長々と野球の話を書いておりましたので、今回は短めの格闘技話です。
フルコンやキックなどでローキックを放つ際、「インパクトの瞬間には背足とスネが約90°を形成するように足首を返す」という技術。
これを初めてマニュアル化して人口に膾炙させたのは、かつて他流派の大会を独自のメゾットで席巻し「侵略者軍団」と呼ばれた昭和の正道会館であったと記憶しております。
発案者はおそらく…幾種類ものローのバリエーションを持っていた先代の芦原館長ではなかったのかと思いますが…詳細は不明です。それはともかく。
この「足首を返した蹴り」で、皆が知っている名人をひとり挙げろと言われますと…私としましては、K-1優勝3回を誇る、ピーター・アーツを一等に挙げたいですね。
同じオランダ勢のアーネスト・ホーストもこの「足首を返した蹴り」が普通にできていましたが、ホーストは多彩なコーディネーションがあり、蹴りだけに頼っていたわけではなかった。しかしアーツはどうひいき目に見ても、相手に効く攻撃は右のローとハイくらい。とくにフィニッシュは右ハイしかなかったといっても過言ではありません。
アーツが偉いのは、それが分かったうえで、相手が逃げられないコーディネーションを考えていたこと。
左足前、オーソドックススタイルのアーツのパンチは全くKOを狙っておらず、悪い言い方をすれば、ただ押すか、距離をはかっているだけ。これで下がるヤツには右の大振りのフックを出すふり(当てない。相手の意識を右フックに集中させ、本命の右ハイを隠すブラフ)をして右のハイをバカン!パンチが効く相手はパンチを出すふりをして自分の右サイドに相手をサバきつつバカン!距離を取る相手には左の引かないジャブを出して距離を測り、下がりながらバカン!全くすごいもんです。
また、アーツの得意とした左足前オーソドックススタイルにおいて、KOに至る蹴りは左ハイであることが多く、右でKOを取れることはまずない。これを使いこなしていたあたりにアーツの天才性がありますし、また、「足首を返す」が余程しっかりできていたものと思われます。
その証拠に、普通、蹴りを食らってKOされる選手は膝からクタクタ、と倒れるところ、アーツの蹴りをくらった選手は胴体ごとなぎ倒されており、「足首を返す」の有効性がよくわかります。
さて、組技のほうに目を転じて、「足首を返す」に最も早く着目し、有効に使用していたのは、私の知る限り「鬼の柔道」木村政彦先生。
今から10年くらい前、格闘技DVDの老舗クエストからリリースされた「木村政彦 鬼の柔道」、そしてごく最近復刊された「木村政彦 柔道の技」(イーストプレス)の双方に、普通の柔道教室などでは絶対!!!!に教えてくれない、足首を返した大外が登場しております(強豪柔道部などではひっそりと教えているかもしれませんが、私が多数の柔道教本などを確認する限り、木村式の大外を見たことがありません)。
これについては、クエスト及びイーストプレスの商売のジャマをしてはいけないので詳解を控えますが、本当に威力あり!!!!です。
足首を返すことによってまず生まれるのは、まず前脛骨筋の緊張。その次の利点として、前脛骨筋の緊張は、スネの部分から背筋までを、いわゆる「繋ぐ」効果があります。実は空手の型にもそれを狙った効果があって…という話をすると、話が横道にそれちゃいますので今日は控えますが(;^ω^)、まあ、そうした効果があるわけですね。
その結果、蹴りにせよ柔道の足刈技にせよ、ヒットポイントに自分の体重を大きく乗せることができるという効果が生まれる、ということとなります。
…とこんな話をすると、「そうか、じゃあローは全て足首を返せばいいんだ!」「大外なんでもかんでも、足首を返せばいいんだ!」と考える、20代のワタクシのような単細胞な方が出てくることが懸念されますが…これらは全て、技を極めるまでのコーディネーションが完成していて初めて奏功するものである、ということをお忘れなきようお願い致します。
また、足首を返すことは、それまでの動きに余計なワンモーションを加えることにもなりますので、技に落とし込む場合や、試合やスパーでの使用を考慮される場合は、しっかり反復練習をされることをオススメ致します。
最後の蛇足としまして、本稿の内容をさらに深く知りたいという方におかれましては、「カラテ不滅の倒しテク 空手黄金時代を駆け抜けた小兵が語るワザと半生」(玉城厚志著、フル・コム)、「木村政彦 柔道の技」(木村政彦著、イースト・プレス)の購読をオススメ申し上げますm(__)m。
フルコンやキックなどでローキックを放つ際、「インパクトの瞬間には背足とスネが約90°を形成するように足首を返す」という技術。
これを初めてマニュアル化して人口に膾炙させたのは、かつて他流派の大会を独自のメゾットで席巻し「侵略者軍団」と呼ばれた昭和の正道会館であったと記憶しております。
発案者はおそらく…幾種類ものローのバリエーションを持っていた先代の芦原館長ではなかったのかと思いますが…詳細は不明です。それはともかく。
この「足首を返した蹴り」で、皆が知っている名人をひとり挙げろと言われますと…私としましては、K-1優勝3回を誇る、ピーター・アーツを一等に挙げたいですね。
同じオランダ勢のアーネスト・ホーストもこの「足首を返した蹴り」が普通にできていましたが、ホーストは多彩なコーディネーションがあり、蹴りだけに頼っていたわけではなかった。しかしアーツはどうひいき目に見ても、相手に効く攻撃は右のローとハイくらい。とくにフィニッシュは右ハイしかなかったといっても過言ではありません。
アーツが偉いのは、それが分かったうえで、相手が逃げられないコーディネーションを考えていたこと。
左足前、オーソドックススタイルのアーツのパンチは全くKOを狙っておらず、悪い言い方をすれば、ただ押すか、距離をはかっているだけ。これで下がるヤツには右の大振りのフックを出すふり(当てない。相手の意識を右フックに集中させ、本命の右ハイを隠すブラフ)をして右のハイをバカン!パンチが効く相手はパンチを出すふりをして自分の右サイドに相手をサバきつつバカン!距離を取る相手には左の引かないジャブを出して距離を測り、下がりながらバカン!全くすごいもんです。
また、アーツの得意とした左足前オーソドックススタイルにおいて、KOに至る蹴りは左ハイであることが多く、右でKOを取れることはまずない。これを使いこなしていたあたりにアーツの天才性がありますし、また、「足首を返す」が余程しっかりできていたものと思われます。
その証拠に、普通、蹴りを食らってKOされる選手は膝からクタクタ、と倒れるところ、アーツの蹴りをくらった選手は胴体ごとなぎ倒されており、「足首を返す」の有効性がよくわかります。
さて、組技のほうに目を転じて、「足首を返す」に最も早く着目し、有効に使用していたのは、私の知る限り「鬼の柔道」木村政彦先生。
今から10年くらい前、格闘技DVDの老舗クエストからリリースされた「木村政彦 鬼の柔道」、そしてごく最近復刊された「木村政彦 柔道の技」(イーストプレス)の双方に、普通の柔道教室などでは絶対!!!!に教えてくれない、足首を返した大外が登場しております(強豪柔道部などではひっそりと教えているかもしれませんが、私が多数の柔道教本などを確認する限り、木村式の大外を見たことがありません)。
これについては、クエスト及びイーストプレスの商売のジャマをしてはいけないので詳解を控えますが、本当に威力あり!!!!です。
足首を返すことによってまず生まれるのは、まず前脛骨筋の緊張。その次の利点として、前脛骨筋の緊張は、スネの部分から背筋までを、いわゆる「繋ぐ」効果があります。実は空手の型にもそれを狙った効果があって…という話をすると、話が横道にそれちゃいますので今日は控えますが(;^ω^)、まあ、そうした効果があるわけですね。
その結果、蹴りにせよ柔道の足刈技にせよ、ヒットポイントに自分の体重を大きく乗せることができるという効果が生まれる、ということとなります。
…とこんな話をすると、「そうか、じゃあローは全て足首を返せばいいんだ!」「大外なんでもかんでも、足首を返せばいいんだ!」と考える、20代のワタクシのような単細胞な方が出てくることが懸念されますが…これらは全て、技を極めるまでのコーディネーションが完成していて初めて奏功するものである、ということをお忘れなきようお願い致します。
また、足首を返すことは、それまでの動きに余計なワンモーションを加えることにもなりますので、技に落とし込む場合や、試合やスパーでの使用を考慮される場合は、しっかり反復練習をされることをオススメ致します。
最後の蛇足としまして、本稿の内容をさらに深く知りたいという方におかれましては、「カラテ不滅の倒しテク 空手黄金時代を駆け抜けた小兵が語るワザと半生」(玉城厚志著、フル・コム)、「木村政彦 柔道の技」(木村政彦著、イースト・プレス)の購読をオススメ申し上げますm(__)m。