徳永写真美術研究所 運営日誌

本運営日誌は徳永写真美術研究所にておこなわれる活動の記録集です。https://tokunaga-photo.com

創作実験クラブ / デカルコマニー・ストリング:偶然の中に必然を見出す

2019年08月30日 | クラブ活動


2018年度より
月イチ創作実験クラブとして
月に1回のペースで活動してきました。

毎回
新たな実験をご用意していましたが
月イチでは文字通り「実験」に留まるため
2019年度は実験をもとに
次の展開も期待することにして
隔週での活動としました。

今回のレポートは
新たな体制でスタートした
クラブ活動1回目の報告です。



ホワイトボードに貼られたものは
何だと思われますか?

フクロウの目のように
見えるものもありますね。

これらがどのように描かれたのか
順を追って紹介します。



今回は
紙・墨汁・糸が
描く道具となります。



紙に墨汁を落としたり・・・
墨汁を塗った糸を置いたり・・・



本にはさんで糸を引き抜きます。



すると!



糸の動きが紙に軌跡として残り・・・



左右対称の・・・
そうでない場合もありますが・・・



絵筆を用いずに描いた絵図が
出現します。



タコ糸、毛糸、ロープなど
糸の種類を変えたり
墨汁の扱いを工夫すると
際限なく何パターンもの展開が可能です。



この技法はデカルコマニー。
糸を使う場合は
ストリングと限定的に呼ばれることもあります。

偶然の中に必然を見出せる本技法は
様々な展開ができそうです。

部員の皆さんにとって
多くの気づきがあったようでした。

このような気づきが
表現活動の引き出しを
増やすことに繋がるはず・・・。
きっと。


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徳永写真美術研究所
大阪・鶴橋にて
写真・写真表現・シルクスクリーンetc.
表現の研究活動をおこなっています。 

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銀塩写真講座 Step1 / 2日目 ピンホールカメラ実習2:撮影・現像・反転プリント

2019年08月28日 | 銀塩写真講座



一年続く銀塩写真講座の冒頭に
ピンホールカメラ実習をおこなう理由は
写真の原理を学ぶことが
第一の目的であるものの
印画紙を用いる実習で
暗室作業を学ぶことも含めています。

・・・という事で
この日は
たくさんの経験を積みました。



最初に暗室の準備から。
現像液・停止液・定着液について解説
そして
原液に水を加えて使用液を作り・・・

 次は撮影の準備。
前回に作ったピンホールカメラの
針孔のサイズを測り
F値を割り出し・・・

徳永写真美術研究所から
徒歩30秒の公園に移動。



ガムテープで作ったシャッターをめくり
いざ、撮影。

撮影後は
赤いライトが灯る暗室にて現像作業。

初めての方にとっては
ふわっと像が生まれる瞬間は感動的。



現像後
プリントドライヤーに印画紙を通して
ネガ画像が完成します。



ネガ画像の諧調を反転させるために
引伸機にて密着露光をおこない・・・



先ほどの薬液を通すと・・・



諧調が反転します。
段階露光により
適切な露光時間を割り出し
本番プリント。



ネガとポジ画像を並べると
左右対称の図柄となります。

セットで見比べると
新たな見方で画像を認識できます。



たくさんの学びの後も
更に学びは続き・・・

コーヒーブレイク中に
次回に取り組む
モノクロフィルム現像の準備。
フィルムのリール巻の練習に励みました。

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作品制作研究講座 / 1日目 表現とは何か1:講義・自作紹介

2019年08月24日 | 研究講座

本講座は作品制作に取り組む
もしくは
これから取り組もうと考える
皆さんを対象としています。

制作手段は限定せず
視覚芸術全般。



客観的視点で制作を検証し
表現活動の土台を作るまでを目指します。



初日は表現とは何か
具体例を紹介しながら
表現をおこなう意味を考えました。



後半は
既に作品発表をされている方には
自己紹介を兼ねて
これまでの作品や資料を提示いただきました。



最後に
白い粘土を配り
表現の実践を
宿題として講座を終えました。


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古典印画技法ブループリント講座・サイアノタイプ / 1日目 青の魅力に触れる

2019年08月22日 | 古典印画技法講座


青の発色が美しい
サイアノタイププリントを学ぶ
講座レポートです。



日光写真とも呼ばれる技法ゆえ
初日は屋外での露光に取り組みます。

まずは
データチャート作りから。



サイアノタイプは
感光性が低いため扱いやすく
明室での印画紙作りが可能です。

薬品を調合して感光液を作り・・・



紙に塗布して印画紙を作り・・・



快晴の空の下で
5秒
10秒
15秒
30秒
60秒
90秒
3分
5分
10分

段階露光をおこないました。



研究所に戻り現像作業へ・・・



露光直後の灰緑から徐々に
青みを帯びた色相に変化します。



現像を終えた青色は
数日後には更に冴えある青となります。

このチャートにより
3分間の露光で
深い青を発色することを確認。



その後は幾枚かのプリント実験をおこないました。



次回は
デジタルカメラで撮影したデータから
ネガフィルムを作り
プリント実験をおこないます。



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銀塩写真講座 Step1 / 1日目 ピンホールカメラ実習1:カメラオブスクラ観察

2019年08月18日 | 銀塩写真講座


2019年度の銀塩写真講座、初日のレポートです。



まずは写真の原理を知ることから。
今回
像を結ぶ現象を観察するために
3つのカメラオブスクラを準備しました。

カメラオブスクラとは
暗い部屋という意味です。
詳しくはWikiにて確認下さい。



最もシンプルな構造のカメラです。
ボール紙をコの字に折って孔をあけただけですが
おぼろげながらも画像を認識できます。



次は筒状
画像の投影面を動かせる仕組みです。
筒を覗いて見える画像がコチラ
左右上下反転画像が見えます。



最後は・・・
虫眼鏡のレンズを取り付け
45度の傾斜をつけた鏡を内部に入れています。



レンズを使うことで
ピントを合わせる動作が必要となりますが
針孔よりも鮮明な画像を認識できます。



一通りの観察を終えたのち
次のピンホールカメラ撮影実習に使う
カメラを作りました。



作り方はカンタン。
六切印画紙が入るサイズの箱を用意し
内部を黒く塗ります。



そして
孔をあけた板を箱に取り付け・・・



印画紙を固定するためにペーパーセメントを塗り・・・
内部に光が入らぬように隙間テープを貼り・・・



黒布ガムテープでシャッターを作って完成。

次回は
このカメラを用いて撮影
そして
暗室での現像実習をおこないます。



ティータイムでは
ピンホール写真作品集を見ながら
撮影計画を立てました。


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特別講義:今岡昌子さんをお迎えして

2019年08月17日 | 活動レポート

徳永写真美術研究所においての
年度最後の活動は
ゲストをお迎えして
特別講義を開催します。

9回目となる今年度は





今岡昌子さんをお迎えしました。



まずは私・徳永好恵よりゲストの紹介・・・



その後
今岡さんより
これまでの作家活動に関係する
資料や展覧会の案内状を
配布いただきました。



配布物に目を通してから講義スタート。

講義前半は

生物の進化
美学の出発点
写真表現の特性
思考方法
など
今岡さんの制作に繋がるお話。



後半は
取材中のエピソードを含めた作品の紹介
そして
自作の分析について。

細胞レベルのバランス
社会レベルのバランス
環境レベルのバランス
それぞれのレベルでのバランスを保つことが
いかに重要か、そして難しいのか
etc.
私にとっては特に
自作に対する分析が印象に残りました。



徳永写真美術研究所・研究員日記
にて
2019年4月に開催された写真展に対する
取材記事を掲載しています。
ぜひ上のリンクページをご覧ください。


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銀塩写真講座 Step3 / 7日目 バライタプリントの仕上げ

2019年08月12日 | 銀塩写真講座


銀塩写真講座、最終日の報告です。

バライタ印画紙による
写真作品の仕上げ方を学びました。



暗室にて仕上げたバライタプリントは
無酸性の保存箱に入れておく
保存箱は印画紙サイズで市販されている
購入先は・・・
など
プリント後の扱いについて紹介してから
仕上げ方の実習に取り組みました。



乾燥後の印画紙は
画面が波打ったり、カーリングします。
その対処として・・・



ドライマウントプレス機という
大きなアイロンのような機材を用い
熱と圧をかけて平面状にする
フラットニングをおこないます。

その後はスポッティング。



暗室でのプリント時に
フィルムに付着したホコリなどが原因でできる
白い斑点を目立たなくさせます。
このスポッティング作業では
極細の筆でインクを塗り込みます。



バライタプリントの最終工程では
周辺の黒濃度にインクの色を合わせること
1ミリ以下の点を描くことなど
集中力を高めて作業を進めなくてはなりません。
筆の扱いに慣れていない方にとっては
最後の難関となります。



銀塩写真作品を仕上げる本講座は
以上をもって終了。

徳永写真美術研究所は
受講後も暗室等の設備をお使いいただける体制です。
今後は自主的に暗室作業を重ね
制作を継続いただきたいと思います。


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仕上げ方研究講座 / 2日目 ブックマット制作

2019年08月01日 | 研究講座


仕上げ方研究講座2日目は
保存性を第一とする仕上げ方の
実践に取り組みました。



美術館で用いられる
名前通りの「ミュージアムボード」で
ブックマットを作り
作品をはさむ加工方法です。



各自1~3点の作品を持ち寄り
まずはレイアウトを検討。



ウインドウサイズを計算式にあてはめ
割り出した数値でボードに図面を引きます。



そして
45度の傾斜で切ることができる
マットカッターでボードをカット。



徳永写真美術研究所には
大型のマットカッターの他
扱いやすい小型のカッターも常備。



ミュージアムボードは
安くないため
失敗は避けたいところ。
幾度か練習をおこない
集中力を高め
一気に刃を動かします。



カットしたオーバーマットと
アンダーマットをブック状態に接合。

作品サイズに合わせて作ったコーナーで
作品を固定して
ブックマット加工完了となります。



ブックマット形式は
平面作品が前提となりますが
織物などの厚みある作品も
その形状を活かす施しができます。



完成したこれらの作品は
今後、大切に扱われ
長く保存されるでしょう。
きっと。


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