tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

法人企業景気予測調査、現実は厳しいが・・・

2019年12月12日 21時19分12秒 | 経営
法人企業景気予測調査、現実は厳しいが・・・
 法人企業統計季報の予測版とも言うべき標記調査が昨日発表になりました。ちょうど景気の変わり目の様な時ですので、大企業、中堅企業、中小企業の状況を見てみました。
 (大企業:資本金10億円以上、中堅企業同10億円未満-1億円、中小企業同1億円未満-5千万円以上)

 景況認識では大企業は今12月期、翌3月期は悪化、ですが、次の6月期は多少の回復を予測しています。
 しかし中堅企業、中小企業は来年6月期まで景況は下降との予測ですが、下降の幅は次第に小幅になるという見方です。長期の不振継続とは見ていないようです。

 収益についての予測は、これは年度単位の調査ですが、来年3月期決算は対前年度比ですべて減益予想です。

 一方雇用状況の予測は、これは4半期予測ですが、これは、来年6月期まで不足気味の基調が続くという予想で景気の落ち込みの影響はあまり感じられません。
 (DIで不足とする企業の割合が20%前後大きく、中堅・中小の方が不足意識は強い)

 次に設備投資についてみますと、これはかなり堅調で、同じく四半期調査、DIで来年6月期までずっと設備不足の認識の方が多くなっています。
 (DIで現状(12月期)不足が1ケタ台の%ですが、減少しながらもずっと不足)
 
 「設備投資のスタンス」を見ますと、設備投資の目的は大企業・中堅企業では、第1位 は「維持更新」、中小企業が「生産・販売能力の拡大」となっています。
 大企業では「省力化合理化」が2位、「生産販売能力の拡大」が3位です。
 中堅企業では、「製商品サービスの質的向上」が2位、「生産販売能力拡大」が3位で、中小企業では「維持更新」が2位、「製商品サービスの質的向上」が3位です。

 こう見て来ますと売上は減少、利益も落ち込み、なのに人手不足は続くというのが大方の予想であるのに関わらず、単純な「維持更新」が主目的で、「質的向上」は重要ですが、かつて企業の設備投資の主要目的であった「省力化合理化」がほとんど見られないのが不思議です。

 ここから見えてくる構図というのは、もう我慢の時期は終わった、今後は量的拡大と質的向上の路線を進むことを目指すという前向き路線という感じです。

 しかし現実はどうかというと、世界の到る所で政治が劣化し、不健全・非合理的な通商経済政策が主流となり、世界経済は減速、日本経済もその大波に揺れています。
 企業は常に攻防両用の備えでなければならないのでしょうが、資本コストはゼロ金利で安い、人件費は非正規雇用の多用で引き下げる(求人の大半は非正規雇用)といった状況を前提としているのではないでしょうか。

  研究開発費の低迷 教育訓練費の減少はすでにこのブログでも指摘しましたが、この所の高まった平均利益率は企業努力よりも円安によるところが大ではないでしょうか。

 韓国にも中国にも、もちろんアメリカにも負けない技術開発力それによる生産性向上の力と実績を持ち続けなければ、人間だけが資源の日本は「サステイナブル」ではないでしょう。  
 この調査からは、何となく高収益に油断する日本企業の影が見えるような気がして、余計な心配をしています。

今年の蛍:中間報告

2019年12月10日 23時36分44秒 | 環境
今年の蛍:中間報告
 我が家では蛍を育てていることを、折に触れて報告しています。

 今年は7月に、ゲンジボタルの幼虫の孵化の報告をし、10月には飼育している発泡スチロールの水槽にボーフラが湧くのでメダカに食べさせていることを報告しました。

 ヘイケの孵化の事は報告してありませんでしたが、ゲンジに1か月程度遅れてヘイケも数百匹程度の幼虫が生まれました。
 ところがその後、理由は解りませんが、ゲンジの生育は異常に悪く、数もどんどん減ってくるようなので、飼育をあきらめ、庭のU字溝に放流しました。
 そんなことで、来年のゲンジの羽化は望み薄です。

 ヘイケの方は、順調に大きくなっているので、先日、何匹くらい育っているか確認してみました。発泡スチロールの飼育槽に入れてある、アワビの貝殻や、餌にしたカワニナの殻を外に出して、幼虫を1匹ずつスポイトで吸い上げ、別の水槽に移します。

 根気のいる作業ですが、貝殻から出てくるのも待たなければならないので3日ほどかかりましたが、結果は251匹健在と分かりました。
 ただ1cm以上になっているものから5-6㎜のものまで大小いろいろです。

 そろそろ寒くなってエサも食べなくなり、アワビの貝殻の下に団子のようになって固まったりしています。

 多分、来年少し暖かくなると急激に食欲が出て体も大きくなるでしょうから、4月ごろにはU字溝に放流、5月ごろには周囲に上陸して土中でさなぎになり、6月から7月にかけて羽化という事が期待できそうです。

 しかし経験から言うと、かなり目減りしそうで、上陸するのが100、羽化が50か60になれば大成功かなと思っています。

 ゲンジの方は、また来春に種ボタルを仕入れ、U字溝に放流、上陸、羽化、採卵とやり直しをしようと思っています。

2019/7~9月GDP第2次速報を見る

2019年12月09日 21時18分25秒 | 経済
2019/7~9月GDP第2次速報を見る
 今日、内閣府から7-9月のGDP第2次速報が発表になりました。

 マスコミでは第1次速報では、実質成長率は対前期比で、0.1%でしたが、第二次速報では0.4%に修正され、年率換算では、0.2%から1.8%に大幅上方修正されたこと、修正された主因は、企業の設備投資が大幅に増えたことによるといった説明が多いようです。

 12月3日のブログで法人企業統計季報の7-9月の結果をベースに「 企業は何を目指すか」を書きました。その中でも企業の設備投資の急増を指摘しましたが、減速が予想された設備投資の急増は意外でした。

 今回の第2次速報は、これが反映されて、数字が変わったことはその通りですが、中身をよく見るとそれだけでもないようなので、注意喚起という意味で、少し詳しく見てみました。

 1つには、10月から消費税が上がったことがあります。駆け込み需要は健在だったことも指摘しましたが(11月13日)、この影響も統計に出てくる可能性も当然ありそうです。
 企業の設備投資に駆け込み需要(心理的に)があったかどうかは解りませんが、消費にあったとすれば統計数字に出てくるはずです。

 という事で現実の数字を見ますと、対前期実質成長率が0.1%から0.4%に0.3ポイント増えていますが、それに寄与しているのが、家計最終消費0.1ポイント、民間企業設備が0.2ポイントです(小数点以下2桁目の四捨五入の誤差があるようですが無視)。

 やはり消費支出も0.1ポイント上方修正に貢献しているようです。
この分が、消費税引き上げ後の10-12月期にどう出るか、3か月後に、消費増税と消費支出の関係が解るでしょう。
 実際には毎月の家計調査でその前に把握できます。

 設備投資の堅調も結構なことですが、更に望ましいのは、消費支出に安定した増加傾向が出ることだと思っていますが、今後に注目したいと思います。

2019年10月、消費増税の影響歴然ですが

2019年12月07日 16時28分39秒 | 経済
2019年10月、消費増税の影響歴然ですが
 昨12月6日、総務省統計局より10月分の家計調査の結果が発表になりました。例月の平均消費性向の検討をしながら消費動向を見てみましょう。

 大揉めだった軽減税率導入やキャッシュレスポイント還元など政府も対策を講じていますが、結局駆け込み需要も、その反動の消費落ち込みも防げなかったようです。
 もともと前後何か月かとればプラマイゼロになるものですから、そこまで消費者に気を遣うことはなかったと思うのですが、ポピュリズムがそうさせるのでしょうか。

 先月の家計調査の時、駆け込み需要は健在だったと書きましたが、10月には反動の落ち込みも健在だったようです。
 
 10月の2人以上の所帯の消費支出(名目値)は、279,671円で、進行中の調査方法の影響を除去した数値で前年同月比4.8%の落ち込みとなっています。
9月のこの数字は駆け込み需要で9.8%の増加でしたからその割に落ち込みは小さいのですが、落ち込みが来月も再来月も続くようなら問題はより深刻で、年末にかけて回復してしまうようであれば、消費は元気といえるのですが、さてこれからどうなるのでしょうか。

 ところで、家計調査で所帯の収入サイドの調査があるのは勤労者所帯だけですから、収入と消費支出の関係が見られるのは勤労者所帯だけで、このブログでは毎月2人以上勤労者所帯の「平均消費性向(消費支出/可処分所得)」を、消費意欲のメルクマールとしてチェックしているわけです。

 9月は勿論駆け込み需要で、平均消費性向は上がりました。先月報告しましたように、駆け込み需要は健在で、勤労者所帯の平均消費性向は、前年同月比7.5ポイントのプラスでした。

では10月の落ち込み具合はどうかといいますと、対前年同月比3.8ポイントのマイナスとなっていますから、10月だけ見れば、駆け込み需要の割に反動減は小さいという事になります。もちろん先行きを見なければ未だ解りませんが。

 家計調査は、現在、家計簿の様式変更が進行中で、その影響下にあり、数字はすべてその影響を調整したものとなっていますが、結果的には調整誤差の範囲が些か大きいように感じられ、影響のなくなる来年1月が待たれるところです

 そうした点はありますが、平均消費性向の推移から見ますと、この所何となく、日本人の消費行動が動いているような感じがしないでもありません。

 日本人のアリ型(キリギリス型の反対:勤倹貯蓄型)の性格に加えて、年金問題などで、将来不安を過度に刺激する論調が多いこと、政府も将来不安の風潮に対して、殆ど答えてくれていないこともありましょう。消費不振の様相は長期化しています。

 しかし、国民も、過度の貯蓄志向の進行で、些か節約疲れがあるのでしょうか。昨年12か月の内、平均消費性向が、前年同期比で下がった月が7だったのに対し、今年は10月の落ち込みを加えてまだ3です。
残り2か月が下がっても5ですから、少し消費不振の 様相も変わるのではと期待するところですが、楽観に過ぎるでしょうか。

2020春闘:連合、重点分野を確認

2019年12月06日 21時48分29秒 | 労働
2020春闘:連合、重点分野を確認
 去る12月3日、連合は中央委員会を開き、2020春闘の重点分野を確認しています。
 折しも世界経済は、米中摩擦などで混乱状態、中国経済の不振は日本経済も直撃、政府は26兆円の15か月予算で「アベノミクスの加速化」を図ると言っていますが、減速はとても避けられないようです。

 26兆円の政府の景気テコ入れ策については、災害復旧とオリンピック後に向けての政策を並べ、金額は巨大に見えますが、政府が出すのは13兆円ほど、一部赤字国債に頼らなければならないことは明らかで、財政不安の声も強いようです。

 そうした状況の下で、連合は、経済の下支えは内需拡大が不可欠とし、そのためにすべきことを、労働組合として可能な範囲で、整理しています。

 基本的には、従来からの主張である「サプライチェーン全体で生み出した価値の適正な配分」を基軸に、人を尊重する社会、生産を支えると同時に消費者でもあるすべての労働者の、「底上げ、底支え、格差是正」、働く事を軸にする安心社会の実現のために果敢に戦うとしています。

 これらは誠に筋の通った主張で、反論の余地もないものですが、現実には、ここ何年もこの主張を年々精緻に育てながら春闘を展開してきているにもかかわらず、格差社会化は進み、国民の安心、安全は気候変動や国際情勢、更には老後不安を中心に将来不安の中で、殆ど成果が上げられないという状況にあります。

 そうした中で、連合の、今年の具体的な賃金要求は、企業内最低賃金の締結なども含みながら、平均的には定期昇給プラスベースアップ(2%+2%=4%)といったことになるのではと思われますが、消費税増税も有之、労組の要求としては、最大限合理性に則った、いわばモデストな要求のように感じられます。

 長期不況の前、春闘華やかなりし頃は、組合要求はこれに+アルファが載り、経営側との論戦で、最後は獲得率○○%などという所で決着などという事だったように記憶しますが、今は、連合の要求自体が、ほぼ経済整合性に叶うような合理的な水準ですから、活発な論戦もあまり見られないようです。

 逆に、2%インフレを実現しないと財政再建も出来ない政府が、より高い賃上げを奨励するといった、きわめて奇妙なことになっている様相です。
 政府の言う通りの賃上げをしても、2%インフレでその分実質賃金は目減りするのですから、得をするのは膨大な借金そしている政府ということでしょう。

 連合の言う通り、内需不振は今の日本経済の最大の問題でしょうが、問題は色々あるように思います。
 まず第一は、日本経済の低成長、これは消費不振と「鶏と卵」の関係です、消費不振が治れば経済は活性化vs.経済成長が高まれば消費も増える、と説明されます。

 内需不振の最大の原因は消費不振ですから、それなら賃上げで消費を増やせばという事にもなるのですが、今の日本の家計は、賃金が上がれば、老後のために貯金するという意識が強すぎ、平均消費性向が下がりっぱなしのようです。
 
 つまり賃上げしてもその金は使われずに銀行預金になり、銀行はアメリカの証券を買って大損したり、国債を買って、政府の国民からの借金を容易にするといった結果のようです。

 考えてみれば、賃上げと同時に、「消費性向」を上げる方策が必要なのです。これは多分に政府の役割でしょう。老後2000万円の貯金が必要という審議会答申は受け取リ拒否しても、政府が年金を増やしますとは絶対に言いません。国民の不安は募るばかり。

 賃金の引き上げも大事ですが、家計がそれを消費に使う気にならないと内需拡大は画餅です。
 今年の春闘では、政労使で本気でこのあたりの議論をしたらどうでしょうか。

心から、中村哲氏の死を悼む

2019年12月04日 21時48分26秒 | 国際関係
心から、中村哲氏の死を悼む
 今日は、誠に痛ましい、心から残念に思う訃報が入ってきました。
 アフガニスタンで、中村哲さんの車が襲撃されたという報道です。最初は、運転手は死亡、「中村医師」は怪我ということで、ほっと一安心したのですが、夕方のニュースで、首都カブールの病院に搬送中に死亡という事でした。結果的には中村さんを含め6人死亡とのことです。

 あれ程までに、アフガニスタンの医療、灌漑、農業生産に尽力された方がなぜ? というのが最初の疑問でした。
 アフガニスタン政府は中村さんに名誉市民権を授与し、反政府勢力タリバンは、中村さんのアフガにスタンでの業績を評価し、尊敬していたはずです。中村さんご自身もも、タリバンを信頼していると述べておられます。

 報道によれば、最近、その地方ではISの活動が活発化しているとのことすが、警察が現在犯人を追っているとのことです。

 犯行を目撃した現地の人が、「犯人たちが、日本人はまだ生きている! と叫び、さらに3発撃った」と話しているTVの画面が映し出されていましたが、なぜ日本人が、なぜアフガニスタンに巨大な貢献をした中村さんが標的になったのか、まさに信じられない所です。

 犯人たちは、日本人も自分たちに仇なす敵だ、と思っていたと考えられる点では、一昨々年起きたバングラデシュの日本人商社マン襲撃と共通すものがあるように感じられるところです。

 日本人の多くは、日本は、世界の平和に貢献することをもって日本の国是であると考えていても、すでに、世界には、日本も我々に仇なす敵という認識が持ってしまっている人たちもいるということなのでしょうか。

 平和憲法を掲げる日本が、憲法が変わらないのに、他者から、こうして目で見られるようになっているとすれば、それでいいのかどうか、日本人全体が真剣に考えるべき問題ではないでしょうか。

<下記もご参照いただければ幸甚です>
https://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/ff2d7d0d05125eeb6a343a6b72596cc4
https://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/5b66e8a94f658bc33ddc9f77158a47c7

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 ここからは勝手な私見ですが、あえて書かせていただきます。
 ISのバグダディが殺害された時、泣いて「殺さないでくれ」と゚言ったと誇らしげに語るどこかの国の大統領もいました。その人にしてみれば、バグダディ殺害は自分の功績として、自らの人気が高まることを願っての事なのでしょう。
 しかし、いくら首領を殺してみても、多分テロ組織はなくならないのではないでしょうか。
 
 テロ組織をなくすためには、同じ地球上に共に住む人類社会が、テロ組織などを生み出さないような、世界の平和、生活の平穏を感じられるものにならなければならないのでしょう。

 日本としては、テロの指導者の殺害で事を済ますのではなく、テロ集団を生まないような人類社会をいかに作るかを最も大切に考え行動すする国であることを世界に標榜し行動で示す100年、200年先を目指した国になるよう努力するべきではないでしょうか。

 中村さんは、まさに、そうした理念を現実にするための努力を、アフガニスタンで、真剣に実行されたのでしょう。本当に残念なのは、そういう方が、そこまで徹底した意識も洞察力もない人たちが支配する社会の中で犠牲になってしまった、ということではないでしょうか。

 日本の政府として、また日本国民として、自らのあるべき姿を、写し見る鏡として、中村さんの生涯を本気で考える必要があるように思う所です。

減速はっきり、企業は何を目指すか

2019年12月03日 14時25分48秒 | 経営
減速はっきり、企業は何を目指すか
 法人企業統計季報の2019年7~9月期が昨日発表になりました。
 マスコミは、売上高が3年ぶりにマイナスだったこと、それに対して設備投資の方は増えていると(いずれも対前年同期比)を報道していました。

 米中関係から見ても、世界経済自体減速傾向で、日本経済も景気動向指数やGDP速報など見ても減速は明瞭です。政府は、赤字国債を出してでも景気テコ入れをすると言っているようですが、GDPの2年分もの赤字を積み上げて。財政再建の目処も立たない中では、かえって国民の不安感を刺激しそうです。

 そんな中で、昨年末以来減少基調だった企業の設備投資が増えたという事は、企業の何らかの意思を示しているように感じられ、企業がまだ頑張れるのは、大変結構なことですから、発表された法人企業統計の季報で、財務面からその辺りを見てみました。

 そんなわけで少し数字を見ていきますが、先ずマスコミ報道の通り、全産業の売上高は2.6%のマイナスで、これは前年の7-9月が6%の伸び、それが次第に3%程度になり膳-6月期には0.4%と下がり、今期に至ってマイナス(数字はすべて前年同期比)というこの所の景気減速を素直に示したものでしょう。

 ただし、製造業の方は前期すでにマイナス、非製造業の方が今季初めてマイナスと製造業の落ち込みが先行しています。 

一方企業の元気を支える収益の方を見てみますと、売上高経常利益率ですが、前4-6月期の6.7%がピークで、今期は5.0%に落ちています。
製造業は同7.7%から5.7%で、非製造業の方は、同じく6.3%から4.7%に落ちていて製造業の方が落ち込みが急の感じです。

 しかし過去の数字から見れば、経常利益率5%程度というのは、悪い数字ではなく好況時の数字といった感覚のものです。
 このところ、企業の自己資本比率が改善し、金融収支がプラスになっていることも効果を持っているようで、これが企業経営の下支えになっていることも考えられます。

こうしたことから、現状では、企業はまだ平均的には深刻な不況感という感じはおそらくもっていないのでしょう。
 さらにトランプさんの誤算で、アメリカも米中関係をあまり追い込めない状況にもあり、米中関係が軟化すれば、世界経済の状況改善も期待できるといった気持ちもあるのでしょうか。

 さらに世上言われるように、トランプさんはダウ平均を下げられない(下げたら致命傷)ので、ダウ平均はなかなか下がらない、日本では安倍さんも同じで、日経平均は何とか持たせたいという事でしょうから、当面株高という事情もありそうです。

 基本的には、日本企業はまだかなりの力を持っているという事で、この際技術力で先行しようといった意識はあるのであれば素晴らしいと思います。 
設備投資の対前年同期比での伸びの数字は、前期の1.9%の伸びから7.1%の伸びに跳ね上がり、これは過去1年間と比べても最も高い数字です。

 今期の7.1%の伸びは製造業6.4%、非製造業7.6%という事で製造業では情報通信機器、生産用機械が目立ち、非製造業では卸・小売りが目立つといった所のようです。

 内需不振を嘆く日本経済ですが、インバウンドも含め消費需要関連企業が動き出そうというのでしょうか。

 企業の元気さの要因は何となくわかるような気がしますが、国際環境も含めて、何とか、それなりの安定圏内で事を収めるような、主要国のリーダーの配慮を期待したいところです。

人間への投資の徹底投入を

2019年12月01日 23時23分58秒 | 教育
人間への投資の徹底投入を
 トランプ大統領の困った言動もあり、世界経済は不振の局面に動いてきています。
 しかし一方では地球社会は、本格的な対応が必要な大きな変わり目に入ってきているのではないでしょうか。

 地球環境の問題も、予想外に早いペースで人類社会に破壊的な影響を齎す様相です。パリ協定に背を向けるアメリカでも、ハリケーンの巨大化、干ばつによる山火事の異常発生などの現象が顕著です。

 もちろん日本の場合も台風の巨大化、発生頻度の著増で、国民の生命・財産の毀損が大きくなっています。

 同じようなことは、世界中で見られますがその対策であるエネルギー源の転換はいまだに遅々としています。
 エネルギー問題といえば、再生可能エネルギーの多様化、コストの削減、同時に、電力の在庫を可能にする(需給の時間的不一致問題の解消)蓄電技術の開発が喫緊の課題です。

 こうした問題解決には、学際的、業際的な多様の技術開発が急速に進展しなければなりません。

 そのためには、5Gに代表される通信手段の飛躍的向上、AIの質の向上、さらにAIに大量かつ質の高い正確な知識を教え込まなければなりません。
 これは、AI教育というべきものかもしれませんが、その前にこうした創造的な知的開発を行うのは誰でしょうか。

 それは言わずと知れた人間です。すべての源泉は人間の頭脳という事であってみれば、今本当に必要な最も大事なことは、人間教育、人材育成に徹底した投資を投入することではないでしょうか。

 こう考えてみますと、残念ながら現在の日本は、こうした面でも、過去に比べ、国際比較でみてもかなり遅れてしまっているようです。

 もちろんこの30年近くにわたる不況の結果、GDPの停滞、その結果としての、財政の貧困、企業の収益の低下、就職氷河期による人材開発の停滞などなど、政治、行政、企業行動、社会状況など、長期にわたっての停滞を見てしまっています。

 そして、今、経済が正常を見て数年たちますが、その後遺症に悩まされているというが実態ではないでしょうか。
 人間の能力は開発すべきもので、既存の人材を奪い合う事ではない、というのがかつての日本の基本的な考え方でした、しかし「即戦力」などという言葉が流行ってから、日本の人材への投資はかなり貧弱になって来たようです。

 人への投資から始めるなどというのは、時間がかかって今は流行らないのだといった考え方が一般的になったのでしょうか。
 日本には「コメ百俵」などという故事もありました。多分最後に勝つのは、人を育てた国、人を育てた企業という事ではないでしょうか。

 これは、結果的に人材の厚み、平均レベルの高さが違うことによるのだと思いますが、日本は今、何を選ぼうとして言うのでしょうか。