tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

トランプ大統領は「日米貿易不均衡」を言いますが

2017年11月06日 13時44分45秒 | 国際経済
トランプ大統領は「日米貿易不均衡」を言いますが
 トランプ・安倍蜜月を見せつけているようなトランプ大統領の、初めての日本訪問ですが、日本との貿易につては、やはりアメリカは赤字は容認できないようで、厳しい意見を持っているようです。

 トランプ大統領は、今日、日米の企業経営者の前で演説し、「日本との貿易は公正ではない」と述べたようです。
 確かに、二国間の貿易収支で見れば、日本は黒字、アメリカは赤字で、しかも、対中国の赤字に次いで2番目に大きい赤字だというのも間違いではありません。
 しかし、何か、単純に、アメリカが赤字だから「公正ではない」と言っているように聞こえるのですが、気のせいでしょうか。

 最大の問題である自動車については、アメリカは輸入車に乗用2.5%、トラック25%の関税を課しているとのことですが、日本は関税ゼロです。
 私もアメ車に乗ったことはありませんが、理由は買いたくなる車がないからです。これは、不公正なことではなく、単なる消費者の合理的購買行動の結果でしょう。

 以前から歴代大統領が、「バイ・アメリカン」と言っても、アメリカ人も日本車を買うのですから、問題はアメリカの自動車メーカーにあるのでしょう。
 日本の2輪車は、世界を制覇していますが、日本でも、ハーレー・ダビッドソンの愛好者は沢山いるのです。

 歴史的に見れば、戦後長い間、日本は景気が良くなると輸入が増えて、国際収支が赤字になり、その都度引き締め政策をとって不況になっていました。
 次第に日本の製品が良くなり、日米繊維交渉、鉄鋼交渉、自動車交渉、半導体交渉などが起き、何とか話し合いをつけてきましたが、結局アメリカの赤字は消えず、ドルは金との兌換をやめ、変動相場制になりました。

 それでもアメリカの赤字は消えず、アメリカは、G5を主導して、「プラザ合意」で日本が大幅な円高になるようにしました。お蔭で日本経済は20年以上苦労しました。
 しかし、未だアメリアの赤字は消えません。

 これは日本のせいではなく、アメリカ自体に問題があるからでしょう。アメリカの赤字の原因は大きく2つで、1つは国際競争力低下、もう1つは覇権国のコストでしょう。
 トランプさんは、覇権国のコストを下げようと、「内向き政策(アメリカ・ファースト)」を掲げて当選しました。
 
 しかし、事はそう簡単ではないようです。競争力はそう簡単には上がりませんし、中東や極東の紛争で、「アメリカ・ファースト」は、「アメリカが先に立ってそうした問題を解決する」というスローガンだと受け取られかねなくなっています。

 トランプ大統領は、アメリカは優れた武器を沢山持っていると言っていますが、日本は戦争をしない国ですから、そんなに武器を買うわけにもいかないでしょう。
 アメリカの牛肉ばかり食べるわけにもいきません。アメリカに進出した企業も、失敗すると巨大な損失を出して塗炭の苦に喘ぐことも少なくありません。

 問題解決は容易ではありません。
 その中で、日本は、拉致問題まで、アメリカのお世話になりそうな状況ですが、世話になればなるほど、アメリカにきちんと返礼をしなければならないでしょう。
 しかしこれは貿易交渉で解決できる問題でしょうか。何かちぐはぐな気がするのは私だけでしょうか。