情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

30万人の殺人署名をした方へ~トシ・カザマさんの話を聞いてほしい

2009-06-27 08:24:50 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 昨日、写真家トシ・カザマさんの講演を弁護士会館で聞いた。40人くらいの聴衆を前に自らが撮影した米国の少年死刑囚や死刑台、死刑囚の肉親、死刑を下された犯罪が行われた現場、台湾の死刑囚や死刑場の写真を紹介しながらの話は、語り口は穏やかだが、胸が苦しくなるほど衝撃的だった。

 そう、私たちは、死刑がどのように行われているか、死刑囚がどのような人なのか、それを知らない。知らないままに「つるせ」と合唱している。

 トシさんは、死刑囚側の話だけでなく、被害者の話も聞いている。それだけでなく、自らも通り魔による瀕死の重傷を負った経験がある。

 それだけに、彼が死刑によって遺族は必ずしも癒されないと語る、その言葉は非常に説得力がある。

 彼は、写真を紹介するなかで、時折彼が思うことを語る。
 
 「死刑とすることで周りは一見落着と思う。しかし、家族は怒りをぶつけるものを失っただけだ。」

 「死刑を執行することで、死刑となる犯罪を犯す原因を知る機会を失う。死刑では将来の問題は解決されない。」

「被害者やその遺族が最も必要とするのは、金銭的援助、専門家による精神的援助だ…。」


 少し前、私は、闇サイト殺人事件で、死刑=殺人を促すよう署名した32万人の人たちは、いったい、どこまで「死刑=殺人」について深く考えて署名したのか?という疑問をぶつけた。(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/92442371fd12778ca90b401de7600aa7)

 トシさんの話を聞いて、ハッキリ言ってほとんどの方が、死刑の執行状況、死刑囚の状況、死刑がもたらす遺族への影響などは理解していないという思いを強くした。

 人を殺す署名をするには、なんと、安易な判断だろうか。

 まるで、同じ町内で盗人にはいられた人がいるから、防犯のため番犬でも飼おうかというような安易さだ。

 トシさんは、自らが瀕死の重傷を負ったとき、娘たちに犯罪を憎むとも犯人を憎むなと言ったという。

 「そんな格好いいことがいえるだろうか」、あるいは、「格好つけてんじゃねえよ」という反論が飛んできそうだ。

 しかし、トシさんがそう語ったのは、父親として当然のことだったのだ。

 犯人の暴力によって肉体的なダメージを与えられたトシさんは、娘たちの将来を考え、こう語るほかなかったというのだ。

 ここでは、トシさんの言葉を再現するのはよそう。

 考えてほしい。彼がなぜ、一見、格好よすぎて本音だと思われないような言葉を娘たちに語ったのか、その理由を。その理由を聞いた時、彼の深い家族愛に胸を打たれた。

 トシさんの講演は、月曜日も都内の教会(四谷付近)で行われるという。

 詳細が当日までに分かれば、この記事に付記して掲載します。

 ぜひ、一人でも多くの方にトシさんの話を聞いてほしいと思う。

 写真のいくつかが、
http://homepage2.nifty.com/shihai/report/kazama/photo9.html
 で紹介されている。一番下の小さな写真をクリックすれば拡大され、説明を読むことができる。



【付記】

「死刑の現実を見すえて考える−米国と台湾の現場から」
米国在住の写真家トシ・カザマ氏が長年、撮影してきた米国の少年死刑囚やその家族、被害者遺族、台湾の死刑囚やその家族、米国や台湾の死刑執行場などの写真をスライドショーで見せながら、死刑囚たちの生い立ちや犯罪に至る事情、米国や台湾の死刑執行の実態などを語ります。死刑を観念的な問題ではなく、生きた人間に関する現実の問題として体感し、考えるヒントを提供します。
●日時/6月30日(火)午後6時30分−8時30分
●場所/幼きイエス会(ニコラバレ修道院)105号室 (東京・JR四ッ谷駅・麹町口前)
●講師/トシ・カザマ
15歳で渡米、滞米生活35年、ニューヨーク在住のカメラマン。「人権のための殺人被害者遺族の会」(Murder Victims' Families forHuman Rights:MVFHR、米国)理事、「Ocean-被害者と加害者の出会いを考える会」(日本)運営委員。
●入場/無料(会場カンパあり)
●主催/日本カトリック正義と平和協議会死刑廃止を求める部会

そのほか、北海道でも行われるようです。
7月4日:苫小牧 柴田内科循環器科病院にて13時から 一般参加可
7月5日:札幌 柴田内科循環器科研修センターにて講演北海道新聞後援14時から17時 一般参加可



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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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