tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

家計分配率

2008年12月21日 11時20分29秒 | 労働
家計分配率
 家計分配率という言葉は、実をいうとありません。しかし一家 (単身から多人数家庭まで) の収入をどう分配するかといいう問題は、実は大変重要な問題ではないでしょうか。

 企業には 労働分配率という言葉あります。企業の生み出した付加価値 を労使間で「賃金と利益」にどう分配するかという比率です。この分配を誤ると、企業は衰退してしまうことが、経営の問題としては良く知られています。
 企業は、発展するために、新しい製品やサービスを開発したり販売拠点を整備したりしなければなりません。そのためには利益を上げ投資をしなければなりません。投資をしないでいると、製品もお店も古くなって、ジリ貧になり、倒産してしまいます。

 家庭ではどうでしょうか。貰ってきた給料を、全部生活費に使っていたら、多分進歩はないでしょう。本を買って勉強したり、通信教育を受けたり、結婚や持ち家のために貯金したり、子供がいれば、子供の学資のための貯金もしなければなりません。
 
 というわけで、収入のうち、いくらを「今日の生活費」に使い、何パーセントを「将来のための投資や貯蓄」に回すかというのが「家計分配率」だと考えるわけです。
 収入20万円の人で、全部生活費に使ってしまう人と、将来のために1万円貯蓄する人、2万円貯蓄する人、・・と考えて見ますと、貯蓄する人は、今日の生活は多少苦しいでしょう、しかし2年、3年たった時の生活の安定度を考えれば、貯蓄の多い人が勝ちです。貯蓄を使って中国語を学び(投資です)より良い仕事を探すことも可能になります。

 企業では生活費に相当するのは「賃金」、貯蓄に相当するのは「利益」ということになりますが、企業でも、家計でも、こうした分配は 「今日への分配」 と 「明日への分配」 をどう配分するかという問題です。

 このブログでも見ましたように、世界最大の自動車会社 GMには貯蓄がありません(債務超過)、したがって明日もありません。膨大な著作権収入を得ながら貯蓄がなく、詐欺行為に走る有名人もいます。誤った今日への分配が明日を失わせることになったのでしょうか。

 「現在と将来への分配の比率」は「分配のあり方が将来を決めていく」という、「企業にも、個人にも共通した」基本テーマを内蔵しています。

 この問題は、会社が何故倒産するのか、とか、派遣労働者の解雇が何故ホームレスに直結するのか、とか、年功的な賃金制度と職務給や成果主義賃金のどちらがいいか、などの問題にも関わる重要な意味を持っています。


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