tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

長時間労働是正に必要なこと2つ

2017年10月21日 23時08分36秒 | 労働
長時間労働是正に必要なこと2つ 
 連合も、来年度春闘方針で「長時間労働の是正」を、賃上げと共に二大テーマに上げています。長時間労働の是正は経営側も政府も言っています。
 もう何年もこうしたことをやってきていますが、現実はなかなか進みません。

 かねてから私は大きな理由が2つあるように感じています。私のサラリーマン経験(労働組合活動も含め)から振り返れば、政府や労組・会社のトップが言っても進まない原因は「現場」にあるという事でしょう。

 現場というのは、上司と部下(複数)が、如何に仕事をこなすかを課題に「人間関係」で動いています。長時間労働の原因は大抵ここにあります。
 日本人は子供のころから「働くことは良いこと」「働かないのは良くないこと」と教わっています。

 ですから、よく働く人だということを上司や仲間に理解してもらう事で、現場の人間集団の信頼関係を築こうとします。結果はともあれ、一生懸命やったという事が評価される雰囲気はどこにもあります。
 実はこれが長時間労働を是とする基本的な原因でしょう。

 ということになると、先ず一つ大きな問題は、仕事を「こなす」ことについての「新しい、別の概念」を確立する必要があります。それは「効率」という概念でしょう。これは単位時間当たりの生産性で、長時間労働とは逆の概念です。

 最近流行りの言葉で言えば、カタカナになりますが「スマート」という概念といったほうが受けるでしょうか。
 使い始めはスマートグリッド(多様な電源と多様な電力消費者を巧くつなぐ回路)あたりでしょうか、今ではスマートフォン(スマホ)、スマートハウス、スマートシティ、スマートキッチン、スマートドア、などなど、カッコ良くて使い勝手がよく、誰もが使いたくなるようなものは皆「スマート」がついているようです。

 つまり、スマートな働き方、という概念を、働く人一人一人が、従来の「真面目に一生懸命」と同様に重視するという職場の雰囲気を作ることです。
 という事で両方を合体すれば、「スマートな働き方を真面目に一生懸命追求するのが良い働き方」という事にしなければ、長時間労働問題は解決しないという事です。

 次にもう1つ大きな問題は、現場では主任、係長、班長、課長代理、課長といった管理監督職が労働時間管理のカギを握っています。
 部下への仕事の与え方、任せ方、指導の仕方で現場の労働時間は大きく変わります。何回でもやり直させ「これもOJTだ」と言っていては、長時間労働問題は解決しません。

 管理監督職が、スマートな指導をせずに、余計な仕事を部下にさせ、長時間労働を作り出していることもよく見られます。部下は通常、それに反論できません。
 管理監督者は、スマートグリッドのような思考回路を持って、仕事の采配をしなければならないのです。
 これには、スマートな管理監督法を管理監督者に十分訓練しなければならないでしょう。

 つまりは、長時間労働は働く人たちの意識改革がなければできないという事でしょう。「法律で結婚を幸せにすることはできない」といいますが、労働時間短縮も似たようなものではないでしょうか。

 こうした職場、現場の意識改革を具体的に促進する手段もあります。それは、日本の工場などでかつてからやってきたQC、TQMといった小グループ活動を上手に使う事です。 
 上手に使うカギは、現場の管理監督者の態度にあります。「このほうがよりスマート」、つまり効率的であるという事を素直に認め、受け入れるマネジメント能力です。

 長期不況で忘れられたこうした職場の活動をうまくやれるような管理監督者を、早く大量に育てる事がまずは必要なようです。