徳永写真美術研究所 運営日誌

本運営日誌は徳永写真美術研究所にておこなわれる活動の記録集です。https://tokunaga-photo.com

古典印画技法 / ソルティッドペーパープリント(塩化銀紙)1

2022年03月18日 | 古典印画技法講座

古典印画技法シリーズ
3つ目の技法
ソルティッドペーパープリント
別名:塩化銀紙に取り組みました。

初日となるこの日は
明室にて下地塗りからスタート。

技法名の通り塩を用います。
それとゼラチン。

テーブルは
お料理をするような光景で・・・



下地作りの手順は
紙に塩とサイズ剤(にじみ止め)として
ゼラチンを溶かした液を塗布して乾燥



下準備を終えて暗室に移動・・・



小数点以下も表示する精密測りで
慎重に硝酸銀を計量して感光液作り。



下地処理した紙に感光液を塗り、乾燥させて
印画紙が完成します。



まずは
本技法の発明者である
ウイリアム・ヘンリー・フォックス・タルボットが
おこなったフォトジェニックドローイングを
再現するべく屋外で露光をおこないました。



屋外実習場として活用している
徒歩1分の公園にて露光スタート。
すると・・・
4人組女子が吸い寄せられるように
やってきて共に露光を観察。



画面の変化を動画で記録するなど
興味津々な様子に驚きました。



薄曇りの天候での露光後
画面には淡いトーンを確認できました。



屋外での作業中には
研究所では紫外線を発するプリンターでの
露光も同時進行させていました。



露光前
露光後



露光を終えた印画紙は
チオ硫酸ナトリウム水溶液に浸して
画像を定着させて完成。



定着後も時間の経過とともに
微妙に色調が変化し
最終的な発色は翌日以降となります。



次回はこの実験をもとに
屋外でのフォトグラムや
デジタルネガフィルムでの印画など
各自の興味に合わせて
制作を進めていただきます。



2021年は
5技法の古典印画技法を紹介しましたが
2022年は6技法に増やしました。
ご関心がありましたら連絡ください。
https://tokunaga-photo.com/class/#3


https://tokunaga-photo.com/class/
受講受付中です。

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徳永写真美術研究所
大阪・鶴橋にて
写真・写真表現・シルクスクリーンetc.
表現の研究活動をおこなっています。 

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古典印画技法 / アルビューメンプリント(鶏卵紙)2

2021年11月24日 | 古典印画技法講座




古典印画技法シリーズ
アルビューメンプリント実習
2日目の報告です。



まずは
デジタルネガフィルムを
新たに出力・・・



次に印画紙作り・・・
卵白液と硝酸銀水溶液を
紙に塗布して乾燥。



ブラックライトを装着した
プリンターで露光・・・



仮水洗
定着
調色
本水洗
乾燥



以下
この日の成果です。









卵白液と感光液
2段階の塗布作業が難しい
アルビューメンプリントですが
今回は
多少のムラはあるものの
画像として認識できる
仕上がりとなりました。



卵白は画面に柔らかな光沢を与え
観る者の心をつかむ魅力となっています。
また
調色(今回はセレン)の濃度を変え
画面の色味を変化させることも可能です。

この物質的魅力を伴う印画法を
どのように用いるか?
“ 古典な写真 ” にとどまらない展開が
できるといいなと思います。





上の写真は19世紀の
アルビューメンプリントです。

1世紀半ほど前の時間が
そこにあるように感じます。

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古典印画技法 / アルビューメンプリント(鶏卵紙)1

2021年09月27日 | 古典印画技法講座

徳永写真美術研究所における
今年度の古典印画技法講座では
4技法を準備しました。

春にサイアノ(日光写真)
夏にアルビューメン(鶏卵紙)
秋にソルティッド(塩化銀紙)
冬にヴァンダイクの順に進行。



本レポートでは
鶏卵紙の名で知られる
アルビューメンプリントの
初日の取り組みを記します。

鶏卵紙と呼ばれるように
卵(卵白)を使用します。



卵白・塩・水を合わせ泡立て
ガーゼで不純物を漉して
下地を作る卵白液が完成。



明るい場所で卵白液は塗布できますが
ほぼ透明の液体ためムラなく
塗れたかを見極めるのは難しく・・・



硝酸銀を溶解した感光液は
慎重に扱う必要があり
薄明るい光のもと
緊張しながらの作業が続きます。



プリント作業は日光でも
可能とされていますが
TIPAでは紫外線を発する
露光機を使い実習を進めました。

露光後は定着液に浸し
画像を安定させるために
セレン調色を施して仕上げました。



上の写真は
デジタルデータをPCに取り込み
ネガフィルム作成して仕上げた
各段階の図像です。

左から
ネガフィルム・完成写真・元データ

おおよそ予定通りの
セピア写真となっています。

いっぽう
ムラが発生することもあり・・・



本技法は2度の薬液塗布作業があるため
作業工程が長く手間がかかりますが
卵白のほのかな輝きは
他の技法にはない
魅力ではないかと思います。

次回の実習にて
どこまでのクオリティを出せるのか?
ご期待ください。



<ご案内>
10月17日より
古典印画技法第3段
ソルティッドペーパー
(塩化銀紙)スタート
参加受付中です。


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古典印画技法講座 / サイアノタイププリント2

2021年05月26日 | 古典印画技法講座

今期4種の印画技法に取り組むなかで
1技法目はサイアノタイププリント。

2日で完結する実習の
後半部のレポートです。



2週間前に溶解した薬液を調合して
手早く印画紙作り。



前回同様に天気に恵まれサイアノ日和。




2度目となる露光作業ゆえ
完成図をイメージして構図を整え・・・



複数枚の印画を同時に進めたり・・・



今回は
4角のある画面にとらわれず・・・



感光液を青い絵の具として
描く展開もありました。



細部に目を向けると・・・



ミクロな世界が広がっています。



後半はサイアノの青を変化させる
調色実験に取り組みました。



幾つかの処方で
変化する色をコントロールして・・・



青写真の域を超えた色空間へ
移行させることに取り組みました。



実習後は成果物を披露しあいながら
コーヒーブレイク。



2日間のサイアノ実習レポートは
以上です。

次は鶏卵紙
アルビューメンプリントに
取り組みます。

参加受付中



<6月スタート講座>
古典印画技法・アルビューメンプリント講座
作品制作研究講座・表現活動の土台を作る


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古典印画技法講座 / サイアノタイププリント1

2021年05月01日 | 古典印画技法講座



2021年度最初の活動報告です。
今期は
一部オンライン対応も含みますが
実習系の活動は
TIPAは小さな活動ゆえ通常通りで
進めることにしました。

活動初日は古典印画技法。

今期は4技法に挑戦します。
最初の技法はサイアノタイプ
日光写真とも呼ばれ
取り組みやすい技法です。



TIPAで紹介する処方は
便利なキット等を用いず
試薬を調合して感光液を作ります。



最初は全工程の体験と同時に



5秒、10秒、15秒、30秒~6分の
太陽光での露光チャート作り。



露光直後の感光紙です。
このような状態から
水現像を経ると青が生まれます。



チャートには実験日時をメモし
露光データとして活用します。



その後は
持参したモチーフを用い
光画を描くことに取り組みました。



陽射しが強くサイアノ日和でしたが
風も強くモチーフが飛ぶ事態に・・・。



平面性のあるモチーフは
ガラス板で密着させて露光。
(ライスペーパーを挟んでいます。)



花壇の植物の陰影も
即興的に画面に含めたり・・・



短時間の実習でしたが
天候に恵まれ様々な実験を
おこなうことができました。



2週間後の活動では
更に実験を深めてまいります。



TIPA活動へのご参加受付中


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サイアノタイププリント・マンツーマン制作研究

2020年10月16日 | 古典印画技法講座



2日間にわたっておこなった
マンツーマンでの
サイアノタイププリント制作研究の報告です。

TIPA定番講座メニューである
古典印画技法・サイアノ講座を受講された方が
作品として仕上げる目標を掲げての2度目の受講。

通常のサイアノ講座では
必ず成功する材料を用意し
確実に成功する手順を踏み実習を進めます。

ゆえに
誰しもが成果を出す事ができます。
しかし
その成果は予めTIPAが用意したものであり
体験に過ぎません。

作品と呼ぶには体験に留まらない
次のステップに進む必要があります。

今回は
そのお手伝いをする形で進めました。



受講者の方は
表現内容に適しそうな紙を
幾つか持参されていました。



初日は持参の紙の発色など
各紙の特性を確認する事からスタート。



10パーセント刻みのグレースケールを焼き付け
白から青への諧調のあらわれ方を実験。



テスト露光中には
デジタルネガフィルムの作成手順の復習・・・



そして紙の裁断・・・



実験結果を元に
デジタルネガフィルムを仕上げ
プリント作業へ・・・



露光を終えて現像作業に進むと・・・



!!!

画像は薄っすら確認できるものの・・・

1日目の実習はここで終え
失敗の原因を検討しました。

サイアノ歴30年を超える私には
幾つかの問題点が思いつきます。

明日に向けての対策を講じ2日目を迎えました。



2日目の実験は滞りなく進み
表現内容に適する紙の候補を絞れました。



実際の制作はこれからですが
第一歩となる研究結果を得る事ができました。

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古典印画技法ブループリント講座 / 3日目 青の色調変換&サイアノ大判プリント

2020年09月14日 | 古典印画技法講座




初の3日間集中講座。

連続した日程での講座で
密度の濃い実習をと考え計画しました。

本記事は
最終日となる3日目の報告です。



3日間通して実習前に
デジタルネガフィルム作成に必要となる
画像編集作業を確実に習得できるよう
繰り返し学びました。



最終日のプリント実習では
大きいサイズの制作に取り組みました。



作業工程はこれまでと同じですが
サイズが大きくなる事で
難しくなる作業は感光紙作り。
ムラなく塗布するには
手際の良さが重要です。



露光時間は変わらず規定通り・・・



水現像では紙が折れないよう
扱いに細心の注意を払いながら



未露光部分の薬液を洗い落とします。



露光直後の黄緑から
徐々に青に変わり
乾燥中に深い青色に変化し
画像が引き締まります。




後半は
サイアノ技法の魅力的な青の色調を
変える実験に取り組みました。



色の変換では
まずは青の色素を脱色させ
テキストに記す溶液を通しながら
好みの色合いとなった時点で
作業を終えます。



この調色作業では
サイアノの青とは異なる
中間色のトーンとなり
新たな印象をまとう画像が生まれます。






2020年10月開始講座
受講受付中

*大型カメラ体験講座*
*美術研究クラブ*
*創作実験クラブ*


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古典印画技法ブループリント講座 / 2日目 2種の光でサイアノ露光実験&デジネガプリント作成

2020年09月02日 | 古典印画技法講座




美しい青を発色するブループリント、
サイアノタイプ技法による
実習2日目のレポートです。



この日は太陽とライト、
2種の光での露光に取り組みました。



太陽光の場合
正午前後の晴天時の光が
効率よく露光できます。
ゆえに
13時スタートのTIPA講座では
まずは屋外実習からスタート。



露光直後の様子。
不思議な諧調で仕上がりますが・・・



水現像後は白から青への
グラデーションとなります。



続く屋内での露光では
紫外線を多く発する
ブラックライトを用います。
波長の短い光のため
青紫の光となります。



露光機での焼き付け中には
デジタルネガフィルム作成の復習。



A3ノビのフィルムに出力して
次回は大きなプリントにも挑戦。



露光を終えた様子です。



太陽光と同様に
露光量が少ない部分は緑となります。



現像を終えたプリントです。



次回は大きなサイズの
サイアノプリントに取り組みます。



古典印画技法講座
第2弾
ブラウンプリント講座

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古典印画技法ブループリント講座 / 1日目 サイアノタイプ技法による制作準備

2020年08月28日 | 古典印画技法講座


徳永写真美術研究所による
2020年度のTIPA講座は
5月開始の講座からスタート。



活動初日は
古典印画技法ブループリント講座 
サイアノタイプ技法に取り組みました。



一般的に日光写真や青写真と呼ばれ
青に発色すると認識されていますが
青の色素を変換できることや
紙に限らず様々な支持体にも
プリントできることを紹介。

技法についての講義後は
暗室に移動し感光液作りに取り組みます。



本講座では手軽な薬品キットを用いず
試薬の調合からおこないます。



調合した感光液を
紙に塗布して印画紙を作成・・・



20段階のグレースケールを原稿として
露光機で所定時間の露光を経て・・・



水現像・・・



仕上がったばかりの
露光チャートは幾分、色が浅く
数日かけて
青の深さや鮮やかさが極まります。



それゆえ
デジタルネガフィルムの黒濃度は
事前に仕上げたチャートを参照し
微調整を施しました。

次回は作成したネガフィルムを用いた
プリント作業に取り組みます。



2020年10月開始講座
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古典印画技法 ヴァン・ダイクブラウンプリント講座 / 2日目 応用実習:デジタルネガフィルムを使用したプリント制作

2020年01月17日 | 古典印画技法講座

ヴァン・ダイクブラウンプリント講座
2日目の報告です。


前回に調合した感光液を用い
薄明るい光のもと
印画紙作りから始めます。


感光液を塗布した印画紙が
乾燥する間に
デジタルネガフィルムの作成。


自宅でフィルムを準備できる方は
持参したフィルムの仕上がりを確認。


準備が整った人から順次露光作業。


今回
2種類のサイズに対応しました。
TIPAの手作り露光機では
小さなサイズは1度の露光で4枚
大きなサイズは2枚露光できます。


露光直後のプリントです。

刷毛ムラが目立ちますが
風を描いたという解釈でヨシとします。


現像作業を進める中で
色調がどんどん変化していきます。


最終的にはこのような色調に仕上がります。


自宅から持参した和紙を用いて
プリントされた方もおられました。

感光材を塗布する際
和紙の繊維が刷毛に絡まり玉々が出来たために
白い小さな斑点が印画されました。

TIPAでは受講後も制作の場として
施設を使用いただける体制です。

その後の自主研究に期待して
2日間のプリント体験を終えました。



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