tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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(株)イムラの「吉野杉 寒切りツアー」

2009年02月10日 | 林業・割り箸
「寒(かん)切り」とは、真冬に樹木を伐採することである。樹木はこの時期、水分の吸収を止め、硬い樹皮で自分の身体を守る。だからこの時期に伐った木は、水分が少なく脂分が多い。虫に食われにくいので家屋が長持ちする。鉋(かんな)をかけても、光沢が違う…。

樹齢100年を超えた吉野杉の寒切りを見学するという貴重なツアーのお誘いを受け、2/8(日)、同僚2人とともに参加させていただいた。株式会社イムラ(橿原市木原町177-1 井村義嗣社長)が主催する、お得意様ご招待のイベントである(夏には「土用切りツアー」がある)。
※吉野杉伐採見学ツアー(同社のスタッフブログ)
http://blog.goo.ne.jp/imura-k/e/6629ff1df4fd3f895201ada37502b947

同社の産直住宅「吉野杉の家」は、当ブログでも紹介させていただいた。《独自の産地直送体制によって、一般市場よりもリーズナブルな価格で吉野天然杉の家をお客様に提供。他の建材についても化学物質が入ったものを極力使わない、環境と健康にやさしい住まいという姿勢を貫いています。そんなイムラの誇りは、ただ単に「家を売る」のではなく、「私たちを育ててくれた吉野の山を守りたい」という思い》である。
※(株)イムラの吉野杉の家(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/ee830930123f54d055adb1db16e6d0f1


井村義嗣社長


お世話いただいた橿原店の高橋一禎(たかはし・かずよし)店長

ツアー当日は8:45に近鉄奈良駅を出発、9:30に大和八木駅に立ち寄ったあと11:30に伐採現場入り。奈良から参加したのはバス2台だが、大阪からの参加も3台あり、合計で小型バス5台の大ツアーとなった。
http://www.sumain.net/?p=306







伐っていただいた杉は2本。そのうち大きい方の伐採風景を紹介する。まずは、木を落とす方向にロープを張る。チェーンソー(自動ノコギリ)で切れ目を入れて、木を倒す。これも一種の間伐(間引き)であるが、ご覧の通り、こんなに太い木である。





倒れる時の迫力がすごい。ザザザッと木立の間に倒れ込み、枝が飛び散る。地面に落ちると、足元に、ドンと重い衝撃が響く。戦さでとどめの一撃を受けた武士が倒れ込むような潔さ、とでも形容すれば良いのだろうか。



見学者からは拍手がわき起こる。熟練者の技というのか、よくこんな見事に木と木の間に倒せるものである。木が倒れた後は、杉の良い香りがあたりに立ちこめる。



伐採を見学した後は、徒歩で「川上さぷり」(川上産吉野材販売促進協同組合 上嶌逸平代表理事)へ。伐採した丸太は製材所で板に挽かれたあと、ここで乾燥と仕上げ加工を行い、大工さんに送られるのである。http://www.yoshinosugi.net/


説明される上嶌代表理事

完成したばかりの展示場で上嶌代表理事のお話をお聞きしたあと、加工の工程を見せていただいた。この「川上さぷり」のことは書きたいことが多いので、日を改めて詳しく紹介することにしたい。





時刻も13時近くなり、待望のお昼ご飯である。バスで「山幸彦もくもく館」(川上村林業資料館)に移動すると、炊きたての山菜釜飯と、あつあつの豚汁が用意されていた。川上さぷりさんのご手配で、村の婦人会の方にご用意いただいたものだ。地元野菜がたっぷり入り、これはイケる。




大量の豚汁が、どんどんなくなって行く





食事のあとは餅つき大会。村のヨモギや栃(トチ)の実を使ったお餅がつかれ、手際よく丸められていく。つきたてのヨモギ餅や栃餅は、とても美味しい。子供たちも大喜びだった。


墨付け



最後の見学地は、イムラの大工さんたちが作業を行う「高田クラフト」である。ここでは棟梁さんの「匠の技」を見せていただいた。最新の電動工具から、宮大工が使う伝統工具まで、さまざまな工具の実演と体験をさせていただいた。


手斧(ちょうな)


鉋(かんな)がけ


槍鉋(やりがんな)。室町時代に今の鉋ができるまでは、これを使っていた



それにしても、素晴らしい経験をさせていただいた。何気なく使っている1枚の板が、こんな大変な工程を経て、いろんな人の手を煩わせて、私たちに届けられるとは。



(株)イムラの社長さん高橋店長さんはじめスタッフの皆さん、伐採していただいた山守の皆さん、川上さぷりの代表理事さんはじめご案内いただいた方々、川上村婦人会の皆さん、本当に有難うございました。こんな素晴らしい吉野の森を大切に守り育て、そしてどんどん木を使って、吉野材を伐り出してまいりましょう。

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