情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

原因を明らかにするという弁護人の役割~光市事件に関する報道シンポでの立ち位置

2008-07-15 07:14:58 | メディア(知るための手段のあり方)
 光市事件に関する報道について土曜日に行われたシンポで、次のような話をしました。「今日、私は、メディアの弁護人としてお話をさせていただきます。多くの方は、光市事件の被告人を死刑にしろ、と言ってもそれだけで、問題が解決するとは思っていないはずです。なぜ、彼がこのようなことをしたのか、それを探る努力をし、その原因を取り除く努力をしないといけない。その原因を明らかにするのは弁護人の役割でもある。それと同じことがメディアにもいえます。メディアがなぜ、光市事件をめぐってあのような一方的な報道をしたのか。BPOで意見を突きつけられるような報道をしたのか、それには原因があります。その原因を探り、解決しなければ、問題は解決しないのです。そういう意味で、私はマスメディアの弁護人としてお話をさせていただきます」。そう話したうえで、ここの読者にはおなじみのメディアのシステム論を述べたわけです。

 ようは、なぜ、その人がそのようなことをしなければならないような状況に至ったのかを法廷に示すことが弁護人の役割であり、私もそれにならい、なぜ、メディアがそのような報道をするに至ったかを示そうとしたのです。

 メディアの場合、原因は割とはっきりしている。①放送局に対する総務省支配、②新聞、テレビ、ラジオの系列化、③巨大広告代理店の存在、によって、メディアが政府、大企業によって支配されていること、これにつきるわけです。

 メディアも収益を目的とする、それがゆえに利権と結びつきがちだ。他の国では、それを防ぐためのシステムを市民が真剣に考えているわけです。日本では、そのようなことが軽視されてきたゆえに、上記の①~③のシステムが放置されてきた。

 そう、私に言わせれば、光市の事件で、「死刑にしろ」と罵倒するだけで問題が解決すると考えていることと、「どうせメディアは金儲け主義で役立たずだ」と罵倒することで問題が解決すると考えていることはまったく同じだ。

 そのような罵倒によって、気分的にはすっきりするかもしれない。しかし、それだけでは、まったく問題は解決しない。

 いかにすれば光市のような事件を防ぐことができるか、いかにすればメディアが権力監視機能を取り戻せるか、このような思考こそが重要だ。

 例えば、情報通信法構想に向けて、放送行政及びインターネット行政を政府ではなく独立行政委員会の手に委ねさせるべきだ、という声を与野党の議員に送り続けること、これもその思考に沿った効果的な行動の一つだと思う。

 罵倒して感情的にすっきりしただけでは問題の解決にはならない。いかにシステムを変えるべきかを考えること、それを常に念頭におきましょう!



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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
野党が与党になっも何もかわらない (hatena?)
2008-07-15 23:45:24
 村山内閣の前例があるではないか?

 政治なんて、政府なんて、権力を持つ側が変わっても何も変わらないことを国民はもう学習しています。

 「朝まで生テレビ」で、今回の裁判員制度を含む司法制度改革は、国会で全会一致で決まった。と
社民党党首が暴露(自爆)したではないですか。

 政府を期待しても、政治に期待しても何にも変わらない。
 まして、民間企業のマスコミ。半民間企業のNHKなんか、端から期待していない。

 光市事件、1.2審の弁護人の弁護過誤。
 最高裁の弁護人の戦術過誤。(遅延行為は、常習行為。年報死刑06・07、光市事件を考える、なぜ僕…、生きる権利)をしっかり読めば、最高裁批判、旧弁護人批判。慣習・慣行の悪行が目に見えて解る。

 それを放置した、われわれ国民が連帯して、責任を負う。そういう気持ちがなければ、何も変わるわけがない。
 そんなこと初めから解っていたこと。

 責任を転嫁している社民党は反省をしていない。
 「村山内閣」って何をしたの?
 自民党を潰すことができなかった。それだけ…。

 自民党は、大嫌いだけど。二世議員、弁護士出身議員。官僚出身議員に何がわかるの?

 Bの事例は、永遠の課題だ。
 犯罪の種類が変わるだけで、完全に防ぐことはできない。そんなことわかっている。
 離れ小島で、自給自足すれば、犯罪なんか起こらない。
 人と人(光市事件の原因)がいれば、必ず、争いが起きる。当たり前!
 
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Unknown (Unknown)
2008-07-16 00:39:50
>  そう、私に言わせれば、光市の事件で、「死刑にしろ」と罵倒するだけで問題が解決すると
> 考えていることと、「どうせメディアは金儲け主義で役立たずだ」と罵倒することで問題が解決
> すると考えていることはまったく同じだ。

ココの弁護士が、無関係なAと云う問題とBと云う問題を絡めて説明する時は、ほとんどの場合
トンチンカンな説明でで終わる場合が多いが、今回もご多分漏れずトンチンカンだった。
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Unknown (元キシャ)
2008-07-16 13:42:09
ところで図Bの「同じことをさせるな」は、政府が虞犯市民をカッチリ監視して凶悪犯罪事件など起こせないような社会にするべきだという話でしょうか。
それともマスコミの暴走報道を政府が責任を持って監視監督するべきだということでしょうか。
「世間を吹く風」の風向きに敏感な商業マスコミは、いわば「世間の声」のアンプリファイアーに過ぎないですよ。乖離してしまえば人気と支持を失い、商売に差し支えます。その程度のものなんですよ。
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NHKの件はね…。 (田仁)
2008-07-16 20:14:40
確かに今日、高齢者の方が引っ掛かってるのを実際に体験したけど、しかし中途半端にリアル主義(?)ってか、「今時の製氷機に不可能だろ!だって、冷蔵庫部分にぬるま湯を入れた時点で冷蔵機能で冷やされるじゃん!」と言われてました。
美味しい氷を食べてみたいと言う、食い意地は結構凄かったですが、人間心理の点で実に興味深いです。
身近な部分は現実に即してるんですね。
あるある大辞典同様、ツイにネタ切れでヤバくなったか知れませんが、確かに日本会議のリーサル・ウェポン、古森さんに利用されないとも限らない。
今後とも、注意が必要でしょう。

しかし、「死刑にしろ!」とか「独裁者の力強さ万歳!」って民衆が叫ぶ時って、生活が疲弊して安易に流れてる事が多いんですってさ。
健全な民主主義ほど、常にメンテナンスする労力を必要とするモノは無いからねぇ。
どうしてコウも簡単に、世界の富の8%は確かに集めた筈だったバブルが、米国のバキュームに吸い取られますかねぇ。
万年与党政治家の責任は大きいです…。
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どっちが誤報? (hatena?)
2008-07-17 08:12:02
 問題の多い〇日新聞が、
 鯨肉窃盗:グリーンビース2被告、保釈の執行停止 地裁、準抗告受け /青森 7月16日地方版
  http://mainichi.jp/area/aomori/news/20080716ddlk02040020000c.html

 GPJがHPで自由の身になりました。7月16日
としているが、

 1.保釈の執行停止が正しいのか、
 2.自由の身になりました。(GPJ)

公にしている以上、誤報はどっち!! 
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誤報ではありませんよ (ヤメ蚊)
2008-07-17 08:37:39
いったん、準抗告の申立がされたが、裁判所がそれを認めず、保釈された、というのが事実です。
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