集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

梅干しカラいかすっぱいかしょっぱいか???

2017-10-09 09:53:55 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 梅干し。日本古来の保存食として広く人口に膾炙した素晴らしい食物。明治時代、建軍されたばかりの日本陸軍において、プロイセンから派遣されたメッケル教官が「補給とは何か」という課題を与えた際、当時の参謀のタマゴたちが、米と水以外で、唯一思いついた食材としても知られております(ネタは司馬ポニョ太郎の「坂の上の馬鹿」ですので、あまりアテにしないでください(''◇'')ゞ)。
 梅干しは戦国時代以降、伝染病や食中毒を防ぎ、兵隊の元気を増進する(おそらくこれは、梅干しに含まれるアミノ酸の疲労回復効果によるものと思料)として、戦国大名は梅の植林を盛んに奨励したとも聞きます。

 ワタシも梅干しはダイスキ、特に酒飲みになってからは、そば焼酎や、現住地域の島焼酎(内地では「泡盛」と呼ばれています(-_-;))に極めて親和性の高いサカナとして愛好しております。
 スーパーなどで売られているものも悪くないのですが、ワタクシの横着な口に合うのは、やはり実家で漬けた梅干し。オヤジは小梅が好きなのですが、ワタクシと死んだ祖父はデカイ梅が好きだったので、現在も2種類漬けており、ずっと愛好し続けております。

 社会人になってしばらく、酒の肴以外の存在としての梅干しの存在を忘れていたのですが…沖縄離島部でデカイ船に乗り、何日も洋上で過ごすようになったある日、久々に梅干しのすばらしさを思い出しました。
 ある日緊急出航がかかり、オキに一週間出されました。
 糧食は乏しく、夜食には塩のおにぎりが延々と出続けました。
 ワタクシのワッチ(航海当直)は0-4(パーゼロ。12時間に1度、0時から4時までの当直という意味)であり、パーゼロ直は必然的に、朝飯を食えないことになります。そのため、夜食で残ったオニギリの確保が死命を決するようになるのですが…塩味だけのオニギリは、おいしいことに変わりはないのですが、そのうち飽きがきます。
 朝飯代わりに塩のオニギリを食い続けた3日目。私は当直中、自分の手荷物の中に、実家で漬けた梅干しがあることをふと思い出しました。
 当直が終わるのももどかしく、私は物置の中にあった梅干しの瓶を引っ張り出し、塩のオニギリと一緒にかじりました。タネのことなんて気にしている場合じゃなかった。とにかく、「塩とウメ」という、何気ない味に、タネも気にならなくなるくらい飢えていたのです。

 塩おにぎりと、舌になじんだ実家の梅干しが交わった瞬間…甘さ、酸っぱさ、しょっぱさが舌の上でバチン!とはじけたこの瞬間…私はこのうえない至福のひと時を味わいました。
 梅干しとは、米とは、こんなにウマいものだったのか…!!!!!本当に筆舌に尽くしがたい味でした。
 また、緊急出航による眠気やだるさ、やる気のなさまでも、梅干し一食によって一気に払拭!というのも、実に得難い体験でございました。
 以後私は船内に実家の梅干しを欠かさず、不測の事態に備えております。

 近年は梅干しの疲労回復効果などを狙い、「スポウメ」(スポーツに適した梅干し)というものも売られております。都会のデパートのスポーツ用品売り場で売られているようなものですので、かなりガチなものです。
 これはワタクシも大好きな南高梅を使用した一品で、梅干し嫌いがよく言う「すっぱくてイヤ!」という酸っぱさを抑えた製品で、非常においしく、いいものだと思います。
 しかし、昔ながらのしょっぱくてすっぱい深漬けを愛好してきたワタクシとしては…ぜひアスリートのみならず、全ての若い世代に、梅干しのあのおいしさ(酸っぱさ???)を味わってもらいたい、その深い味わいと共に、疲労回復だけでない、消毒・殺菌・食欲増進・そして忘れてはいけない酒の肴効果を実感してもらいたい!!!!!!!!!と愚考する昨今でございます。
 

2 コメント

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Unknown (老骨武道オヤジ)
2017-10-12 12:13:40
うーん、今回のテーマは少々つらいかな・・梅干しの効能は何となく分かっているつもりですが、私は毎日口にする習慣はありません。ブログ主のような環境にあれば当然ハマったでしょうが(同業の某知人は当然ハマっています)なにせ、しょっぱいのは苦手なんで・・。同居する孫娘は純和風娘にて食は細いのですが梅干しは大好きで、しょっちゅう食べていますな・・食い物の趣向に“遺伝”はないようで・・ハイ、こんなところでチャンチャン!
ありがとうございます! (周防平民珍山)
2017-10-12 20:30:22
 老骨武道オヤジさま、ありがとうございます!
 梅干し、ニガテだったのですね。ちょっと申し訳ございませんでした。食の嗜好に遺伝はない、というのはちょっとしたオドロキでもありました。
 あの味は確かに好き嫌いがあると思いますが、ちょっとした調味料として、酒のアテとして、疲労回復剤として、ワタクシは重宝しております。フネでの激務の合間食べますと、本当に、疲れが取れます!!!

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