
ご存じの方も多いと思いますが、イラク戦争開戦への不適切な動きを内部告発した英国人スパイ「キャサリン・ガン」を取り上げた「The Spy Who Tried to Stop a War」が出版されたようですので、ここでも宣伝したいと思う。キャサリン・ガンが職を失うことを知りつつ、下手をしたら命を失いかねないことを承知で事実を知らせようとして内部告発をした英国に比較して、航空自衛隊のトップが政府の公式見解に刃向かってまで好戦的なムードを醸しだし、退職金や懸賞金まで持って行く日本(正確には日本政府)ってどうなのよ…って感じだ。
「暗いニュースリンク」は、キャサリン・ガンについて次のように紹介している。(http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/02/post_6.html)
■ ■ 引用開始 ■ ■
「私はただ、良心に従って行動しただけのことです」裁判に際して、その女性は自らの嫌疑に答えた。
キャサリン・ガン、29歳。職業:イギリス政府通信本部(GCHQ)中国語(北京語)通訳スペシャリスト。英国情報部員として、母国イギリスの安全を脅かす危険をいち早く察知することが自身の使命であると信じている誇り高き女性である。
イラクへの武力行使をめぐる国連での討議を世界が見守っていた2003年3月。彼女は、多くの英国情報部員がそうであるように、ブレア政権が進める米国追随政策と、偽りの情報に基づくイラクへの武力行使を危険視していた。戦争が開始されれば、英国軍兵士や無実のイラク市民が犠牲になることは明らかだったからだ。
そこで、キャサリン・ガンは、自分の仕事先で入手した極秘電子メールを英新聞記者に暴露し、米英政府の汚いやり口を告発したのである。英オブザーバー紙(ガーディアン姉妹紙)2003年3月2日付け記事が第一報で伝えたその告発内容は、国連に参加する全ての国を驚愕させるに充分なものだった。以下はその記事の概要である。
米国の諜報機関NSA(National Security Agency 国家安全保障局)の地方対象局担当チーフ、フランク・コーザは、イギリス情報部(MI6)に、国連安全保障理事会でイラクへの武力行使決議に関わる各国代表オフィスの盗聴を依頼していたことが判明した。
国連イラク査察団代表ハンズ・ブリクスがイラクの兵器査察について暫定報告をした直後、NSAのフランク・コーザが英国情報部に宛てた2003年1月31日付け電子メールによると、特に盗聴のターゲットとして指定されていたのはアンゴラ、カメルーン、チリ、メキシコ、ギニア、パキスタンの国連代表団の通信内容。この6カ国は米英(イラク攻撃派)と独仏露(査察継続派)の間で態度を決めかねている「中間派」であり、米国政府はその動向をリアルタイムに知りたがっていたのだ。(盗聴は国家安全保障問題担当のコンドリーザ・ライス大統領補佐官の指示によるものと見られている)
オブザーバー紙の告発記事は、世紀のスクープであるにも関わらず、米国マスメディアでは一切無視され、広範に伝えられることも議論されることもなかった。(日本では日経が告発記事に触れるにとどまった)結局イラク戦争は開始され、1万人を超えるイラク市民が米英軍の攻撃の犠牲になり、現在も混乱と被害は続いている。
情報漏えい容疑で逮捕されたキャサリン・ガンは、英国政府の訴えにより2年間の獄中生活を迎えようとしているが、彼女の無罪放免を求める活動は英国本国でも活性化しつつある。「キャサリン・ガンを憂慮するアメリカ人の会」の活動には、民主党大統領候補デニス・クシニッチの他、ハリウッドからもダニー・グローバー、ショーン・ペン、ボニー・レイット、マーティン・シーンが参加するなど、話題性も豊富だ。しかし、「大量破壊兵器」が誇張された脅威であると判明した現在に至っても、日米の新聞・TVは(映画欄も含めて)キャサリン・ガン事件をほとんど報道していない。
■ ■ 引用終了 ■ ■
その後、検察側が立証をしなかったため、彼女は無罪放免となった。
そして、米国で共和党政権が終わりを告げようとしたとき、キャサリンの本「The Spy Who Tried to Stop a War:Katherine Gun and the Secret Plot to Sanction the Iraq Invasion」が出版された。「マスコミに載らない海外記事」は、新著を紹介する記事を次のように翻訳し、紹介している。(http://eigokiji.justblog.jp/blog/2008/10/post-dfd0.html)
■ ■ 引用開始■ ■
とうとう一冊の新刊書がこの話を物語ってくれた。"The Spy Who Tried to Stop a War"は、強烈なパンチが山盛りだ。個人的、政治的、そして歴史的な意味で、キャサリン・ガンが何をしたのか、イギリスとアメリカの政府がどう対応し、アメリカのマスコミが、何を報じ、また何を報じなかったかを理解することは、彼女の大胆な良心の行動の直後に、イラク侵略へと突進した、軍産マスコミ複合体についてのはっきりとした実情を把握することだ。この複合体は、マーチン・ルーサー・キングJr.が、「軍国主義の狂気」と呼んだものを、依然として推進しつづけている。
政治家たちや、広く尊敬されているジャーナリストたちが、非常に洗練されたように見える姿勢を進んで示そうとする時代にあって、キャサリン・ガンの対応は拍子抜けするくらい単純だった。外交で戦争を避けるようとするのではなく、 戦争が、ペンシルバニア・アベニュー1600番地とダウニング街10番地それぞれの最高指導者たちの優先項目リストで一番上にあるという、明らかな証拠が手に入った時に、彼女は良心を発動させた。彼女は思い出して語る。「当時私が考えつけたことといえば、彼等は侵略を必死に正当化しようとしていて、世界に対して、戦争への合意が実現できたと連中が発表できるよう、腕をねじり上げ、恐らくは代表たちを脅迫するために、この新しい諜報情報を、彼等は喜んで使うだろうことを、私が知っているということでした。」
政府の通信本部で働いていた彼女や同僚達は、後に彼女が語ったように、「国際法に違反する侵略を実現するという究極的な狙いをもった、違法行為に加わることを要求されていた。」
"The Spy Who Tried to Stop a War"の著者マルシアとトーマス・ミッチェルは、そのシナリオを以下のように説明している。「扱いにくい[国連安全保障理事会]代表たちの腕をひねって、広く受け入れられる論理的根拠を提供できる新たな決議の承認を勝ち取ろうとするもの。」キャサリン・ガンが、何が進行中なのかを発見した後、「彼女は、戦争を合法的なものにしてしまうような、必要とされていた二つ目の決議、つまり引き金機構となり得るものを破壊することで、戦争を押しとどめようとしたのだ。」
単なる非難でなく、NSAメモは、証拠になっているのだ。この事実は、なぜアメリカの諜報機関が断固として、マスコミの質問への対応に妨害工作を行ったのかを説明し、なぜアメリカのマスメディアがこの話題を著しく冷淡にあしらったのかを説明する助けにもなろう。このスクープは、アメリカのマスコミという反響室の内部で、大きく鳴り響くことはなかった。なぜなら、それが、しくまれていた主流の話題に溶け込むには、余りに鋭く、多くを物語っていたため。
■ ■ 引用終了 ■ ■
日本のメディアは、この本についてどう伝えるのだろうか…。
どこかでもう翻訳しているのだろうか…。
【PR】

★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。
「暗いニュースリンク」は、キャサリン・ガンについて次のように紹介している。(http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/02/post_6.html)
■ ■ 引用開始 ■ ■
「私はただ、良心に従って行動しただけのことです」裁判に際して、その女性は自らの嫌疑に答えた。
キャサリン・ガン、29歳。職業:イギリス政府通信本部(GCHQ)中国語(北京語)通訳スペシャリスト。英国情報部員として、母国イギリスの安全を脅かす危険をいち早く察知することが自身の使命であると信じている誇り高き女性である。
イラクへの武力行使をめぐる国連での討議を世界が見守っていた2003年3月。彼女は、多くの英国情報部員がそうであるように、ブレア政権が進める米国追随政策と、偽りの情報に基づくイラクへの武力行使を危険視していた。戦争が開始されれば、英国軍兵士や無実のイラク市民が犠牲になることは明らかだったからだ。
そこで、キャサリン・ガンは、自分の仕事先で入手した極秘電子メールを英新聞記者に暴露し、米英政府の汚いやり口を告発したのである。英オブザーバー紙(ガーディアン姉妹紙)2003年3月2日付け記事が第一報で伝えたその告発内容は、国連に参加する全ての国を驚愕させるに充分なものだった。以下はその記事の概要である。
米国の諜報機関NSA(National Security Agency 国家安全保障局)の地方対象局担当チーフ、フランク・コーザは、イギリス情報部(MI6)に、国連安全保障理事会でイラクへの武力行使決議に関わる各国代表オフィスの盗聴を依頼していたことが判明した。
国連イラク査察団代表ハンズ・ブリクスがイラクの兵器査察について暫定報告をした直後、NSAのフランク・コーザが英国情報部に宛てた2003年1月31日付け電子メールによると、特に盗聴のターゲットとして指定されていたのはアンゴラ、カメルーン、チリ、メキシコ、ギニア、パキスタンの国連代表団の通信内容。この6カ国は米英(イラク攻撃派)と独仏露(査察継続派)の間で態度を決めかねている「中間派」であり、米国政府はその動向をリアルタイムに知りたがっていたのだ。(盗聴は国家安全保障問題担当のコンドリーザ・ライス大統領補佐官の指示によるものと見られている)
オブザーバー紙の告発記事は、世紀のスクープであるにも関わらず、米国マスメディアでは一切無視され、広範に伝えられることも議論されることもなかった。(日本では日経が告発記事に触れるにとどまった)結局イラク戦争は開始され、1万人を超えるイラク市民が米英軍の攻撃の犠牲になり、現在も混乱と被害は続いている。
情報漏えい容疑で逮捕されたキャサリン・ガンは、英国政府の訴えにより2年間の獄中生活を迎えようとしているが、彼女の無罪放免を求める活動は英国本国でも活性化しつつある。「キャサリン・ガンを憂慮するアメリカ人の会」の活動には、民主党大統領候補デニス・クシニッチの他、ハリウッドからもダニー・グローバー、ショーン・ペン、ボニー・レイット、マーティン・シーンが参加するなど、話題性も豊富だ。しかし、「大量破壊兵器」が誇張された脅威であると判明した現在に至っても、日米の新聞・TVは(映画欄も含めて)キャサリン・ガン事件をほとんど報道していない。
■ ■ 引用終了 ■ ■
その後、検察側が立証をしなかったため、彼女は無罪放免となった。
そして、米国で共和党政権が終わりを告げようとしたとき、キャサリンの本「The Spy Who Tried to Stop a War:Katherine Gun and the Secret Plot to Sanction the Iraq Invasion」が出版された。「マスコミに載らない海外記事」は、新著を紹介する記事を次のように翻訳し、紹介している。(http://eigokiji.justblog.jp/blog/2008/10/post-dfd0.html)
■ ■ 引用開始■ ■
とうとう一冊の新刊書がこの話を物語ってくれた。"The Spy Who Tried to Stop a War"は、強烈なパンチが山盛りだ。個人的、政治的、そして歴史的な意味で、キャサリン・ガンが何をしたのか、イギリスとアメリカの政府がどう対応し、アメリカのマスコミが、何を報じ、また何を報じなかったかを理解することは、彼女の大胆な良心の行動の直後に、イラク侵略へと突進した、軍産マスコミ複合体についてのはっきりとした実情を把握することだ。この複合体は、マーチン・ルーサー・キングJr.が、「軍国主義の狂気」と呼んだものを、依然として推進しつづけている。
政治家たちや、広く尊敬されているジャーナリストたちが、非常に洗練されたように見える姿勢を進んで示そうとする時代にあって、キャサリン・ガンの対応は拍子抜けするくらい単純だった。外交で戦争を避けるようとするのではなく、 戦争が、ペンシルバニア・アベニュー1600番地とダウニング街10番地それぞれの最高指導者たちの優先項目リストで一番上にあるという、明らかな証拠が手に入った時に、彼女は良心を発動させた。彼女は思い出して語る。「当時私が考えつけたことといえば、彼等は侵略を必死に正当化しようとしていて、世界に対して、戦争への合意が実現できたと連中が発表できるよう、腕をねじり上げ、恐らくは代表たちを脅迫するために、この新しい諜報情報を、彼等は喜んで使うだろうことを、私が知っているということでした。」
政府の通信本部で働いていた彼女や同僚達は、後に彼女が語ったように、「国際法に違反する侵略を実現するという究極的な狙いをもった、違法行為に加わることを要求されていた。」
"The Spy Who Tried to Stop a War"の著者マルシアとトーマス・ミッチェルは、そのシナリオを以下のように説明している。「扱いにくい[国連安全保障理事会]代表たちの腕をひねって、広く受け入れられる論理的根拠を提供できる新たな決議の承認を勝ち取ろうとするもの。」キャサリン・ガンが、何が進行中なのかを発見した後、「彼女は、戦争を合法的なものにしてしまうような、必要とされていた二つ目の決議、つまり引き金機構となり得るものを破壊することで、戦争を押しとどめようとしたのだ。」
単なる非難でなく、NSAメモは、証拠になっているのだ。この事実は、なぜアメリカの諜報機関が断固として、マスコミの質問への対応に妨害工作を行ったのかを説明し、なぜアメリカのマスメディアがこの話題を著しく冷淡にあしらったのかを説明する助けにもなろう。このスクープは、アメリカのマスコミという反響室の内部で、大きく鳴り響くことはなかった。なぜなら、それが、しくまれていた主流の話題に溶け込むには、余りに鋭く、多くを物語っていたため。
■ ■ 引用終了 ■ ■
日本のメディアは、この本についてどう伝えるのだろうか…。
どこかでもう翻訳しているのだろうか…。
【PR】

★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。
ヤメ蚊さんのブログ見ていたかいがありました。
こういう新書紹介は物凄く嬉しいです。
未読なのでまだなんとも言えませんが、イラク戦争が
公に「失敗」と認識されているからこそ説得力がありますがもし、イラク戦争が「正当行為」と認識されていたら本書はどういう扱いを受けていたのでしょうか?彼女の行為はどうなっていたか?
いろいろと考えさせられます。
それと日本人として気になる一文
>(日本では日経が告発記事に触れるにとどまった)
>、「大量破壊兵器」が誇張された脅威であると判明した現在に至っても、日米の新聞・TVは(映画欄も含めて)キャサリン・ガン事件をほとんど報道していない。
何かの情報を知りたい時に日本メディア発のソースを極力、避けている自分がいるのを再認識しました。
残念です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Katharine_Gun
未だ日本語を含む他言語の記事はありません
愛国者は彼女であって、戦争を始めようとした指導者達ではない。
ソレは明白です!
しかも本当に正味で命懸け。
ひけらかす時点でウソがあるように
思えるのは自分だけでしょうか?
ジェームス・ボンドじゃないんですから
リアルで007やってるこの方には
このひと言を送ります。
「自重しろ、あれじゃ死ぬぞ」
マサに戦争推進派の思う壺。
まさか、コレからも彼女がスパイ業を続けるとでも?
何と無理のある想定!
普通は、退職金を貰って辞めるでしょう。
指揮官との信頼関係が無いと、やって行けない職業なのに。
命懸けなんだから。