集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

緊急寄稿・バカ監督といわゆる「サイン盗み」

2019-03-29 19:55:23 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 昨日(3月28日)行われたセンバツの2回戦習志野(千葉)―星稜(石川)の4回表、習志野の二塁走者の動きがいわゆる「サイン盗み」であるとして、星稜の林和成監督が猛抗議。試合後も林監督の怒りは収まらず、
「星稜・林監督は試合後の取材を受けた後、怒りの形相で星稜の控室と隣り合わせの習志野の控室へ2度、乗り込んだ。試合前から抱き、試合中にも訴えた「サイン盗み疑惑」に対し、報道陣がいる前での異例の直接猛抗議だった。『フェアじゃないでしょう』『証拠はありますよ』 
 そういった言葉を、習志野・小林徹監督(56)や選手らがいる部屋で投げかけた。関係者から制止される形で星稜の控室に戻ったが、その後もぶぜんとした表情で選手らと球場を離れた。」(3月28日付電子版デイリースポーツより)
 林監督は試合後の取材やインタビューにおいても、習志野のサイン盗みについて「汚い、汚い」と非を鳴らし続けていたとの報道もあります。

 本件に関して一言私見を申し述べれば…「こんなバカが監督をしているから、優秀な投手を抱えていても負けるんだ」で終了です。

 まず最初に「サイン盗み」とは。
 「甲辞園」(ベースボールマガジン社)によりますと、「走者やベースコーチが捕手のサインを見て打者にコースや球種を伝える行為」であり、このような疑いがある場合「審判はタイムをかけ、当該選手と攻撃側ベンチに注意を与えすぐに止めさせる」とあります。
 ただこのような行為はずいぶん前から常態化しており、「強豪私立高校の中には、指導者が選手にサインの盗み方を教え、“常習犯”と疑われる人がいる」「特に教員免許を持たない『職業監督』といわれる人たちは負ければ職を失う危機感が常にありますし、勝てば地元での名声が高まってチヤホヤされる。甲子園出場や全国大会の成績に応じて数百万円ものボーナスを出す学校もある。勝てば官軍という監督は残念ながら少なくないですから」(3月29日付日刊ゲンダイより、某公立高校監督の談話)
 平成25年夏には花巻東、28年春には秀岳館、そして今大会でも1回戦で負けた横浜が同様の行為をしたとして、上記の「審判からの注意」を受けています。

 この手のサイン盗みで最もハードな行為をやらかしたのは、平成14年春1回戦の福岡工大城東-宇都宮工(栃木)戦における、福岡工大城東。
 5回裏、ネット裏で観戦していた観客から大会本部に「福岡工大城東の関係者が(同校控え選手の)ボールボーイに何度もメモを渡している。サイン盗みじゃないか?」とタレコミがあり、大会本部が試合中にもかからず即座に調査を開始したところ、ネット裏にいた福岡工大城東の副部長があっさり口を割り、更に控え選手に確認すると3枚のメモを手にしていた…という事件。この試合は福岡工大城東が6-5で接戦をものにしましたが、試合後の同校には抗議が殺到。同校は以後の試合出場辞退まで考えましたがそのまま2回戦に進み、案の定といいましょうか、明徳義塾にボロ負けしました。
 これが現在までで唯一シッポをつかまれた「サイン盗み」ですが、まあ要するに、どこの学校でも大なり小なりそんなことはやっていることであり、逆に言えばイマドキの高校野球の指導者たるもの、その点まで考えてサインを作り、戦術を練らなきゃ話にならんということです。
 これを裏付けるお話として、「サイン盗みをしたからといって試合に必ず勝てるわけじゃない」のは、現に今大会の横浜が1回戦で明豊(大分)にボロ負けしていることや、前出の花巻東、秀岳館とも優勝に手が届いてないことからも明らか。つまり、イマドキの高校野球において「サイン盗み」などというものは「盗んだ方が悪い」のではなく「盗まれる、あるいは盗まれた後の対策ができてないヤツがバカ」という解釈も成り立つわけです。相手が「サイン盗み」をするなら、こっちもやり返してやるくらいじゃないと、全国の舞台で勝ち進める訳はないでしょう。

 また本件に関しては、いくつかのサイトが「習志野のサイン盗み」にあたるとされる行為を検証していましたが、実は星稜側も、習志野と同じような「サイン盗み」をしたことがバレています(-_-;)。

 以上のことをふまえて考えますと、星稜の林監督は、自チームのサイン盗みについては積極的に奨励するいっぽうで、相手方のサイン盗みには一切の有効な対策を立てられず、昨秋の神宮大会を制した優秀な選手たちをみすみす敗戦に導いてしまった。しかも相手は公立校(;^ω^)。そのカッコ悪さと、敗戦の責任逃れを、相手のチームに文句を垂れることで解消しようとした…という、どうしようもない人間性しか浮かび上がってきません。
 先述の検証サイトの意見の中に「サインミスとかサインが変わった程度で動揺するならこの先行ったところで勝てないやろ」「正直サイン盗みとか以前の段階やった気がするんやけど エラーとか」という意見が書かれていましたが、ワタクシも全く同じ意見です。

 弊ブログでははっきり申し上げますが、この林という頭も性格も激悪な監督が率いている限り、いくら全国屈指の名投手を抱えている星稜でも、全国優勝はありえないでしょう。下手をすれば、星稜以外のチームが実力をしっかりつけていている現在、石川県内で勝つことすら難しくなることは必至です。
 弊ブログから衷心をこめてこの言葉をお送りします。「バカな指揮官、敵より怖い」

「奇襲」と「一撃必殺」の奇妙な関連性?

2019-03-25 19:15:15 | 格闘技のお話
なんだか結びつきがあるようなないようなタイトルですが…まあ、落語の三題噺みたいなものと思ってお付き合いくださいませm(__)m。

 世に一撃必殺を標榜する流派、またはそれを目指す個人は多数いるでしょう(;^ω^)。なぜならば武道・格闘技のみならず、ケンカや護身術系なども、煎じ詰めればすべては「一撃必殺」という高みを目指し、それに行きつくことを求める性質のものだからです。

 話は変わりまして、ごく最近、普通の戦争・戦闘で用いる部類の「戦術」のお勉強を開始したワタクシ。何気なく関連本を読んでおりますと、ふと奇妙なことに気づきました。
「世にいう一撃必殺を謳う技とは、戦術の9原則に言う『奇襲』ではないか???」

 戦術の9原則とは、目標・攻勢・集中・兵力の節用・機動・指揮の統一・警戒・奇襲・簡明ですね。え、とっくに知っている!それは失礼しましたm(__)m。
 そのうち「奇襲」の定義と、それを構成する要件はこんな感じになりますかね。
①奇襲とは、敵が全く想定していない時宜・手法・場所等によって攻勢を取り、敵の「警戒」(=戦闘力を防護・保持すること)を打ち破ること。
②奇襲をを成功させるには、作戦の保全・作戦の進行速度・非対称能力(我にあって彼にない能力)が求められる。
③奇襲には相手を一時的に驚かせ、我の戦闘力を一時的に増幅する効果があるが、永続はしない。

 上記を念頭に置いて考えてみれば、細かいシチュエーション談義はさておき、世に「一撃必殺」と呼ばれる技のうち95.0%くらいは「奇襲」に該当するものとなるでしょう。
 競技格闘技であれば「作戦の保全」による「非対称能力」の発揮によって、ケンカ師の場合であれば「想定外の時宜と場所」における「作戦の進行速度」によって、いわゆる「一撃必殺」が実現すると考えるのは、あながち的外れではないでしょう。

 でもそれはウラを返せば、相手がどんなに高いレベルの「警戒」をしていようと、それを易々と打ち破るだけの「一撃必殺」というのは、なかなか実現しないという厳しい現実を裏付ける訳であり…(;^_^A
 相手が何をしようと消し飛ばす「一撃必殺」を実現するためには、上記③に掲げた「一時的な戦力増幅効果」を永続的なものにするための方策に取り組み、確実にモノにする必要があるわけですから、その達成は極めて困難なのは当然でしょう。
 真の一撃必殺をものにした稀有な名人として、中村日出夫・拳道会総師(1913~2013)がおられますが、数々の文献で読んだ総師の壮絶極まる稽古の数々、そしてその結果会得した掛け値なしの殺人空手は、絶対にマネできない自信がありますよ(;^ω^)。

 余談ですが、漫画「バキ」シリーズの登場人物は、笑っちゃうくらいのチートな「一撃必殺」を繰り出し続けていますよね(;^_^A。
 一撃必殺にはロマンがあるけど…そのほとんどは「奇襲」であり、何物をも凌駕して消し飛ばす一撃必殺はなかなか存在しない…だからこそ人は「奇襲」に依らない一撃必殺にあこがれ、そしてそれを存分に見せてくれるからこそ、「バキ」は人気が全く落ちない…んでしょうね(;^ω^)。

 余談ですが、ワタクシの打撃系格闘技への取り組みは…修行の早い段階で「一撃必殺」を求めることは放擲しました(;^ω^)。あるときから「相手の嫌がることを早期に読み取ってそれを繰り返す」という、大変陰険なファイトスタイルを確立し、現在に至っておりますm(__)m。

緊急寄稿・その男、「総裁」の孫…

2019-03-08 08:47:44 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 先月末、格闘業界に衝撃のニュースが走りました。以下引用。

「空手家大山倍達氏の孫逮捕 車内で大麻所持した疑い(2月27日付共同通信)
 警視庁新宿署は27日までに、乗用車内で乾燥大麻を所持したとして、大麻取締法違反(共同所持)の疑いで、住所、職業不詳大山照羅(あきら)容疑者(21)ら男3人を現行犯逮捕した。新宿署によると、同容疑者は「極真空手」を創始した故大山倍達氏の孫。
 大山容疑者の逮捕容疑は共謀し、26日午前2時35分ごろ、新宿区の路上で、大麻を所持した疑い。容疑を否認している。
 パトロール中の警察官が、乗用車で走行していた大山容疑者らの様子を不審に思い職務質問。車内を調べたところ、運転席付近から大麻とみられる植物片約5グラムなどを発見した。尿検査で陽性反応が出たという。」
 大山容疑者はこの事件をさかのぼる1か月前の今年1月、シャブの使用で有罪(懲役1年6か月、執行猶予3年)を食らっていましたので、めでたく実刑が確定したようです(-_-;)。

 大山容疑者は上の記事にもありますように、大山総裁の孫であり、極真会館宗家本部・大山喜久子代表(総裁の三女)の息子らしいのですが、今回の大麻以外にも、先ほど申し上げたシャブの所持・使用(14歳で使い始めたそうです(;゚Д゚))やDVなどで中等少年院送りになっていたという、なかなか将来有望な?ドラ息子だったようです。
 最近は「MAS OYAMA COIN(マス大山コイン。通称マスコイン)」なる仮想通貨事業の最高統括責任者に座っていたそうですが、「極真」のカンバンのおかげで(一説によると)億を軽く超える出資金を集めたにもかかわらず、昨夏「資金不足で活用不可」との謎の理由で事業は頓挫したまま。その理由は一説によれば「大山容疑者による資金の使い込み」と言われていますが、真相は不明です。

 …ちなみに本稿を書くにあたって、マスコインのホームページを見てみましたが、大山容疑者によるとその設立趣旨は「国外の支部に対する送金の煩雑」さを解決しつつ、「日々稽古を頑張っている選手たちに大会での優勝の際等に賞金としてMASコインを渡す」「各格闘団体(K-1・UFC・MMAなど)との提携をしてチケットを買う際や、選手の賞金、グッズの購買などで利用できるようにする」ため、とありました。
 で、同HPの大山容疑者のコメントの中で、最も笑ったのが以下の個所。
「私が最も力を注力していくつもりなのが、非行少年の更生と青少年の育成に対するMASコインの導入です。MASコインを利用して、誰もが青少年の育成及び非行少年の更生に対して応援できる環境づくりをしていきたい」
 …全身これ「非行」のカタマリみたいな大山容疑者が言うセリフじゃないような気が…(-_-;)(-_-;)(-_-;)。
 なお、同HPは昨年10月7日の「プレセール終了」で更新が止まっています。

 ・・・シャブにDVに大麻にといった豪華な(;^ω^)犯歴については、あくまで大山照羅という個人の資質ということで片づければいいのかもしれませんが、「マスコイン」の件にに関しては、もし大山容疑者の使い込みが本当であれば、「極真会館」というカンバンを信じ、あるいは「マス大山」の名を信じて出資した出資者(当然、お弟子さんもたくさんおられることでしょう)に対する驚くべき裏切りであり、申し開きのできない悪行です。

 これから大山容疑者がどのように罪を償っていくのかはけだし見ものですが、泉下の大山総裁は不肖の孫の悪行をどんな気持ちで眺めているのか、その心中(死んでますけど(;^ω^))は察するに余りあるものがあります。

(※ 本文中、大山総裁及び極真会館宗家本部等の名称が出ておりますが、誹謗中傷の意図は全くなく、その点誤解なきようお願いいたします)

 

前回の「サバキ、ふしぎ発見!」のおまけ・「間合いを制する」お話

2019-03-06 17:29:08 | 格闘技のお話
 前回掲載の「サバキ、ふしぎ発見!」においてワタクシ、いわゆる“実戦”に供する目的をもって生まれた格闘技について、「相手の攻撃と応力を的確にコントロールし、自分の攻撃を確実かつ効率的に当てていく確かな技術を持っていないと、自信をもって『近寄れ!』と教えることはできない」「その技術を持たない自称“実戦格闘技”は、『間合い』という言葉をおためごかしに使う」というお話をさせていただきました。
 自分で読み返してちょっと説明が不足していたと思いましたので、今回はこの「間合い」と、それを悪用するワルイヤツについてお話ししようと思います。

 まず、「間合いには2種類ある」ということに関するお話を。
 武道・格闘技の中にあって「攻撃が当たった、当たらない」ということが死命を決する競技(剣道、なぎなた、フェンシング、銃剣道、伝統派空手、テコンドーなど)において何よりも大切なのは「間合いを制する」こと。
 試合場の広さ、自分のリーチ、相手のリーチ、自分の当てたい技、相手が当てようとする技を総合的に見極め、「自分の間合い」を的確に取ることができた方が勝ちを得るというのは、改めて申すまでもないことです。
 ただ、上記の競技のなかでいう「間合い」とは、あくまで把持した用具、あるいは自分の拳足が届くギリギリくらいの「遠間」の話であり、完全制圧に必要な「近間」の技術は競技化のためあえて省かれています。
 試合用のテクニックはルールを限定することで発達する性質がありますから、間合いを「遠間」のみに限定することで、バラエティ豊富なモダンテクニックが生み出されますし、また、そうしたテクニックを易々と使いこなす各競技の選手の皆様は本当にすごいと思います。

 ところが、「遠間」で当てるテクニックを競う競技ではなく、実戦等において「完全制圧」までを目指す場合、事情が変わってきます。
 実戦等において完全制圧を目指す場合、「遠間」を制するテクニックだけでは完全に片手落ちであり、それ以外にも相手と密着する「近間」を制するテクニックがないと話にならん、というのは論を俟たないことですが…世の中にはこれがわかっていないヤツが本当に多い!!!!!!!
 そうした意味でワタクシが常々「なんじゃこりゃ???」思っているのが、「遠間」競技しかしたことがないヤツが語る空虚な実戦論と、遠間はもちろん、近間を制するために有効な何等のテクも持たない阿呆が作った自称「実戦テクニック」。特に後者については「詐欺」「犯罪」のレッテル貼りをしていいくらい悪質です。

 ちなみに後者を見極めるのは非常に簡単。教えているヤツに「間合い」についての見解を訊けばいいのです。
 きちんとしたソフトがあるところなら、瞬時に遠間と近間の具体的な定義を語ることができ、近接した際に有効に相手を制する技術を開示できるはず。それができない、あるいは常人には理解不能な言葉でゴマかすのはニセモノと断じていいでしょう。
 
 ちなみにそんな「偽物」の典型である、うちの会社のタイーフォ術(;^ω^)マニュアルから「間合い」に関する記載を拾ってきました。少々長くなりますが、読んでみて頂けますでしょうか…m(__)m
「『間合い』については『自己は相手に近く、相手は自分より遠くなるように間合いを取れ』といわれている。このことは、自己から攻撃し易く、相手からは攻撃しにくい間合いをとるということである。自己の間合いをとっておればおのずから気力が充実し、先占して相手に立ち向かうことができ、相手を攻撃し易く感じる」(原文ママ)
 
 うちの会社の教科書は、よそのタイーフォ術教科書と、合気会合気道の入門書を切り貼りして作ったものと仄聞するのですが…これぞワタクシが先ほどお話しした「近間を制する何等のテクも持たない阿呆が作った自称実戦格闘」のモデルと呼んで差し支えないでしょう。
 まず、「自己は相手に近く、相手は自己から遠く」なんて禅問答みたいな記載は教科書には要らない!「間合い」を測ることができるようになる具体的な手法や理論を明らかにしないものは教科書じゃない!しかも「いい間合いを取れたら気力が充実する」って一体何じゃ?エスパー伊東か?間合いを取って気力が充実するんなら、稽古せんでもええわい!

 ふつうの生活を送る善男善女の皆様は、「近間を制する格闘技」なんて、習う必要はないと思います。ただワタクシは個人的な事情で、どうしても近間を制する実戦的な技能を模索し、習得しないといけない立場にあります。そのためゼニにもならないのに、参考文献を漁り、練習し…てな取り組みを続けております。
 それだけに上掲のような、自分の馬鹿さや不勉強さを、一見してわからないトンチンカンな「間合い」論の中に隠し、平然としているヤツは本当に許せません。
 しかし、国内には神秘系・合気道系を中心に、未だそうしたおためごかしで固めた役に立たない「自称・実戦」を標榜するインチキ野郎がたくさんおり、それが「ラクして強くなりたい」という人の心の隙を衝き続けています。

 弊ブログをお読みの賢明な皆様は、こうしたカラクリには当然お気づきのこととは思いますが、本当にご用心…です。
 

「正しいこと」は「よりよいこと」ではない!

2019-03-04 22:04:51 | 集成・兵隊芸白兵雑記
 ネットに「不謹慎厨」なる言葉があります。
 震災や大事故などが起き、社会が沈滞ムードにある時期に、個人的に行楽や飲食などを楽しんでいるSNS記事を発見するや否や、投稿した人の個人事情を一切斟酌することなく「今、そんなことをしていていいのか!」などと狂犬のように噛みつく輩をこう呼ぶそうです。
 この不謹慎厨などのように、世の中には、表立って反論することの難しい「正しいこと」を隠れ蓑にして、実は歪んだ正義感に酔っぱらっているだけ…というキモチワルイ連中がそこかしこに存在しています。
 ただ、「表立って反論することの難しい『正しいこと』を振りかざし、世に混乱を巻き起こす」という現象は時代の古今、洋の東西を問わずどこでも行われてきたことであり、不謹慎厨だけが特別なのではなく、いつの時代にもそういうアホが一定数は存在する…という理解をしております。

 古の「不謹慎厨」が起こした事件は多々ありますが、一つの例を挙げますと、フランス革命。
 当初は単なる百姓一揆みたいなものでしたが、一揆の指導者が鳩首し、共和制を目指し始めたころから、各派閥の「正論競争」が激化。崇高な理念を掲げて始まった共和制は、あっという間に身内同士で罪をなすり合い、殺しあうという処刑&虐殺ショーに変貌しました。
 何しろ、この虐殺ショーの最中には「1年が365日なのはキリが悪いから360日にすべきだ」とか、「1週間が7日なのはキリが悪いから10日にすべきだ」とか、「時計が12進法なのはキリが悪いから10進法すべきだ」、極めつけは「猫は金持ちの象徴で、共和制にそぐわないので殺すべきだ」といったトンデモな「正しいこと」が渦巻き、反対する者は「正しいことがわからない不逞の輩」として、次々に虐殺の対象となってしまいました。恐ろしいことに首都のパリのみならず、地方都市にも「正論の押し付け合い」による虐殺ショーは波及。フランス全土は、「触れてはいけない正論」と、それを押し付ける人間による殺戮の巷と化しました。
 この混乱によりフランスは当然国家が弱体化、ありとあらゆる隣国に領土を蹂躙されそうな危機に瀕します。幸いナポレオンが台頭したことで難を免れましたが、その後も戦争と混乱は続いた…というのは、歴史好きなら誰でも知っているところでしょう。
 このほかにも、「労働者のみが社会の主役であり、唯一の生産を生む。これが実現すれば平等な社会になる」と標榜し、この世の地獄を現出させた共産主義も「正しいこと」だけを先行させた末路と言っていいですし、中世ヨーロッパの異端尋問なんかもこの仲間に入れて差し支えないでしょう。
 そして昨今、身近に存在する悪質な「正しいこと」といえば「男女同権」。身体構造も違えば持てる力やものの考え方も全く違う男女を、むりくり同じ職場に放り込む。もともとが男の力や思考パターンでないとできない仕事に女を放り込むから、仕事の効率はダダ下がり。しかし「男女平等は社会にとって正しいことだ」という錦の御旗だけがまかりとおり、男社会に女が紛れ込んできた職場では、のきなみ被害を被っています(わが社もそうです(-_-;))。

 これまで見てきた事例から読み解きますと、上っ面だけの「正しいこと」は、いい目を見たい、敵を追い落としたい、人の手柄を横取りしたい、自分の無能を隠したいといった邪悪な考えを持つ人間の隠れ蓑に、即座に変質していることがわかると思います。
 他人より早く「正しいこと」をぶち上げることで、自分は他を出し抜いて、どこからも攻撃できない高みに登ることができ、逆らう者は「正しいことに逆らう不埒者」として追い落とすことも、非難することもすべてが意のままになる…しかも非難している方は「正しいこと」を背に、嵩(かさ)にかかっての攻めですから、良心の呵責も、手心もない。異論は一切受け付けなくていい。弱くてダメな人間ほど、この誘惑にあっという間に落ちてしまうものです。
 いつの世でも、クソの役にも立たない「正しいこと」が跋扈する機序は、こんなところでしょうか。

 近年は社会規範がより厳しく求められ、デジタルな世の中になったせいで「正しいこと」は手放しで賞賛され、そうでないものは糾弾されやすい状況にあります。溢れる情報や厳しい社会規範に身を任せることで、自ら「これは状況に照合していいことなのか、悪いことなのか」というケーススタディを止め、思考停止に陥った人もたくさんいます。
 しかし世の中は善悪の2つだけではなく、その間に介在する多くのグレーゾーンで成り立っています。「正しいこと」だけを先鋭化し、グレーの部分がなくなった社会の末路は先に掲げた通り。行きつく先は糾弾と裏切りと虐殺が日常化する、いにしえの共産主義国家か、異端尋問か魔女裁判ですよ(-_-;)。
 弊ブログをお読みの諸賢にあらせられましては、安直な「正しいこと」に飛びついて思考を停止させることなく、常に「よりよいこと」を考え求める姿勢を堅持していただきますよう、伏してお願い申し上げます。
 これは現在、職場で悪質な「正しいこと」と戦っている(所詮は蟷螂の斧ですが…)ワタクシの、ゲロが出そうなほどの叫びでもございます。