最近は武道論や実戦に関するお話し、サバキに関するお話しなどをしておりましたので、今回はひさびさにグラップリングのお話を致します。
弊ブログはサバキ関連の記事を定期的(…とはいえないほど、更新頻度は悪いですが、それはそれとしまして(;^ω^))にお届けさせてもらっている関係上、閲覧者は打撃系格闘技の関係者が多いと認識しておりますが、実は私、どっちかというとグラップリングのほうが肌合いがよかったりしまして(;^_^A。
それはともかく、グラップリングのお話をさせていただきます。
平成10年代なかば、総合を中心に盛況を窮めた組技系格闘技ですが、現在はどうなっているかと言いますと、完全にBJJの一人勝ち、といった状況です。
以前も弊ブログでお話ししましたが、今一度、BJJが一人勝ちした理由についてお話しいたしますと、
① 立ち技(投げや崩し)のポイント設定が低く、原則寝技に始まって寝技に終わるため、入門して間もない初心者でもそれなりに「寝技試合の形になっている」程度には動けるため、入門当初からいきなり自己肯定感があふれてくる。
② ①に付随し、立ち技がないため場所のコスパが良い。柔道場が1面あれば、最大4組くらいはスパーができる。また、同根の理由からケガが少ない。
③ 「抑え込み」にポイントが付与されないルールであるため、体重があること=有利とはならず、従って小さな人でも大きな人に伍してかなりの時間塩漬け(上から抑え込みなどによりコントロールされ、何もさせてもらえないこと)にされずにムーブすることができるため、かなりの達成感がある。
④ 試合・大会は「帯の色」「年齢」「体重」の3つで細かく区分けされるため、小さな大会ならかなりの高確率で入賞できる。達成感抜群。
⑤ 明確な上部統括組織を持たず、昇級は「黒帯を持っている師匠が認めたら、すぐ昇級」という態であり、原則昇級にかかる費用は不要。月謝も他格闘技に比べて格段に安く、サイフにやさしい。
といったところでしょうか。
なるほど、こうして見てみるとけっこうなことづくめであり、様々な格闘技が会員減少にあえいでいるいっぽうで、BJJだけが着実に地歩を固めていること、とりわけ女性会員が増えていること(←「女性会員が多い、少ない」というのは、その格闘技の繁栄を計る、本当に大きなバロメーターです!)が、その繁栄の証左となっております。
現在BJJは「グラップリングをやる人の共通言語」の域にまで達しており、語弊を懼れずに言えば「BJJをやらない者、グラップリングをする者に非ず」的な風潮まであります。
しかし…です。世の中に「いいことづくめ」ということは存在しません。
BJJが「グラップラーの共通言語」になるのと歩を一にして、BJJでは重視されない技術がどんどん劣化、衰退し、忘却の彼方へと消えています。
それは何かといいますと「立って制するグラップリング」と、「抑え込みの技術」です。
先ほども言いましたが、BJJでは立位の投げ・崩しに全く重きを置きません。柔道では完璧な一本になるほどの投げても、尻もちを付かせる程度の崩しでも等しく2ポイントしか稼げないので、立ち技をやる必要がないからです。
また、抑え込みに関しては先ほど③に書いた通り、全くポイントにならないどころか、抑え込んだまま動かなかったら逆に注意を受けるので、やる意味がない。なので当然練習なんかしません。
まあ、「BJJに生き、BJJに死す」という覚悟を持つ方なら、そんなものはやる必要もないから別にいいのですが…この弊害は意外なところに出ています。
「月刊秘伝」の記載内容をうのみにする人や、増田俊也(ご存知「木村政彦は…」の作者。「木村」は面白いが、この人の雑文はあまり読む価値がない)の主張を奉じている人なら、「寝てばかりでは実戦性がウンヌンカンヌン」などと言うのでしょうが、ワタクシはそんなもんどうでもよくて(;^ω^)、もっと他のことに注目しています。
国内にある多数の「総合格闘技・グラップリングジム」は、そのほとんどがBJJ部門を併設しており、所属選手は十中八九、「総合の部」と「BJJの部」を掛け持ちしています。
こういった形式を取るジムや道場では「技を開発する、習得する」ことをBJJ部門が、「スパーや打ち込みなど、試合対応」ことを総合部門が担当しています。なぜならば「総合」とは単なる試合のいち形態であり、「総合」というもの自体には、独自の技術体系が何一つ存在しないからです。
で、そういう形態で練習を重ねると…今までお話しした通り。「立ち技が極めてショボく、トップを保持する能力のない選手」のいっちょ上がり!になるわけです(-_-;)。
以上の理由により、総合やノーギのグラップリングにおけるテイクダウンの技術や、トップを取る技術はかなり劣化しており、試合を見ても本当につまんない…楽しいのは試合をやってる当事者だけ…ということが続いています。いや、年々ひどくなっているかもしれません。
すべての原因がそこだ!と断定することはできませんが、日本伝武道・BJJ以外の新興格闘技の人口が確実に減少していることは、今お話しした「グラップリング技術の完全BJJ化」によってビジュアルに訴える魅力が減退したことに、その一因があるように思われてなりません。
ワタクシは別に本稿において、BJJ批判をしたいわけではありません。その点は冒頭部分を読んで頂ければわかると思います。その点だけは決して誤解なきようお願いします。
あくまで個人的な見解として、ワタクシは立位の技術、トップを取る技術がない組技格闘技に全く興味がわかない、というだけの話です。
ちなみにワタクシ、BJJは本当に、「お付き合い」程度にはやりますが、これを窮めようと思ったことは一度もありません。
自分の「組技」の本流はあくまで、格闘技吉田道場で稽古をつけてもらったアマレスとサンボにあると自任している、そんな周防平民珍山でございました。
弊ブログはサバキ関連の記事を定期的(…とはいえないほど、更新頻度は悪いですが、それはそれとしまして(;^ω^))にお届けさせてもらっている関係上、閲覧者は打撃系格闘技の関係者が多いと認識しておりますが、実は私、どっちかというとグラップリングのほうが肌合いがよかったりしまして(;^_^A。
それはともかく、グラップリングのお話をさせていただきます。
平成10年代なかば、総合を中心に盛況を窮めた組技系格闘技ですが、現在はどうなっているかと言いますと、完全にBJJの一人勝ち、といった状況です。
以前も弊ブログでお話ししましたが、今一度、BJJが一人勝ちした理由についてお話しいたしますと、
① 立ち技(投げや崩し)のポイント設定が低く、原則寝技に始まって寝技に終わるため、入門して間もない初心者でもそれなりに「寝技試合の形になっている」程度には動けるため、入門当初からいきなり自己肯定感があふれてくる。
② ①に付随し、立ち技がないため場所のコスパが良い。柔道場が1面あれば、最大4組くらいはスパーができる。また、同根の理由からケガが少ない。
③ 「抑え込み」にポイントが付与されないルールであるため、体重があること=有利とはならず、従って小さな人でも大きな人に伍してかなりの時間塩漬け(上から抑え込みなどによりコントロールされ、何もさせてもらえないこと)にされずにムーブすることができるため、かなりの達成感がある。
④ 試合・大会は「帯の色」「年齢」「体重」の3つで細かく区分けされるため、小さな大会ならかなりの高確率で入賞できる。達成感抜群。
⑤ 明確な上部統括組織を持たず、昇級は「黒帯を持っている師匠が認めたら、すぐ昇級」という態であり、原則昇級にかかる費用は不要。月謝も他格闘技に比べて格段に安く、サイフにやさしい。
といったところでしょうか。
なるほど、こうして見てみるとけっこうなことづくめであり、様々な格闘技が会員減少にあえいでいるいっぽうで、BJJだけが着実に地歩を固めていること、とりわけ女性会員が増えていること(←「女性会員が多い、少ない」というのは、その格闘技の繁栄を計る、本当に大きなバロメーターです!)が、その繁栄の証左となっております。
現在BJJは「グラップリングをやる人の共通言語」の域にまで達しており、語弊を懼れずに言えば「BJJをやらない者、グラップリングをする者に非ず」的な風潮まであります。
しかし…です。世の中に「いいことづくめ」ということは存在しません。
BJJが「グラップラーの共通言語」になるのと歩を一にして、BJJでは重視されない技術がどんどん劣化、衰退し、忘却の彼方へと消えています。
それは何かといいますと「立って制するグラップリング」と、「抑え込みの技術」です。
先ほども言いましたが、BJJでは立位の投げ・崩しに全く重きを置きません。柔道では完璧な一本になるほどの投げても、尻もちを付かせる程度の崩しでも等しく2ポイントしか稼げないので、立ち技をやる必要がないからです。
また、抑え込みに関しては先ほど③に書いた通り、全くポイントにならないどころか、抑え込んだまま動かなかったら逆に注意を受けるので、やる意味がない。なので当然練習なんかしません。
まあ、「BJJに生き、BJJに死す」という覚悟を持つ方なら、そんなものはやる必要もないから別にいいのですが…この弊害は意外なところに出ています。
「月刊秘伝」の記載内容をうのみにする人や、増田俊也(ご存知「木村政彦は…」の作者。「木村」は面白いが、この人の雑文はあまり読む価値がない)の主張を奉じている人なら、「寝てばかりでは実戦性がウンヌンカンヌン」などと言うのでしょうが、ワタクシはそんなもんどうでもよくて(;^ω^)、もっと他のことに注目しています。
国内にある多数の「総合格闘技・グラップリングジム」は、そのほとんどがBJJ部門を併設しており、所属選手は十中八九、「総合の部」と「BJJの部」を掛け持ちしています。
こういった形式を取るジムや道場では「技を開発する、習得する」ことをBJJ部門が、「スパーや打ち込みなど、試合対応」ことを総合部門が担当しています。なぜならば「総合」とは単なる試合のいち形態であり、「総合」というもの自体には、独自の技術体系が何一つ存在しないからです。
で、そういう形態で練習を重ねると…今までお話しした通り。「立ち技が極めてショボく、トップを保持する能力のない選手」のいっちょ上がり!になるわけです(-_-;)。
以上の理由により、総合やノーギのグラップリングにおけるテイクダウンの技術や、トップを取る技術はかなり劣化しており、試合を見ても本当につまんない…楽しいのは試合をやってる当事者だけ…ということが続いています。いや、年々ひどくなっているかもしれません。
すべての原因がそこだ!と断定することはできませんが、日本伝武道・BJJ以外の新興格闘技の人口が確実に減少していることは、今お話しした「グラップリング技術の完全BJJ化」によってビジュアルに訴える魅力が減退したことに、その一因があるように思われてなりません。
ワタクシは別に本稿において、BJJ批判をしたいわけではありません。その点は冒頭部分を読んで頂ければわかると思います。その点だけは決して誤解なきようお願いします。
あくまで個人的な見解として、ワタクシは立位の技術、トップを取る技術がない組技格闘技に全く興味がわかない、というだけの話です。
ちなみにワタクシ、BJJは本当に、「お付き合い」程度にはやりますが、これを窮めようと思ったことは一度もありません。
自分の「組技」の本流はあくまで、格闘技吉田道場で稽古をつけてもらったアマレスとサンボにあると自任している、そんな周防平民珍山でございました。