情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

やっぱり、東京新聞か…東京地検検察官による証拠隠し発覚記事を3段で掲載+公判前整理手続きの問題点

2007-04-24 06:54:23 | メディア(知るための手段のあり方)
 昨日書いた検察官による証拠隠しの件で、東京新聞が3段で記事を掲載していたことが分かったので、東京新聞の名誉のために、再度この問題を取り上げ、東京新聞の紙面をご紹介します。
 
 東京新聞によると、一度「存在しない」と弁護士に伝えた後で作成したが、存在しないという通知を変更しなかったものがあるという。う~ん、どうしてそういうことになるのか…。何のために作成したのか…。

 そもそも、公判前整理手続き(後注)においては、検察は不十分なところをこうして後出しじゃんけんできるが、弁護側にはそのような機会がなかなか認められないシステムになっている。本件ではそういうシステムの問題も露呈したのではないだろうか。

 この点、日弁連

【従来の手続では,被告人側の防御方針(主張・立証方針)は,公判進行の過程で策定していくことが可能であり,実際上も,被告人側の証拠調べ請求は検察官立証がなされた後で行われることが一般的です。
 これに対し,公判前整理手続に付された場合,被告人側は,公判開始前に「予定
主張」明示と証拠調べ請求を行わなければならず(第316条の17),証拠調べ
請求については「やむを得ない事由」で公判前整理手続で請求することができなか
ったものを除き公判で新たな請求を行えなくなります(第316条の32→「やむ
を得ない事由」の意味については,Q4-4参照)。これにより,被告人側は,検
察官の公判立証を待たずに防御方針を策定して明らかにすることを求められること
になります。】

と危惧しているところだが、

検察側が、公判前整理手続中に強力な捜査力をもって、新たに足りないと思われる証拠を作り出す一方で、捜査能力を持たない弁護側の証拠提出期間を限定するのは、不公平極まりないのではないだろうか。

起訴事案=有罪事案ではないようにするために、裁判員制度を設けたはずなのに、裁判員制度導入に伴い裁判員を拘束する時間を短くするために設けられた公判前整理手続の制度によって、弁護士の活動が縛られるのでは、本末転倒ではないだろうか…。

本来、この事案を通して、メディアは、このような観点からの突っ込みが必要なのではないだろうか…。

あ、それから、「指導を徹底する」とはどういうことなのか、処分はどうなったのか、続報待ってますよ。

注)公判前整理手続き
 裁判所が初公判の前に事件の争点と証拠を整理する手続き。2009年5月までに導入される裁判員制度をにらみ、公判の迅速化を目的に今年11月1日からスタートした。裁判員制度は罰則が死刑や無期懲役などの事件が対象だが、手続きは裁判所が必要と認めれば適用できる。手続きは非公開で、検察側と弁護側が証拠を開示し争点を整理、採用する証拠や証人を決める。手続き終了後は新たな証拠請求は制限されるため公判の回数が減り、裁判の迅速化が期待されている。














★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。なお、安倍辞任までの間、字数が許す限り、タイトルに安倍辞任要求を盛り込むようにしています(ここ←参照下さい)。