官僚の手に取り戻そうとする動きが活発化し,昭和27年5月19日,吉田内閣は電波管理委員会廃止法案を国会に提出し,社会党の反対を押し切り,本会議を強行突破した。その結果,電波管理委員会は7月31日で解散し,8月1日から電信電話業務は新しくできる電電公社へ,電波に関する業務は郵政省電波監理局へ移されることになった。

そして,運命の7月31日,電波管理委員会が解散される日,最後の重大な決定として,テレビ免許は6メガ方式による日テレに与えられることになっていた。

しかし,NHKの意を受けた電波官僚が最後の抵抗を示した。開会間もなく,委員会の事務局長であった長谷慎一電波管理総局長が「審議不十分なまま本日解散される委員会で決定されるべきではない」と発言した。長谷総局長は,翌日になれば,郵政省電波監理局長となり,NHKへ優先的に免許を与えられる立場だった。

これに対し,坂本直道委員長が突然立ち上がり,「事務を処理する機関の事務局の長が委員会の権限を干犯し,掣肘するとは失礼千万だ。ただちにこの場から退出しなさい」とよく通る声で迫った。

仕方なく,長谷総局長らは退出した。

ところが,決定を下そうというときになって,なんと,事務局の部課長数十人が押しかけ,「長谷総局長が辞表を提出し,自分たちもそれに従うことにした。委員会も事務当局に背かれないようにするためには,民放テレビに対する認可の決定をおとりやめ願いたい」と迫った。官僚のクーデターであった。

しかし,坂本委員長は,部課長代理の3人を別室に連れ出し,「君たちは辞表の一括提出で委員会の決定に干渉しようとした。反省しなければ廊下に待ちかまえている記者団に,その事実を発表し,天下の世論に訴えるが,それでもいいか」と言い放った。

夜に入り,新課長から「前言を取り消す」と陳謝の表明があって委員書きが再開され,深夜11時40分,委員会が2年2ヶ月という短命で解散する20分前に,日テレへ免許を与える決定が下された。他方,NHKへの免許は保留となった。


…もし,電波管理委員会がなければ,民放が中心となったいまのテレビ放送システムは存在しなかったかも知れないということを改めて実感させられる記事だ。

いまこそ,電波管理委員会の再生を求めて,国民的な運動を起こすべきではないだろうか。

新聞が,再販・特殊指定問題で,与党自民党・公明党に大きな貸しをつくってしまった今,新聞とテレビが系列化していることによる弊害(電波行政からのテレビ新聞への圧力)はもはや無限大となっている。

いまや,日本の大メディアは,●ン玉を握られたも同然。その状態から解放しない限り,日本のメディアは,与党自民党の言いなりになり,世論をコントロールするしか選択の余地がないのではないだろうか。

マスゴミなどと批判する前に,メディアを権力から独立させるシステムを作り出すために何ができるかを考えなければならないと思う。


参考:
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/ec54a79538fbfa88b157e0b620972c35
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/7b784fa5973324cf83457fa3ab334327
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/56b20e10ddda5b22bd1c6dca17e92578
など





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